インバウンド戦略はアベノミクスの成功の一例であると言われています。
今のインバウンドの状態になった背景には、アベノミクスによるインバウンド戦略からの流れがあると考えられます。
民主党政権時はドル円が77円という円高の状況にあったのが、アベノミクスで一気にドル円が100-120円となりました。
そういった金融政策やアニメなどの文化の宣伝で一気に外国人旅行客が増えたと言われています。
確か2013年頃は中国人観光客が多かったです。
その中国人は何をしに日本に来ているのかというと、日本製の商品を買いに来ていました。
初めは家電などの大きなものを買っていましたが、2010年代後半はドラッグストアの商品を大量に買って、中国のメルカリみたいなサイトで転売するというのが中国で流行っていました。
それでは中国国内の商品が売れないので、どこかのタイミングで転売サイトを禁止にしたという話を聞いたことがあります。
ドル円が円安に傾いたのと同時に、人民元と円の関係も円安になりました。
1元が約12円だったのが、15円19円と円安になっていきました。
まだ中国製品の品質が今ほど良くはなく、日本製は人気でした。
中国国内で日本製の商品を買おうとすると日本で買うよりも輸入分価格が高くなります。
日本に来て日本製を買うだけでも安いのに、1元12円から15円まで下がると、更に約23%OFF、1元19円まで下がると約37%OFFで日本製を買える感覚になります。
この思考は今のインバウンドにも影響しています。
ドル円は100-120円だったのが今や150-160円ですから、外国人からすれば約33%OFFで楽しめるということになります。約33%OFFということは僕たちがランチ1000円が高いと思っても、外国人には770円の感覚です。ランチで彼らが1500円出す感覚と僕たちが1000円出す感覚が同じ感覚だということです。
また海外では日本よりも物価高ですので、円安の為替だけではなく、各国の物価高の影響もあって、日本はすごく安く感じることでしょう。
そのため、特に物価高になっている欧米諸国の方の旅行先に日本が選ばれるのでしょう。
そしてアベノミクス当初は多かった中国人は減り、欧米諸国や韓国人、そして東南アジアの方が増えています。
東南アジアといえば、昔は日本人が「あっちに行けば物価が安い。」ということでブランド物を買うためやリゾート目的の旅行先に東南アジアを選んでいましたが、今や立場がひっくり返りつつあるようです。
日本のアニメ文化が影響してきたのは、つい最近ではないかと思います。
外国人も物価高により日々の生活は豊かではないので、日本に来てすることは、観光と日本のファミレスなど大衆向け飲食店を楽しむということが増えています。
ファミレスとアニメがコラボしていたりするのを楽しんでいるようです。
これもアニメへの興味よりも、安いからという理由の方が大きい気がします。
日本人はというと、今年のGWの日本人の旅行結果はまだ出ていませんが、4月にJTBが出していた旅行動向を見ると、旅行に行くが26.5%、旅行に行かない73.6%だったそうです。
国内国外関係なく、行かない理由で余裕がない・旅行費が高いと答えた方が57.7%いたそうです。結果はどうだったのでしょうか。
旅行先は4月の段階ですでに予約してあると思いますので、旅行に行く人の動向は4月のデータで判断できます。
そのデータによると、2019年には海外旅行者が92.9万人だったのが、今年は52万人とほぼ半数になりました。行き先も韓国や台湾、香港などの近場が多くなりました。
働き方改革といって、自由に休みが取れる環境が整ってきたにも関わらず、休みは取りやすいのに旅行に行けない状態となりました。
2012年には外国人訪問客は836万人だったのが、2019年には3188万人と約4倍になりました。
昨年は2506万人だったそうですが、今年は3300万人になると予想されています。
インバウンド戦略で日本が潤うという話は、今の結果から見るとどうでしょう。
外国人旅行客は観光先や宿泊先、飲食店などにお金を落としてくれますが、それはごく僅かな分野だけです。
インバウンドで日本の旅行会社が潤っているのかと思いきや、外国人旅行客と日本の旅行会社は連携できていないようで、なんの恩恵もないみたいです。
インバウンドで潤っているのが僅かな分野だからこそ、インバウンドによって国民全体の生活が豊かにならないのでしょう。
外国人旅行客は増えましたが、2013年以降アベノミクスによって増えた理由は、円が安いからでしょう。
円安による影響は旅行だけではありません。
MADE IN JAPANといえば、高性能で信頼できるというイメージだったはずです。
高性能で信頼できるのが日本製なのであれば、安売りする必要はありません。
ですが10年以上にわたる円安の影響で、海外の人から見れば日本製は安くて高性能というイメージに変わったのではないかと思います。
安くて高性能なものを作る国が他にいなければ、日本独占です。
しかしそこに中国や韓国、最近では台湾が成長してきて、日本製よりも安くて高性能な製品を作り出した結果、MADE IN JAPANが強みにならなくなりました。
円安によって日本製は無理やり安売りのゾーンに放り込まれたように思います。
円安によるインバウンドがあまり良くない傾向にあることが、今回は顕著に現れています。
外国人向けに観光地の飲食店やホテルは値段を上げて、日本人には考えられない値段設定です。
お米がどんどん値上がりしています。理由は昨年の不作と旅行客が増えたことによる需要の増加だと言われています。お米は秋まで収穫がありませんから、外国人旅行客が来れば来るほど、お米は高くなるでしょう。
インバウンドの恩恵が僅かな分野であることを考えると、インバウンドが経済を回しているとは思えません。
円安による外国人旅行客の増加による潤いと、日本製のイメージダウンに物価高で生活費がかさむことを天秤にかければ、確実に後者に傾いているのが現状でしょう。
日本は安売りしなくても、旅行しに来たくなる要素はたくさんあります。
日本独自の文化は他にはありませんし、建物などの観光もそうです。他には歴史は独特ですから「なぜ小さな島国の日本がここまで成長したのか?」をアプローチすれば海外のビジネスマンは気になって、学びにくるはずです。
今回のインバウンドによる影響を改めて考えておくと、今後の選挙に出てくる公約の良し悪しを考える上で、非常に参考になると思います。
化粧品研究者こまっきー
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