化粧品研究者こまっきーの語り部屋

化粧品研究者こまっきーが普段考えていることを書き留める、日記のようなもの。

教えてもらうことの意義の変化。

僕が社会人に入った頃は教えてもらうことは貴重なことでした。
研修を終えて営業所へ配属された後、毎日先輩に同行して仕事のやり方を学びました。
お客さんとどうやって接するのかは人それぞれ、営業先それぞれですが、そういったことを実際に見て学びました。
教える先輩の中には、貴重であることを強調する先輩もいました。

教えてもらうことが貴重であるのは、子供の頃からそうだったと思います。
親から教えてもらうことも、先生から教えてもらうことも、大人から教えてもらうことはどれも貴重でした。
教えてもらうことが貴重であるという位置付けだったので、大人は子供に教える時は「教えてやってる。」という態度で話す大人は多かったと思います。

なのでその態度が嫌な僕は出来るだけ大人に頼らずに解決しようとしました。
僕は調べて良い感じのものをピックアップするのが上手だと言われることがありますが、それはおそらく子供の頃に自分でなんとかしようと思ったことがあるからだと思います。

高校2年生の頃にダッフルコートが欲しいと思って、本屋でファッション雑誌を立ち読みして情報収集をしました。高校2年生というと2009年です。2008年に日本でiPhoneが発売開始された頃で、まだ殆どの人が携帯電話だった頃です。
雑誌でグローバーオールというイギリスのブランドを知って、これが欲しいと思ったものの、雑誌に記載のある店舗はたいてい東京です。
「大阪やと、どこにあるのか?」を調べるにはネットで検索をします。
といっても当時はECサイトやHPは全然普及していませんでしたので、簡単には見つかりません。
各店舗がやっているブログを探したり、実際にお店に取り扱いがあるか電話したりしたのでしょう。詳しくは覚えていませんが、実際に取り扱いのある店舗を1つ見つけて、週末に見に行きました。
試着して、どうしようか悩み、やっぱり欲しいと思って翌週に行ったら無くなっていました。

クリスマスプレゼントにしてもらおうと思ったので、最後は親についてきてもらいましたが、雑誌で調べて見に行くまでを全て自分でやりました。
高いものですから、プレゼントとはいえ自分もいくらか出さないといけません。
そこに悩んでいたら、売り切れてしまいました。

今ではもっと簡単に、スムーズに見つけられます。
店舗展開しているお店だとECサイトにその服がどの店舗にあるのか記載がありますし、近くの店舗に取り寄せすることもできます。
ですが当時そんなものはありませんでした。
今でも隠れた良いものがあるので、検索上位のサイトだけを参考にするのではなく、検索ワードなどを工夫して、情報種集しています。

単純に「ダッフルコートが欲しい。」と言うと、いつも買っているお店に行って、そこにある服の中から選ぶことになります。たとえそこに僕が欲しいデザインのダッフルコートがなくて、不満を言っても「これでいいやんか。」と言われたら僕は妥協するしかありません。
親は子供の買い物に付き添っている身であり、お金を出す側です。
その親の一声に従わず、いつまでも駄々をこねていると、「じゃあもう買わへん。」となります。
「これでいいやんか。」は締めの一言でした。

そうなるのが嫌で、自分で探しました。
教えてもらう、つまり頼ると、妥協点がかなり親寄りになってしまいます。
教えてもらうということは、その分の対価を支払わなくてはいけないものだと、そんな風に感じていました。

今はどうでしょうか。
15年の間になにがあったのだろうかと思うくらい、教えてもらうことが当たり前になっています。
教えてもらってない内容の場合は、「教えてもらってません」と平然とした態度で言います。
たとえ教えてもらっていなくとも、仕事をしていたら自然と身についているはずのことでも、なぜか身についていません。
教えてもらったこと以外をしないからです。

そこに怒ってはいけない風習が拍車をかけて、教えてない側が悪いということになりました。
今では「教えてもらってません。」と新人が言っても、誰も不思議に思わないのではないでしょうか。
「そっかそっか。」と言って教えているのではないでしょうか。

新人は教えてもらっていなくとも、先輩の仕事ぶりを見て盗むことをしなくなりました。
自分から学ぼうとしないのですから、成長なんてありません。
それで給料が低いと思って転職するのは、自分のスキルを高く見積りすぎでしょう。

1から10まで教えてもらわないと仕事ができない人が増えています。
もし「自分は違う。」と思うなら、今がチャンスです。
毎日同じ時間仕事をしていても、教えてもらわないと出来ない人と、見て盗んで自分から動く人とでは、成長ぶりは大きく違います。

ここ15年で教えてもらうことの意義は180度変わりました。
今、頑張っているのに給料が上がらなくとも、とりあえず目先のお金を追いかけずに続けるべきです。
その身につけたスキルは必ず必要とされ、見合った給料が貰えるときがくるでしょう。

化粧品研究者こまっきー

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