化粧品研究者こまっきーの語り部屋

化粧品研究者こまっきーが普段考えていることを書き留める、日記のようなもの。

無知の罪。

無知は罪になるでしょうか。
「知らんかった。」は罪になるでしょうか。

罪の意味には“法にふれる罪”と“人がしてはならない行い。正しくない行いをした結果の罪”の2種類あります。

“法にふれる罪”はわかりやすいです。
こういうことをすれば、いくら以上の罰金と定義されています。
しかし“人がしてはならない行い。正しくない行いをした結果の罪”の方は、特に定義されているものではありません。

今年は僕の同級生の子供が小学生になったという投稿をSNSで見かけるようになりました。
友達は子供がランドセルを背負った写真や、宿題をやっている姿を撮って、投稿しています。
するとふと思います。
「僕は小学何年生まで、ちゃんと教えられるだろうか。」と。

僕は小学生を経験しているのですから、教えられるはずです。
小学生の頃は親から「100点取れて当たり前。」と言われていましたので、それに近い点数を取っていたのだと思います。
だったら8割9割理解しているはずです。

理解していることと教えることは違うので、教えることはまた別かもしれません。
勉強にしてもスポーツにしても、出来る子は感覚で出来てしまいます。
なので出来る子に「これどうやって出来たん?」っと聞いても「なんとなく」とか「こうして、こうして、こう!」とよく分からない説明を受けるだけです。
感覚で覚えていくのは子供の頃の話で、大人になれば色々試行錯誤して生活しています。なので、その試行錯誤しているときを思い出して、その時の思考の順番を参考に丁寧に教えることができるのではないかと思っています。

中学生はどうでしょうか。
小学生の頃は「地元の中学が荒れているから。」という理由で、無理やり勉強させられていました。
その反動あってか、部活という逃げ道が出来たからか、僕は勉強をしなくなりました。
中学の頃の成績はクラスで下から10番以内。37人中31位とかでした。
25位だったら「よく頑張った。」と思っていました。
苦手科目は数学と理科と英語でした。
今、化粧品を研究をしている僕を知っている人には想像がつかないかもしれませんが、中学の時は数学と理科と英語は試験の後は常に補習を受けていました。

高校に入ってからは「生物系の学部に行きたい。」と自ら勉強し始めたので、高校の勉強はある程度は教えられるかもしれません。
中学の数学の延長線上に高校の数学があるので、数学は中学の範囲でも教えることができるかもしれません。
でも多分無理です。
あんなに一杯勉強した数学も、英語も、生物の知識は大学でも今でも使っているので覚えていますが、数学と英語は使わなさすぎて忘れているでしょう。
数学の公式を見て「ああ、これね。」と思い出すことができるか不安です。

社会人になってすぐの頃は「新聞の1面に載っているようなニュースは誰かが教えてくれるから、新聞なんか見なくていい。」と思っていました。会社に行けば上司がスポーツ欄の話をしたり1面に載っているニュースの話をするからです。すでに知っている話を聞くのはツライものがあります。でも知らなかったら新鮮な気持ちで聞くことが出来ます。
たとえ興味のないスポーツの話であっても、知っていると知らないでは上司の話を聞く姿勢は自然と変わります。
「なんや、新聞読んでへんのか。」と言いながら嬉しそうに話す上司を見て、ニュースを話したい上司と聞きたい僕でバランスが取れていると感じていました。

なので、世間のニュースを自分で知ろうとする時間は勿体ないと思っていました。
自分で知ろうとしなくても、上司との世間話の時間は必ず必要ですから、その時間が世間の情報収集と兼ねれば一石二鳥だからです。
1日の時間は限られているので、電車は本を読む時間、仕事中は研究と自分の興味がある研究の情報収集と、休憩のように上司と世間話をして世間の情報を収集していました。

「これではダメや。」と気づいたのは、つい数年前です。
人によって情報を観る視点が違うので、解釈が異なる事に気づきました。
だったらその人の視点を理解したうえで、その人の解釈を聞かないといけません。
上司からの情報は上司目線の情報です。
テレビや新聞を見て、上司が興味をもった情報を僕が聞いているだけで、テレビや新聞はもっと他の話をしていたかもしれません。もっと違う解釈だったかもしれません。
僕にとって大事な情報は上司とは違うこともあります。
また、上司の視点を理解するには、その情報をより深く理解しておく必要があるので、上司から情報を聞く前に情報を深く知ってないといけないことに気づきました。

思えばこれは研究のときに行っていることでした。
例えば新しくマスカラを作って、社内でモニターをした際には、普段使っているマスカラと好きなマスカラをアンケート用紙に書いてもらうようにしました。
人それぞれ好きなマスカラは違います。
ボリューム系のマスカラが好きな人にロング系のマスカラを渡しても「付きが悪い。」という悪い評価が出るでしょう。
ロング系のマスカラが好きな人にボリューム系のマスカラを渡すと「ボテボテする。」という悪い評価が出ます。

モニターをするときは、使う人の好みを把握して評価を観る必要があります。
ボリューム系のマスカラの評価のときに、普段ロング系のマスカラを使っているなら悪い評価が出て当然です。
そして普段使っているマスカラがどういうマスカラであるかも知っておかなくてはいけません。
ボリューム系のマスカラの評価のときに、普段ボリューム系のマスカラを使っている人から「ボリュームが足りない。」と悪い評価が出たとします。そこでその人が普段使っているマスカラを確認します。僕が目指しているボリューム系のマスカラよりも更にボリューム系のあるマスカラであれば、僕にとってこの評価は良い評価となります。
僕が目指しているボリューム系のマスカラと近い仕上がりのマスカラを普段使用している人から悪い評価が出れば「なにが違うんやろう。」と考えます。
このように、どんな情報でも情報を発信する側の視点を理解して、その人からの情報を読み取らないと、良い評価が悪い評価になり、悪い評価が良い評価になってしまいます。
そのためには、沢山のマスカラを知っておく必要があります。
先程の上司からの世間の情報も同じように、その情報の深く知っておかないと、上司からの情報をどう受け止めれば良いのか分からなくなります。
ただそのまま鵜呑みにしていては、ダメです。

なので僕たちは知ろうとすることを辞めてはいけないと思います。
知っておかないと判断が出来ません。
「グッチのカバンやけど、そんなに高くなかってん。」という話を聞いても、グッチのカバンの普段の価格がわからなければ、なんとなくでしか判断出来ないでしょう。

かといって、なんでもかんでも知ることは難しいです。
今勤めている仕事の業種の情報は、仕事柄よく入ってきますが、それ以外の情報は入ってきません。
1つのニュースでも様々な視点があるので、1つのニュースに対してすべての視点の情報を収集するのは無理があるでしょう。
それでもできるだけ多くの情報を集めて、様々な考え方があることを知り、それぞれの発信者がどういう立ち位置で発信しているのかが理解できないと、発信された情報を正しく理解することは難しいでしょう。
それでも知ろうとし続けなくてはいけません。

そのためには小学校、中学校、高校で学んだ基礎知識は必須だと思います。
必要最低限の知識がこの12年間に詰まっています。
大学も専門の基礎知識を勉強する4年間ですから、大学を含めた16年間が基礎知識を習得する時間であると言えます。

世界や経済の状況を知るには、歴史の知識が必要です。
国と国との関係も歴史を知らないと、よく分かりません。
よく分からないまま争いを見て、ひどいことをしてそうな国を批判するのは間違っているでしょう。

僕は基礎知識がない今の自分の状態はダメだと考えています。
大人になって、自分が学んだきた内容を子供に教えられない、学んできた延長線上でニュースの情報を把握することが出来ない、子供の場合はそうなるだろうという話ですが、そんな自分ではダメです。
そのうち「知らんかった。」では済まされないことが起こったら、取り返しのつかない選択をしてしまったら、後悔しても遅すぎます。
そうならないためにも、無知の罪を自覚し、今気になるジャンルの基礎知識から復習をしています。

化粧品研究者こまっきー

↓こちらへどうぞ↓

www.komacky.com