学生は学生というだけで、大人から何かしてもらえることがあります。
高校生の頃、家族旅行先で僕と姉だけダイビング体験をしました。
ダイビングするために小さな島に移動して、そこからさらにボートで移動してダイビングをしました。体験者は他にもカップルが1組いました。
おそらくそのカップルは社会人で25-27歳くらいでした。
大学生カップルと考えると、自分より2~4つ上には見えませんし、30歳の知っている大人よりは若く見えたので、25-27歳くらいのカップルだと推測しました。
その日は肌寒く、ダイビングをした後は僕も姉も身体にタオルを巻いて、帰りの船を待っていました。
すると、少し離れた海辺にあるカフェの椅子で寝そべっていたカップルがホットチョコレートを買って持ってきてくれました。
その気遣いがすごく嬉しかったので、今でも覚えています。
「何がいい?」とも聞かずに、コーヒーやカフェオレではなくホットチョコレートというチョイスは、凄いと思いました。
初めて飲んだホットチョコレートは温かく濃厚なチョコの味と、カップルの、大人の優しさが混ざった味でした。
この気遣いは忘れてはいけないと、自分も出来るようにならないといけないと思った高校2年生の夏休みでした。
大学生になって、バンドがしたいと軽音楽部に入ったものの、当時はアジカンやRADWIMPSが好きな子たちばっかりでした。あまりにも好みが違うと学祭でコピーバンドも組みにくく、1年で辞めてネットにあったバンドメンバー募集掲示板with9の投稿を見て、応募をしました。
そこで初めて組めたのが、僕以外30歳のLUNA SEAのコピーバンドでした。
月に1回日曜日の夜に大阪の天王寺のスタジオに集まり、みんなで練習をしました。
練習後、遅くまで話していた時はギターの人が家まで送ってくれることがありました。
ある時ギターの人が「レコーディングしてみよう。」と言って、練習していた曲を全てレコーディングしました。
その日もギターの人が家まで送ってくれて、レコーディングしたCDを帰りの車の中で流してくれました。
僕はボーカルで参加していたのですが、自分の声を聞いてビックリしました。
思っていた声とまるで違う声質、外れまくっているリズム感に音程。
友達とカラオケに行ったときには「上手い。」と言われ、バンドでやる曲は自分でもカラオケで練習していたにも関わらず、CDから流れてきた声は酷いものでした。
そのバンドは1回ライブを行なって、解散しました。
おそらく、他のメンバーは初めて会った時からあまり上手くないことに気づいていたはずです。学生ということで、初めてということで、「やっていったら慣れるやろ。」と僕を受け入れてくれたのだと思います。
スタジオで演奏する時はカラオケとは違い、音は大きく各楽器隊の音が混ざり合い、声量の問題もあるのですが自分の声は殆ど聞こえません。
練習を重ねてもそのスタジオの感覚に慣れない僕に、レコーディングという方法で音程もリズムもズレていることを教えたかったのだと思います。
思い返せば、僕が先に帰って他のメンバーが残っていることが多かったので、その時に「どうする?」と話していたのでしょう。
それでも1回はライブを共にしてくれました。
他のメンバーは相談の上、「1回はライブをしよう。」ということになったのだと思います。
1回ライブやって解散。
それを聞いた時は「えっ?!」と思いましたが、後になってそれが精一杯の大人の優しさであったと感じました。
ダイビングのカップルの年齢を超え、初めて組んだバンドメンバーの年齢を超えました。
いつまでも忘れずに覚えていて、「こういう気遣いが出来るようになろう。」と思っている僕ですが、まだまだです。まだまだまだです。
赤川次郎の三毛猫シリーズでは、妹に呼び出された兄は呼びされた側なのに、兄なのでレストランでの食事を支払います。妹はそのために兄を呼び出します。
僕は妹の買い物に付き合った後、ランチを食べて会計しようとしたら「私の用事で時間取ってくれたんやから、私が払う。」と言って妹にランチを奢ってもらったことがあります。
独立してから半年だけバイトをしていた時の後輩とご飯に行っても、会計の時に「ここのクーポン持ってるねん。」とちゃっかり安くなる気遣いをしてもらいました。
いやはや、みなさん僕の懐事情をよく把握しておられます。
僕が体験した大人の優しさは金銭面ではないのですが、こういうことを思い出す限り、気遣われていることの方が多いように思います。
学生時代に経験した優しい大人の気遣いを忘れずに過ごしているのですが、出来たと感じた記憶がありません。
僕の覚えていないところで出来ているのでしょうか?
そうだったらいいのですが。。。
化粧品研究者こまっきー
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