化粧品研究者こまっきーの語り部屋

化粧品研究者こまっきーが普段考えていることを書き留める、日記のようなもの。

流行の終わり。

平成の初め、バブル崩壊後の経済は非常にゆったりとした歩みだったそうです。ビジネスの仕方もコツコツ積み重ねることが成果に繋がるという考えだと聞きました。
僕が記憶にあるのは2010年以降です。自分で服や化粧品を買い始めてから、流行りとか、そういう情報が入ってくるようになりました。
その頃は、一旦流行ったら何年も続いていました。確か2010年の女性ファッションはワイドパンツが流行っていて、その後2,3年くらいその流行は続きました。
その後、1年ごとに流行が変わり、去年流行った服は今年には流行遅れのレッテルが貼られ、春夏と秋冬では流行りのファッションの雰囲気がずいぶん変わり、春夏物が秋物に活用しにくいようになりました。
袖の大きくひらいたカットソーは夏に一枚で着るには存在感がありますが、上からアウターを羽織る春秋のインナーとして活用するのは難しいです。それ用にアウターを買うか、そのカットソーは夏専用にしてしまうしかないのです。今、それが当たり前だと感じている方。本当に数年前までは夏のカットソーは春秋で、インナーとして使われるのが当たり前だったんです。
そんな、夏しか着れないシルエットのカットソーなんて勿体無いですから。
1年通して上手に重ね着できる。そういうものだったんです。
それは仕事用のブラウスでも同じことが言えます。

メンズでも、春夏に袖の大きく開いたカットソーを展開しているのに、秋冬は非常に細身の服ばかりが展開されました。同じブランドで。
春夏でカットソーなどのインナーを秋冬でアウターを買おうと思っていた僕は、まさかそうなると思ってなかったので、使い回しが出来ないことにすごく残念な気持ちになりました。

ファッションが好きな人が、わかっていてそういうファッションをするのは趣味なのでいいのですが、気づけばファッション業界全体がそういう思考になりました。何年も使える色や形ではなく、来年には着れなくなるのが当たり前という考え方。インナーとして使いにくいカットソー。服に興味がない人は買う時に「これは着にくいかも」というような発想にはなりません。知らず知らずのうちに、興味のない部分にもお金を消費しなければいけなくなったな、と感じました。

音楽も同じようなことが言えます。
モーニング娘。やAKB48の歌、1曲1曲は一体何年流行ったのでしょう。
ゴールデンボンバーの「女々しくて」は「もういいやろ」と思うくらい紅白に出ていました。
今、年明け話題になった曲を年末に聴くと、すごく懐かしい気がします。
それだけ、音楽業界も移り変わりが早くなってるんだなと感じました。

こつこつするビジネスが、数年になり、1年になり、季節ごとに流行らせるくらい流行の回転が早くなりました。
化粧品こまっきーとして化粧品を販売しています。ビジネスの方法として肝心なのは「パッと目を惹くようなワードやイメージ戦略ができるかどうか。」と言われます。化粧品は日々使うものであり、長く使い続けていただくものです。表面的に目を惹くようなものは、アトラクションのような一瞬を楽しむための宣伝方法、日々使うものはちゃんと説明をして納得していただくような宣伝方法をするべきだと考えています。

パッと目を惹く宣伝方法は使い分けるべきだと思うのですが、どの業界でもこれが共通になりました。宣伝方法それだけになりました。飲食店でもパッと目を惹く店が売れ、美味しくても発信の弱いお店は潰れてしまいがちです。パッと注目を集めるために、おしゃれな店内、インスタグラマーたちを呼んで流行っているようにみせるイメージ戦略が行われました。

僕はこういうのをみて、シンドイなと思います。
料理が好きで料理を修行しても、それと同じくらい。もしくはそれ以上の知識やお金をかけて宣伝のことを勉強しないといけない。
これも当たり前と思っている方が多いですが、だったらオシャレでもなんでもないお店が何十年も続いてきたのは、何故なのでしょうか。
コツコツやってきたから、コツコツやれるだけの猶予がある社会だったからではないでしょうか。

よく両方出来なきゃいけない。と言いますが、そんな器用な方は稀です。
職人になれば職人の考えが柱となり、営業職に就けば営業の考えが柱になります。
根本が違うこの柱を2本活用することは難しく、色々わかっている職人は営業ほど上手に誇張することは出来ません。
そして両方それぞれのビジネスの仕方で社会が回ればいいのですが、ここ数年はやったもん勝ち、上手に宣伝したもん勝ちになっています。

ところが最近、そういった戦略が終わろうとしていると感じています。
友達と流行っているお店の話をしても「あれはインスタグラマーが行ったから流行ってるだけや。」と別に自営業ではない、サラリーマンの人でさえ、イメージ戦略を理解しているのです。
だからでしょうか。色んな業界で流行りによるビジネスが盛り上がっていないように感じます。残っているのは飲食業界くらいでしょうか。

大きいビジネスが小さいところまで降りてくる。お金持ちのビジネスが庶民の手の届くところまで降りてきた時、そのビジネスは終わりを告げているのではないかと感じます。

いくら稼ぐか。という資本主義社会の成長は、流行の回転を早めるところまで早めた結果、人々に気づきを与えてしまいました。
流行の終わり。
またコツコツするビジネスの形に戻るのでしょうか。

今年は大きな変化がありそうな気がする今日頃ごろです。

化粧品研究者こまっきー

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今週のお題「変わった」