化粧品研究者こまっきーの語り部屋

化粧品研究者こまっきーが普段考えていることを書き留める、日記のようなもの。

流行は人々に知識を蓄えさせない。

過去の流行を振り返ってみると、流行には一貫性がないことがわかります。
ファッションでも、20年くらい前はブーツカットが流行り、ダメージデニムやスキニーへと変化し、10年前はワイドパンツで、最近は出尽くした感があり、記憶に新しい流行を再発行しています。
業界のトップが「コレが良い。」と言ってるオススメのパンツが、こうも変化していては説得力に欠けるでしょう。

化粧品では、流行の成分が次々変わります。そして前回流行っていた成分と方向性が全く逆の成分が流行ることもあります。それはある意味で前に流行った成分を批判していることになるので、「じゃあ前の成分は良くなかったんですか?」とインスタグラマー達へ質問があってもいいように思いますが、現実はそんなことはなく、次々と出てくる流行の成分に振り回されています。

食品でも、僕が子供の頃はバターは悪者で、パンにはマーガリンが身体に良いという流行だったのと思うのですが、最近はマーガリンにバターが配合されて売っています。“醗酵バター入り”と謳うのであれば、醗酵バターを売れば良いじゃないかと思います。“発酵バター入り”という文言を見て、そっちの方が良さそうだから少し高くても“発酵バター入りマーガリン”を買うというのも変な話です。

流行とは“流れて広まっていくもの”という意味ですが、ファッション業界のトップや化粧品業界のトップなどを見てもトップが変わっていない以上、流行を仕掛ける側は変わっていないと言えます。
しかし流行には一貫性がなく、時には前に流行ったものを批判するような形で新しい流行が生まれる時もあります。

こういう流行の流れを見ていると、流行を追いかけていると知識がつかないことがわかります。新しい流行が生まれた時、前に流行ったものがダメになるのであれば、前に流行ったものの意味は反転しています。
それはおかしいことです。

前に流行したものの考え方が間違っていて、訂正して反転したのであれば、訂正した形跡が残っているものですが、流行にはその形跡はありません。
物事の意味がコロコロ変わる流行を追いかけていては、いつまでも知識がつかないです。

とはいえ、「どれが流行かわからない。」と考える方は、“意味が変わっていないか”を意識してみるといいでしょう。
最近だけではなく、長い間意味が一貫して変わっていないのであれば、少なくともその物の意味はそれであっていると言えます。

僕たちは物事の良し悪しを決める時には、良し悪しを決められるだけの知識が必要です。
世間に広く知れ渡る流行は意味がコロコロ変わる為、知識が身につかないようになっています。流行を追いかけていると、意味が変わっていることにも気づけずに、知識が身についていないことにも気づけません。

すると、自分自身の考えが変わったことにも気づけません。
前は苦味のあるコーヒが苦手だったのに、いざ自分が飲めるようになると「やっぱりコーヒーは苦味が美味しいよね!」と苦手だった過去のことはさっぱり忘れて、自分の考えが変わったことに気づいていないことがあります。
また、エスプレッソに使われるコーヒーの豆はイタリアンローストと言われる一番深煎りで苦味が強い深煎りであることが多く、その豆をドリップの時よりも細かく粉砕するので、苦味が強く味の濃いコーヒーが抽出されます。この間、深煎りが苦手だと言う方がエスプレッソ用のコーヒー豆をドリップで飲んで「美味しかった。」と言っているのを聞き、耳を疑いました。
コーヒーの知識がなくとも、飲めば苦いので分かるはずです。
おそらくこれは、どこどこで買ったものだから美味しいだろうという先入観が勝っているのでしょう。こういう先入観は流行に影響されていることが多いです。

流行から知識を身につけようという傾向がありますが、それはおそらく間違っているでしょう。
知識をつけるのであれば、普遍的な部分に着目し、変わらないものを知る必要があるでしょう。

化粧品研究者こまっきー

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