化粧品研究者こまっきーの語り部屋

化粧品研究者こまっきーが普段考えていることを書き留める、日記のようなもの。

マニュアル通りできる人がいるからこそ安定する。

「役所の人は融通が効かない。」とか「あの人はマニュアル通りでしか仕事ができない。」という声があるので、マニュアル通り仕事をしている人はダメな人と思ってしまいます。

僕も以前、「チェーンの飲食店や居酒屋の接客はマニュアル通り過ぎて嫌だ。」というブログを書いたことがあります。
ですが、マニュアル通りできた方がいい時と、融通が効いた方がいい時があると思います。

飲食店の接客ならマニュアルをベースに、融通が効いた方がいいでしょう。
マニュアルに書いていなかったことを、いちいち「確認してきます。」であったり、硬直してしまうようではいけません。
たまに「確認してきます。」とは言わず、全くわかっていないのに勝手に解決してしまう人もいて、それはそれで困りますが、お客さんがその店員さんに聞くたびに「確認してきます。」では注文のテンポが悪すぎて、イライラしてしまうお客さんもいるでしょう。
その時にイライラされるかどうかは、店員さんの立ち居振る舞い次第なので、それはマニュアルに書いていないことです。
そういうところからもマニュアル通りではダメであることがわかると思いますが、大体イライラしてしまう時は、マニュアル通りに話す店員さんの時なのではないかと思います。

反対に役所の仕事はマニュアル通りから外れてはいけないと思います。
決まった書類、決まった手続き方法、決まった窓口。
書類を発行するには決まった書類に必要事項を書いて提出する。提出する時には収入印紙も一緒に持っていかないとダメです。とりあえず書類だけ受け取っておいて、あとで持ってきてくださいとはなりません。
あそこの窓口は空いてそうだから、あそこで受付してもらおうとするのもダメです。
「空いてるんやったら対応してくれよ。」と僕も思うのですが、そこまで徹底したマニュアル通りだからこそ、役所の中が回るのだと思います。

そういった意味では、婚姻届は役所の中ではかなり自由の効いた書類だなと思います。
紙のサイズやフォントなどのルールを守っていれば、ディズニーのデザインの婚姻届でも提出可能です。
最近では住民票などはオンラインで申請できる地域もありますので、決まったルールとマニュアルがありながらも、役所も昔からずっと同じわけではありません。
役所なりに工夫していることがわかります。

マニュアル通りできることはダメなことでは無く、まずはマニュアル通りできなくてはいけません。
マニュアル通り出来ることは必要最低限であると思います。
マニュアルはそのジャンルの土台のようなものです。
土台がしっかりしていないと、応用なんてできません。

ピカソは変な絵ばかり描いていますが、実はめちゃくちゃ絵が上手いんです。
“ピカソ 上手”で検索すると、びっくりするくらい上手な絵が出てきます。
ピカソが14歳の時に書いた絵も出てきますが、めちゃくちゃまともな絵です。
あのヘンテコな絵は、マニュアルを完璧にこなした先にあるものだと知った時は、「マニュアル通りの絵の描き方から、どうやったらああなるねん。」という気持ちと同時に「やっぱりマニュアルは必要なんか。」とマニュアルの必要性を実感しました。

ピカソのように、人はマニュアルに慣れてきたらアレンジしたくなります。
技術の発展もマニュアルからアレンジを加えて発展してきたことでしょう。

慣れてきたら仕事が退屈になってくるように、いつまでもマニュアル通りはつまらないです。
ですがマニュアルは土台であるように、誰かがマニュアル通りに仕事をこなしてくれないと、仕事は回りません。
好き勝手に動いている人の近くにはマニュアル通りに仕事をこなしている人がいるはずです。
マニュアル通りに仕事してくれる人がいるからこそ、好き勝手に動くことができます。

この土台のマニュアルが今後はAIに置き換わるという話もあります。
これはどうでしょう。
医者が薬を処方するときは、薬に点数があって、合計何点超えてはいけないというルールがあるそうです。それもジャンルごとにあるので、漢方は2種類までしか出せません。
この点数把握は機械で行われており、点数を超えると病院へ連絡がいくようです。
昔はそんな規定はなく、必要であれば3,4種類出していたそうです。
少し前までは、機械に引っかかったら人がチェックして「なるほど。この処方内容か。」と納得できるのもであれば合格になっていたのですが、今は機械だけのチェックになっています。
医者はこういう組み合わせならもっと治療の効果が出せるのに、点数に引っかかるので処方出来ない。という状況だそうです。

バンドが演奏をしているとき、ボーカルやギターが目立ちますが、ドラムとベースがしっかりしていないとボーカルとギターは自由に動き回ることができません。
CD音源とは違うギターソロを弾いたりできるのも、ドラムとベースが安定した演奏をしているからこそなのです。
そして少しボーカルの歌うテンポが速くなっても、それに合わながら「元のテンポにもどってこいよ〜。」とリズムを調節することもしています。
これが機械100%のカラオケだと、どうにもなりません。
歌う側は常にカラオケ音源に合わせなくてはいけません。

こういう現状をみてみると、機械に任せていると更に融通が効かずに住みにくい社会になりそうです。融通の効かないと思われる役所もますます融通が効かなくなりそうです。

そして処方箋の点数をチェックして処方された薬の内容を確認していた人がいたように、バンドではリズム隊のドラムやベースが重要であるように、マニュアル通りできる人がいるからこそ安定しています。
歌い手に合わせて調節するように、人の手によるマニュアル通りの動きは、マニュアル通りに見えていても、ちょっとした調節はしてくれているのでしょう。

これからどんどんマニュアル通りの仕事がAIであったり機械に移り変わっていきますが、変わった時に“更に融通が効かなくなっていないか?”ということは気にしておかないといけないでしょう。

化粧品研究者こまっきー

↓こちらへどうぞ↓

www.komacky.com