化粧品研究者こまっきーの語り部屋

化粧品研究者こまっきーが普段考えていることを書き留める、日記のようなもの。

皆が信じているのは何か。

仕事で付き合いのあるおじさんと話をしていると、たまに政治に対する怒りを僕にぶつけてきます。
「ホンマあいつらは自分のことしか考えとらへん。」と世間話に最近ニュースで話題になった政治の話をして怒っています。
ですが何かあると、政府を信用しています。
普段あんなに信用していないのに、何故いざというときに政府の発言を信用してしまうのでしょうか。

例えば職場に嘘ばっかりつく人がいたとします。
学校のクラス内でもいいです。
いつも調子良く適当に話を合わせている人で、今日A君と話しているときに「女性は髪の毛が長いほうが良いよな。」とA君が言うと、「せやな。女性は髪の毛が長いほうが良い。」と言い、次の日にB君と話しているときにB君が「女性はショートカットの方が良いよな。」と言うと、「せやな。女性はショートカットのほうが良い。」と、明らかに話を合わせているだけの人を見て、その人の発言を信用出来ますでしょうか。

またはあること無いこと言いふらす人で、ちょっと噂を耳にすれば何倍も話を膨らませて話す人の話なら、「どこまでがホンマなんやろ。」と殆ど信用しないと思います。

そんな人達がここぞという時に発言をしても、その話に信憑性があるのか怪しく、「分かった。分かった。」と言って受け流すはずです。

まるでワンピースのウソップだったりオオカミ少年のような話で、これは最後は本当に出来事が起こるのですが、これはそういう寓話です。
イソップ寓話の1つであるオオカミ少年は、“人は嘘をつき続けると、本当のことを言ったときに信じてもらえなくなる。”、“日頃から正直に生活することで大切な時に他人から信頼と助けを得ることが出来る。”という教訓を示すために書かれた話です。
決して“日頃嘘をついている人でも、いざというときには本当のことを言う。”という教訓を示しているわけではありません。
しかし実際にはオオカミ少年のように信用出来ない政治家の意見を、常に信じないのではなく、いざという時は信用しています。

何故なのかと考えてみると、国民は政治家が直接発信している内容を見ていないことに気づきました。
首相を含め、殆どの政治家はテレビや新聞からでしか、国民は首相の話を聞くことが出来ません。今でこそXで発信している政治家もいますが、そのツイートを見ているのは良くも悪くもその人に興味がある人だけで、見ている人はテレビや新聞ほど多くはありません。
するとやはり今でも、テレビや新聞での政治家の発言を見て怒ったり、信用したりしているようです。

Xでのツイートなら、その人の言葉を一字一句そのまま読み取ることが出来ます。
YouTubeで発信している政治家も同じく、その人の言葉を直接聞くことが出来ます。
しかしテレビや新聞の場合は、言葉が部分的にカットされていることが殆どです。
10分スピーチすれば、10分のスピーチをテレビで流し、新聞で文字起こしするのではなく、一部を切り取って、後はメディア側の発言が混ざります。
すると、一部の切り取りを流した後に、テレビでは司会が「さあ、◯◯さん。これについてどうお考えですか?」と番組に出ている人に意見を求めて、それに答える場面を見ていると、その答えに納得して、「そうだ。そうだ。」と発言している人の怒りをそのまま受け取って、一緒に怒ってしまいます。
つまり、怒っているのは政治家の発言ではなく、政治家の発言に対してコメントをした人の内容に感化されて怒っているのです。

なので普段は「あんな首相じゃあかんわ。」と言いながら、いざという時は信用するのではないかと考えています。
いざという時、メディアは政治家と同じ意見であったり、同じだけど「もっと早く行動するべき。」と発言することで、国民は「今の首相はアカンわ。」と思いながら首相と同じ意見の行動を取っています。

今はテレビを見ずにXなどのSNSで情報収集している人も増えています。
ニュースのアカウントをフォローしながらも、個人の発信者をフォローして、個人の人の発言を参考にするようになりました。
個人なら信用出来るのかと言えばそうではないでしょう。
服のショップ店員のアカウントなら、今ブランドが推したい、売りたい商品でコーデを組んで投稿するのは当たり前です。
それと同じように政治・経済の情報も、その個人が発信したい内容が投稿されます。
そして誰かの発言にリツイートで自分の考えを発信して、共感を得れればフォロワーが増えます。

誰かの発言にリツイートするというのは、まるでテレビや新聞などのメディアが、政治家の発言を一部切り取ってスタジオで好きに言い合って、番組を見ている側の思考を操りたいのと同じ行動です。
Twitterの時は1回の投稿ではつぶやくくらいしか出来ませんでした。発信者は投稿に返信するような形で、長文を複数の投稿に分けていました。すると、ある個人の発信者が長文を分割した投稿のある1つの投稿をリツイートでコメントを付けて拡散すれば、元の発信者の意図とは違う解釈で広まってしまいます。
今は登録すれば長文の投稿が可能になりましたが、リツイートする人が、発言の一部を切り取って発信すれば、殆どの人は元の長文投稿を読まずに、リツイートした人の投稿内容を読んで、それが元の発信者の投稿内容であると考えてしまうでしょう。

切り取り動画も同じで、あれは番組の予告のように興味をそそるものですが、切り取り動画から本編を観に行く人はどれくらいいるでしょうか。
多分、殆どいないんじゃないかと思います。

ということは、メディアを信用していない人がSNSで情報収集しても、その情報はメディアと同じ行動をしている人の情報を収集しているだけとなります。
つまり、皆が信じているのは、メディアの内容ということになります。

大手メディアの発信をリツイートしているならば、政治家の発言を大手メディアが一部を切り取って自分たちの言葉を付け足し、更に個人の発信者が大手メディアが付け足した政治家の言葉に怒り心頭して投稿し、それを見た僕たちが怒り心頭していることになります。

結局、大手メディア以外の情報収集の手段が生まれて、政治家が直接発信することが出来ても、ほとんどの人が政治家が直接発信している投稿を見ていません。
皆が見ているのは大手にしろ個人にしろメディアを通した政治家の発信です。
だからYouTubeで政治家がチャンネル開設をしても、個人の政治ニュースを発信するアカウントには登録者数も再生回数も上回ることが出来ません。

それはつまり政治家やメディアだけではなく、国民側も政治をエンタメとして見ているということですから、国全体で政治をエンタメにしてしまっています。

だからと言って、大手メディアや個人の発信者の投稿は見るなと言っているわけではありません。
政治家の話す内容は難しいことが多いので、それが原因で再生回数が伸びないのだと思いますが、その難しさを何となくでも理解出来るようにならければ、ずっとメディアに踊らせれるでしょう。
大手メディアや個人の発信者の投稿は、1つの考え方として捉えて、興味がある内容であれば、元ネタの情報を見に行くべきです。
難しければ基礎知識の本を買って勉強するべきです。

テレビを見る人が減り、新聞を取る人が減っても、皆が信じているのは結局メディアであることは今も変わっていないと思います。

化粧品研究者こまっきー

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