化粧品研究者こまっきーの語り部屋

化粧品研究者こまっきーが普段考えていることを書き留める、日記のようなもの。

変わらない40年。

実質賃金やGDPの低下から、平成は“失われた30年”と言われています。GDPは人口が減れば生産量や消費が減るのでGDPの数値も下がる傾向にあります。実質賃金に関して「これだけ頑張っているのに。」という意見がありますが、成長しない社会のシステムの中ではいくら頑張っても停滞したままとなります。

例えば研修と称して、入社してきた人たちに固定概念を植え付け、テンプレート通りにしか動けないような研修ばかりしていると、社員が成長しないことが想像出来ると思います。居酒屋やチェーン店などの飲食店に行くとよく分かりますが、ここ10年で店員の言動はテンプレート化し、まるでロボットみたいだと感じています。
周りの国が伸びていく中で、人々の思考が停止し、様々な意見が飛び交うことがなくなれば、社会は停滞し実質賃金は下がっていくでしょう。

前から読んでみたかった山本七平さんの“「常識」の非常識”という本を読んで、「失った30年だけでなく、変わらない40年とも言えるな。」と思ったので、その点をいくつか紹介したいと思います。
この本は1986年に出版された本なので、厳密には変わらない38年ですが、執筆期間も考慮して語呂を良くして40年としています。

変わらないことの1つ目は学歴社会です。
当時は高校の進学率が1955年以降から50%、70%、そして1980年代には90%まで増えており、その為に必要な教育施設の量と質の問題が取り上げられています。
ここではその1部を紹介します。
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高校に進学するときでも、残りの50%は、自分たちは「落ちこぼれだ」と言う意識はもたないし社会もそういう目で見ない。ところが90%高校進学となると、そうはいかない。10%は取り残されたと思い、社会もまた「高校に行かない」ではなく「高校に行けない」と見るようになる。
-中略-

たとえば現在の教育制度は6・3・3・4(小中高と大学)だが、すでに早くから予備校という、制度にはないものが出現して、更に「塾」というものが出来、6塾・3塾・3塾・予備校・4という形になり、そのうえ、膨大な売上と高収益を誇る「教育産業」なるものが成立している。
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当時は高校ですが、それが今や大学となっています。先日書いた“進む学歴社会”という記事でも紹介しましたが、今は幅広い知識の習得を目標とせず、とにかく早慶などの難関大学の称号を得れればいいという思考が東京近郊だけでなく、地方にも広がっているようです。
そのためには早くから塾に通う必要があり、親の教育に費やせるお金が鍵となっていると考えられていることから、40年前から学歴社会は進行し、教育産業も活発化する一方で、方向性は変わっていないことが分かります。 

2つ目は票にならない外交です。
現在、日本では石油は他国と比べるとそこまで高騰していません。ロシアから魚の輸入も活発に行われています。石油国もロシアも今の日本の立場から見れば、反対の立ち位置です。制裁を受けて、輸入が減ってもおかしくないのですが、石油産出量の減少による影響はあっても、「この冬に計画停電をしなくてはいけないのか?」と悩むほど困ってはいません。
ロシアからの魚の輸入はむしろ活発になっており、スーパーでは鮭が1切れ100円で並ぶこともあります。
ですが山本七平さんの本にも“票にならない外交”と書いてあるとおり、今でもこういった努力は票に繋がっていません。

3つ目は工場の機械化です。
本では、ロボットという言葉が出てきていました。僕がイメージするロボットは人型ですが、おそらく山本七平さんが言いたいロボットは冷凍食品の炒飯を作る機械のようなものをロボットと称しているのだと思います。
本の中では、ロボットの普及によって発展途上国から日本国内へ工場が戻ってくるだろう。と書いてありましたが、今のところのその傾向はありません。“ロボットによる無人化工場”と書いてありましたので、まだそこにはたどり着いていないので、更に未来の話かもしれません。
いずれにしても、40年前から取り上げられている工場のロボット化の話題はまだ続いています。

4つ目は高齢化問題です。
高齢化問題は平成に入ってから出てきた問題かと思っていましたが、1986年にはすでに問題提起されていたようです。山本七平さんと浅野純一さんとの対談で、浅野さんが「老人問題、老人問題というが、みな言っていることはカネのことだけ、“心の問題”に全く無関心、これでは何の解決もない。」と話された。山本七平さんは後日、日本人の“生と死の哲学”を思い出し、“在宅の死”の自然さに気づかれた。著書では“生と死の哲学”について取り組むべき時がくるだろう。と書いてありました。
さて、いかがでしょうか。
僕は介護を経験したことがないので分からない部分が多いですが、高齢化問題も40年前から問題の1つであり、現在も解決していません。

最後に「餌づけ支配の阻止」という話です。
この話の最後の文章が分かりやすいので引用されていただきます。
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社会経験が少なく、情緒的にまだ安定していない青少年は、特に条件づけ権力に弱い。すぐ、その気になって指示される通りに動いて、そのうえ「自発的」だという錯覚をもって、自分は条件づけ権力に支配されているのだと自覚していない。
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その通りになっていると思います。今はむしろ、その子供はそのまま大人になり、大人になってもこの感覚のままであることが多いことでしょう。社会を動かす側としてはこの方が楽ですので、40年かけて活発的にこの錯覚を起こしてきたのでしょう。

以上5点、読み直せばまだまだ出てくるかと思いますが、10年前や20年前の平成や今回のような40年前の書籍を参考に、今の問題を考えてみることは、非常に参考になります。
今回取り上げた5点も、40年前から取り上げられており、未だ未解決ということは、まだまだ解決には程遠いだろうと考えられます。

執筆されてから40年後に読んで、変わらず社会問題として残っていることを考えると、“失われた30年”だけでなく、“変わらない40年”ということで、更に長い間停滞していることが分かりました。変化はあっても、解決していないことも分かりました。

この本のタイトルは“「常識」の非常識”ですので、常識について考えるヒントが沢山書かれています。
興味があれば是非一度読んでみてください。

化粧品研究者こまっきー

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