化粧品研究者こまっきーの語り部屋

化粧品研究者こまっきーが普段考えていることを書き留める、日記のようなもの。

求められる器用で、みんな同じになっていく


先日、在宅ワークの普及で仕事で歩くことが減ったため、靴の修理屋さんがかなり大変だという話を聞きました。月に1回は靴底の修理に来てくれていた人が、3ヶ月に1回もこなくなったんだそう。
月に1回って、どんなけ歩くんや。と思ったんですが、柔らかいソールだと消耗は早いのでそれくらいなんでしょうか。
そこで、その話をした人が「この世の中なにで仕事減るかわからへんから、そうなったら違う仕事に切り替えれなあかんよな。」と話していて、言うてることはわかるけど、なんかそれって違うよな、なにが違うんやろう。とずっとモヤモヤしていました。

多分、その人は靴の修理などの職人さんのことがわかってないんだと思いました。
職人さんは何年もかけて知識と技術を習得していきます。好きでやってる人もいるだろうし、なんとなくやり始めていつの間にか職人となった人もいるでしょう。
でも、ハッキリ言って、営業マンや簡単に転職出来る職業と違って、簡単に替えのきく仕事ではないのです。

ここ数年、昔ながらの職人さんの廃業が相次いでいます。
その度に、「仕方ないよね。」「通販使ってうまいこと出来ひんかったんか。」という意見を耳にします。
勉強して、技術磨いて、その上更に売るための知識を習得して、コンセプトとかキャッチフレーズ考えて上手いこと言うて、売れということなんでしょうか。
やってみろ。と言いたくなります。

化粧品の研究そして下請けをしていると、色んなことがわかります。
研究によって学ぶ知識と売るために発信してるワードは大きく異なります。
研究しながら、自分が考えるベストな化粧品を作っていますが、それでも化粧品は感覚の部分が大きく左右するアイテムです。成分云々よりも感覚による合う合わないで決まってしまうことに気づいたとき、研究の意味やお客さんへの発信の仕方を考えてしまいました。
自分はこれが良いと思っていても、その言葉はお客さんには届かない。
届くのは表面的な、良さそうに聞こえるセリフだ、と。

営業や販売員や◯◯検定のようなところで得られる知識では成分の、商品の良い部分しかみえませんが、研究をしていると、良い部分も悪い部分もわかります。
だから研究の僕含め、職人さんはその表面的なセリフを言うのが嫌なんです。
中身のことを詳しくわかっているから、そのセリフをいうのに抵抗があるんです。
自分が良いと思って作った化粧品でも良い部分と悪い部分、メリット・デメリットがあり、それをわかっていながら、悪い部分を包み隠して、良い部分だけを大きく発言することは嫌なんです。

いつの頃からかわかりませんが、職人さんにも器用に話すことが求められました。
世の中にはちゃんとした情報ではなく、表面的な、とりあえず注意の引く言葉ばかり使われるようになりました。
その結果、ほとんど同じようになりました。
ほとんど同じに見えませんか?あれとこれの違い、わかりますか?
なんだかどれもこれも、同じに見えませんか?

本当は1つ1つ違うはずなのに。

SNSが普及して個人の声が届きやすくなったように見えますが、SNSで注目を引くためには、同じような、表面的な営業トークしか出来ません。

研究をしながら化粧品こまっきーというブランドを立ち上げて、化粧品を販売している僕は、どうやったらちゃんとした情報が伝わって、ちゃんとした情報で化粧品こまっきーが売れるのか、ずっと試行錯誤しています。

職人は技術豊富で上手いこと言えない職人の良さがあり、営業には話上手という営業の良さがあります。
それを混ぜてしまうことで、みんな同じになってしまう。
混ぜるな危険。と言いたいです。

化粧品研究者こまっきー

↓こちらもどうぞ↓

www.komacky.com