2週間ほど前のこと。
新しく自転車を買い換える際に実家のときによくしてくれていたサイクルショップで自転車を買いに行こうとしたときのこと。
サイクルショップというと大きな店のイメージかもしれないが、昔からある個人店、自転車屋といったほうがしっくり来るかもしれない。「自転車屋で自転車の購入を」と読もうとすると早口言葉みたいで、サイクルショップと称してみた。
そこの自転車屋のおっちゃんは見た目は話しかけにくく、「無愛想な店」と周りから言われているが、話してみるとそうでもない。「おお、どれや?」といってあれやこれやと点検してくれる。おまけで他も直してくれて、数年前までは近所のサイクルショップでは自転車の空気を入れるだけでお金がかかったが、おっちゃんのところでは無料だったのでよく行っていたものだ。ただ店の奥で座っているので最初は声がかけづらい。
いわゆる職人さんの店なのである。「自転車でビジネスを。」というより、自転車を修理できる職人さんがやっている店。
ちょっとした修理を色々とお世話になっていた姉(僕も)は、実家に戻ってきたときにせっかくなのでおっちゃんのところで自転車を買おうとした。
そうすると断られた。
「自転車送るのに送料結構かかるからな、近くで買ったほうがええよ。」
と。更にそこで買うわけでもないのに、
「今、3000円くらい出したら保険でな、盗難にあっても同じ価格の自転車保証してもらえるから、保険入っといたほうがええよ。」
と親切に自転車の新しい情報までも教えてくれた。
そして姉は、自転車を買えず、自転車業界の新しい情報だけを仕入れて帰ってきたのだ。
「ビジネスが下手な人だな。」というとそうかもしれないが、僕はこういうのが好きだ。最近は“ビジネス”、“いくら儲けるか”、“どれだけ人を集めるか”ばかりが先行していて、知識や技術は後回しにされているケースが多い。儲けたモン勝ちだと言わんばかりに世の中の店はお金を稼ぐことに必死なところがあって、僕は息がしずらい。
本来は、「好きで始める」もしくは「実家の跡継ぎ」というケースから、技術を磨いて、周りから認められて、結果的に“儲かる”、“人が集まる”だと思うのだが、結果が計画になっている。
そんな中、相変わらずの職人スタイルで自転車の購入を断ったおっちゃんはすごくカッコいい。
今度僕の自転車に何かあったらやっぱりおっちゃんのところに持っていこうと思う。
そして僕自身もおっちゃんのようであれたらとも、思う。
こまっきー