化粧品研究者こまっきーの語り部屋

化粧品研究者こまっきーが普段考えていることを書き留める、日記のようなもの。

勘違いをしている新入社員


久しぶりに会った知人が「今年入ってきた新入社員がさ・・・」と僕には縁のない、新入社員に対する苦悩を語り始めた。去年はこんなにあーだこーだ言ってなかったような気がする。今年はどうやら大変なようだ。

ある男性新入社員は、配属前の研修で各部署を転々としていた。
その男性が知人の部署へ来た。ここでの仕事内容を説明し、体験してもらい、ちょっとした息抜きに聞いてみた。
「前回行ってたの部署は今度配属されるところやろ。どうやった?」
すると、男性新入社員は、
「んー、なんか“やりがい”を感じなかったんですよねえ。」と答えたそうだ。
「あんた、そんなん、そこの部署で言うてないやろうな。」と知人の先輩がすかさず言ったそうだが、本当に言いたいことはもう少し違っていただろう。
あまりの驚きを前に、人は本心が言葉に出てこないことはよくある。

また少しして、女性新入社員が知人の部署へやってきた。
すると彼女は「私いつもはもっと喋るんですけど。」と研修初日でそのような発言をした。知人は「ああ、この子苦手やわ。」と感じたらしい。その後も数日の研修中も「私、いつもはもっと出来るんです。」とアピールをするものの、話は聞いていないし、簡単な仕事もろくに出来なかったそうだ。
研修最終日の彼女の一言は「“自分の本領”が発揮されなかった。」だそうだ。

この2人の新入社員の言動を、おかしいと思ってもらえただろうか。
男性新入社員のおかしいところは、“やりがい”というものを勘違いしていることだ。
“やりがい”というのは、何かを達成したときに感じるものだ。
サッカーを始めた頃はリフティングも全然出来なかったのが、100回出来るようになった。とか、ルールを覚えて、オフサイドを理解し、絶妙なパスをしてそれがゴールに繋がった。など、自分の目標もしくはチームへの貢献によって、感じるものが“やりがい”だ。
ゲームでも同じはずだ。最初はゲームのルール、操作方法を学び、慣れていった頃に楽しくなってくる。強いボスに出会うものの、倒したときに感じるのが達成感であり、“やりがい”だろう。
4月に入って数週間。まだ研修というルールや操作方法を学んでいるときに、“やりがい”が見つかるはずがない。
なにを勘違いしているのだろう?

女性新入社員の方も、なぜ研修中に“自分の本領”が発揮されると思ったのか。
研修というのは、就活の会社説明会では教えてもらえない、会社の細かい仕組みを学び、体験し、また社員の人と話すことでその会社の雰囲気をも学ぶときだ。“自分の本領”どころか、自分を出すときなど一つもない。自分を出さないと行けない研修で向こうから指示されたときのみ自分アピールをすればいい。ゲームのルールを理解するときに、いくら自分をアピールしてもゲームのルールは変わらない。そのルールに自分が合わせていくしかない。アルバイトでもバイト先の空気感やルールに従って、自分が出来ることをやってきたはずだ。
なのに、ここにきてなぜ入社数週間でが出せると思ったのか?

就活で“やりがい”を感じる仕事。と紹介するのが悪かったのかもしれない。
“やりがい”なんて、どんな仕事でも感じることが出来る。その場で自分が役に立てばいいだけの話だ。
“自分らしい社会人”とかいう、訳のわからない言葉が就活で紹介されているのだろうか。
それはサッカーで自分だけルールにあるオフサイドを無視して、ゴール前に張り込み、「なんでみんなパスしてくれないんだ!」と言っているようなものだ。
前回の記事でも紹介したが、“自分らしさ”は誰にでもある。自分で気づいていないだけで、他人と比べて十分変わっているので、わざわざアピールする必要はない。そんな時間があるなら、「疲れていないか」「何が嬉しいか」「何される嫌な気持ちになるのか」など自分のことをちゃんと見てあげるべきだ。自分らしさを意識して外に向けるな。

どうやら新入社員の中には、入社してすぐに“やりがい”を感じたり、“自分の本領”が発揮出来ると思っている人がいるようだ。
もし、そう思っている方がいるなら、考えを改めるべきだ。
そして、もしそういう人が会社を辞めていった場合、会社はそういう人が辞めないような会社にする必要はない。株主総会で退職者が多いとイメージが悪くなるなら、「社員の質を維持するために、勘違いに合わせるつもりはない」とちゃんと説明するといいだろう。そういった勘違い社員に合わせていると、会社内の治安が悪くなり、仕事の出来る社員は離れていくだろう。

会社は自分の所有物ではない。
部活動やゲームやアルバイトの最初の頃を思い出せば、勘違いしていることに気づいてもらえるだろう。

化粧品研究者こまっきー

P.S. ただし、“やりがい”とは関係なく、会社の雰囲気を理解した上で、「自分にはこの雰囲気は向いていない。」と感じる場合は、辞めて良し。

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