今から20年ほど前の話です。
小学校5年生の頃、初めて家族でハワイ旅行に行きました。
その頃のハワイはまだ全然未開拓で、今ほどご飯は美味しくありませんでした。
野菜は水分が全然なくて、人参はパリパリで美味しくないし、ラーメン屋さんなんてありませんでした。
有名な鉄板焼きのお店“田中オブ東京”もこじんまりとした店でした。
今ではいくつもテーブルがあり、各テーブルごとに鉄板があって、1つのグループごとに目の前で調理してくれますが、昔はコの字カウンター1つで、バーみたいなお店だったと記憶しています。
僕が小学校5年生の頃ですから2003年です。
まだ小学校には英語は取り入れられていない時代で、英語は話せると凄いと思うのは今も変わらずかもしれませんが、今以上に英語は話せない人が多い時代でした。
当然家族は誰も英語が話せません。
ですので、ツアー旅行でした。
ハワイの場合は、街の中をJTBやHISが各社でトロリーバスを運行しています。
プラス市営のトロリーの一部の路線に乗ることができて、ツアーで旅行に行けばトロリーは乗り放題です。
他の海外旅行とは違い、どこかに行くのに毎回ツアーを組む必要はなく、アラモアナショッピングセンターやダイヤモンドヘッド、カメハメハ大王像などの観光はトロリーを使っていきます。
食事もホテルやお店の予約をしたい場合は旅行会社が主要ホテルにラウンジを設けているので、そこに行けば予約してもらうことができます。
よくあるツアーで行くと、アラモアナショッピングセンターは今日半日だけと決まっていますが、結構自由に観光しやすいのがハワイのいいところです。
タイトルにある「ドーン、バーン!」事件はホテル街にあるABCストアで起こりました。
ABCストアとは、ハワイにあるコンビニみたいなもので飲み物や食べ物からお土産まで色々売っています。
ダイヤモンドヘッドに登る日の朝、飲み物を買いにABCストアに行きました。
ジュースを選び、店内をぶらぶらしていると、どこからか
「ブシャーッ」
という音がしました。
音がした方へ行ってみると、両手いっぱいにペットボトルを持った母の手からペットボトルが落ちて、キャップが外れて中身が出てしまったのです。
落ちたくらいでキャップが外れるなんて日本ではありえないんですが、海外のペットボトルって結構いい加減なんです。
驚いて様子を見に来た店員さんに、慌てて焦る母が一言、
「ドーン、バーン!」と言いました。
口だけではなく、身振りで振りで両手を上から下にまっすぐ振り、斜め外側に両手を少し上げました。
僕は「一体、何してるんや。英語で言わな伝わらへんやろ。」と変な目で母を見ていましたが、
店員はそれで状況を把握し、
「オーゥ、&%$jcn@!」
といい、多分「大丈夫よ。」みたいなことを言って、事態は収まったのです。
もしも英語が使えたなら、「ドーン、バーン!」とは言わずちゃんと説明できたでしょう。
でも話せなかったからこそ、母は必死に考えて、外国の人に伝わる方法をやってみました。
最近はそういlったトラブルを「わざとじゃないか?」と疑わないといけないことも多いです。
いくら英語が話せたとしても、疑われては意味がありません。
おそらく店員さんは必死に説明しようとする母をみて、「わざとじゃない。」と感じ取ったのでしょう。
もしも英語が使えたなら、思い出にならなかったでしょう。
スマートに処理していては普段どおりなので、記憶にも残らないでしょう。
ただ母がペットボトルを落としただけの話ですから。
ところが目の前で母が「ドーン、バーン!」と言ったのがおかしかったからこそ、
20年以上経った今でも記憶に残っています。
子供からすると、親が慌てている姿は面白いです。
僕のブログで度々話題にしていることの1つに“便利は本当にいいのか?”という疑問があります。
今はこれが発達しすぎているせいで、こんなトラブルも検索1つで例文が出てくるでしょう。
すぐに翻訳が出てきますから、「ペットボトルを落としてキャップが破裂した。」を英語翻訳して、店員さんに見せればいいですし、AIの機能を使えばお互いの話をそれぞれの言語で翻訳することができます。
おそらくそれでは記憶に残らないし、思い出ってトラブルの塊だったりするので、
やっぱり便利すぎるより、ちょっと不便くらいのほうが丁度いいような気がします。
なにより、日本語が伝わらない人にどうやって伝えるか?ということを自分で答えを探すことって大事だと思うのです。
スマホで調べればすぐに答えが出てきます。
なんでも調べれば、なんらかの答えが出てきます。
しかしそれは必ずしも正解だとは限りません。
検索で出てくる答えはその答えを作った人が考えた答えであって、自分には合わないことはよくあります。
ですので最終的には正解は自分で考えて選ばなくてはいけないのです。
自分で考えて答えを選ばないといけないということは普段からその姿勢でなくてはいけません。
常に「調べればなんとかなる。」と思っていては、自分で考えて答えを選ぶことは出来ませんし、そんな発想にもならないでしょう。
今回の話で言うと日本語を英語に翻訳することはしてくれても、そのときの自分の「やってしまった!」という感情は伝わりません。
その感情が伝わるか伝わらないかで店員さんの対応は変わる可能性があることからも、調べて出てくることを、それだけをやっていてはいけないでしょう。
翻訳した文章を見せたので説明が伝わっているはずのに、店員さんが怒り出したら、いつも検索で答えを見つけている人は打つ手無しになるでしょう。
「ドーン、バーン!」で乗り切れた母は、「これを機に、英語を勉強しよう!」とはならず、
「大切なのは、気持ちや。」と言って、未だに英語は全く話せないまま海外旅行へ行き、日本語で相手に話しかけ、ジェスチャーで乗り切っています。
それはそれでどうかと思いますが、乗り切れているところからも、コミュニケーションには言葉以上に必要なものがあることが分かります。
スマホが当たり前で、検索すれば何かしら答えがある社会ですが、その答えは必ずしも自分に適切とは限りません。
検索しても、答えは自分で考えないといけません。
少し前のように、「ドーン、バーン!」を編み出さないと乗り切れなかった時代とは違っているのですから、自分で考えて答えを選ぶことは普段から意識しておかないと、小さな壁すらも超えていけなくなるでしょう。
化粧品研究者こまっきー
↓こちらへどうぞ↓