化粧品研究者こまっきーの語り部屋

化粧品研究者こまっきーが普段考えていることを書き留める、日記のようなもの。

自信なんて要らない。

僕は自信なんて必要ないと考えています。
自信なんて持たないほうが良いです。

自信は油断に繋がってしまいます。
「自分は出来る!」と自信を持ったって、出来ない時は出来ません。
それ以前に、出来るようになるための努力をしなければ、出来ないのは当たり前です。
最近は“自信の育て方”という風な、努力ではなく自信を持つことを推奨されており、なにかを取り組む前に自信を持つことばかりに目がいってしまっています。
そして対して取り組んでいないのに、「自分には出来る!」と自信だけ持って取り組むから、失敗したときに立ち直れなくなります。

アニメなどにもよく描かれていますが、自信は怠慢にも繋がります。
ただ自信だけ持っていて、大したトレーニングもしていないのに「俺様は強い!」なんて言っているキャラは大抵弱いです。
そりゃトレーニングをして強くなろうとしていないので当然なのですが、自信を変に持ってしまうと怠慢にも繋がります。

高校生の頃から化粧品の研究をして、自分で商品を出してみたいと思っていた僕が、今そのとおりに研究をしながら自社ブランドを立ち上げている話をすると、“自信がある人”として見られがちです。
または実際に僕と話したことがある人は、僕のことを“自信がある人”と捉えているように思います。実際にそんなことを聞かれたこともあります。

しかし僕には自信なんてありません。
基礎知識や論文を読んで勉強をして、あーでもないこーでもないと何年もかけて研究をして、1つの商品を作っています。
商品が出来た時は「よし。出来た!」と思いますが、しばらくすると「こういう視点で研究したこと無いな。こういう風にスキンケアを作ったらどうなるんやろう。」と新たな研究が始まります。

商品を発売するときは1つの考えを元に研究をしてその中で一番良かったもの、自分が使いたいと思えるものを商品化しますが、考えや違う視点は次々生まれてきます。
商品を販売しながら、「今の商品よりも、こういう風に作ったほうが良かったのではないか?」と研究をしています。
あまり興味がなくても、自分が試したことがないものは試すようにしています。
最近だとビタミン誘導体系に興味がなかったのですが、研究をして自分なりに結論が出せました。
研究をしていて、今の商品よりも良いものが出来れば、リニューアルをします。
ある意味で研究は“今の商品が一番良いか”の確認になっています。

「今の商品よりも、こういう風に作ったほうが良かったのではないか?」と考えることは、その時の自分の研究に対する考え方に疑問を持っているということです。
自分を疑っているということです。
自分で自分を疑いながら、研究をし続けている僕に自信なんてありません。

研究をしているときは「もっと他にあるんじゃないか?」と思いながら研究をしたり、論文などを読んで情報収集をしています。改めて生物学や生命科学の勉強をし直すことで、「原料選びに対する考え方が変わるのではないか。」と思いながら勉強をしています。
今の自分が持っている知識やその知識量は少ないと思っている時点で、自信なんてありません。

自信は無くて当然だと思います。
おそらく僕が何十年もかけて研究をし続けても、化粧品の一部しか知ることは出来ないでしょう。一般的には化粧品の成分の種類はそんなに多くないと思っているかもしれませんが、研究者で全ての成分のことを知っている人なんていないと思います。
それくらい成分は沢山あり、同じ成分名でも種類違いがあります。
同じ成分名でもメーカーによって中身は違います。
変に「俺は化粧品に詳しいぞ。」と自信を持ってしまうと、そこでもう知識の吸収はストップしてしまいます。
今流行っている成分くらいしか新たに知ることが出来なくなってしまいます。
もしくは誰かに教えてもらうものしか、知れなくなってしまいます。
沢山あるうちの少ししか知れてないのですから、詳しくなくて当然です。

「自分はまだまだ。」
そう思うからこそ、研究を続け、情報収集を勉強をし続けることが出来ます。自信を持ってしまうと、そこが頂点ですから、研究も情報収集もストップです。
自分に自信を持ってしまうと、研究は自分の考え方のベースから離れることはなく、情報収集もしなくなります。
「自信とはそういう意味じゃない。」と思うかも知れませんが、自信を持ってしまうと成長しなくなりがちです。

自信を持つと安心するのは、今の状態で壁を作って殻にこもっているようなものです。
殻にこもってしまうと、それ以上の成長は見込めないでしょう。

なので、自信は持たないほうがいいのです。
世間の情報も自分が今持っている情報も、自分が信じていることも、全部疑っているくらいが丁度良いと思います。
自分が今、1つのことを信じていても、たまに「これで良いのか?」と不安に思って、調べて「やっぱりこのやり方で良いのか。」を繰り返すくらいが丁度いいです。
自信を持たずに疑っているからこそ、自然と自分で新たな情報を得ようとします。
「私はこれが正しいと思う!」と自信を持ってしまえば、それ以上の情報収集を怠ってしまいます。何となく自分が間違っていることに気づいても、自信とプライドが邪魔をしてきます。

僕は自分に対して半信半疑です。
自分に自身を持っていないからこそ、安心できます。
自分が自分を100%信じてしまうことは、非常に怖いことです。
世間の情報に対しても半信半疑です。
自分が「この人が書いてる本の内容は勉強になる。」と思っても、その人を信じることも崇拝することはありません。
そういう情報がある。そういう考え方がある。
というくらいで、必要なときに活用できるように、記憶の中にフォルダを作って保存しておきます。

誰一人、知り尽くしている人はいないと思います。
それくらい同じ情報でもちょっと視点を変えれば全然違う情報に読み取れます。
問題として取り上げられている話題も、その内容は当事者からすれば的はずれなことは、よくあります。
視点が変われば全然違う世界に見える情報はまるでパラレルワールドです。

僕は化粧品の研究にしても、日々の暮らしの考え方にしても、「これで間違いない。」と思わないように気をつけています。
「こうしたらどうだろうか。」とやってみて、良さそうなら続けてみる。
「どうだろう。」くらいの気持ちですから、また新たなアイデアが思い浮かびます。

自信なんて持とうとするから、不安になります。
無理に自信を持ったって「これでいいんだろうか。」という不安がつきまとうでしょう。
それを振り払って我道を進んでも、良いことはないでしょう。
自信を持つことよりも、自分自身にも疑問を持ち続け、ずっと「まだまだ。」と「もっともっと。」という気持ちを持っていることの方が大事だと思います。

化粧品研究者こまっきー

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