化粧品がピリピリしたり、肌荒れが何回もあると、「スキンケアが合ってないんかな?」と考えたことがあると思います。
色々調べると、この成分があーだこーだと書いてあるので、すると「この成分が自分に合わないんだ。」と、合っていない成分の特定をする人がいます。
しかし、化粧品研究者でも、1つの化粧品が合っていないときに、その中から合わない成分を見つけることは出来ません。
合わない成分を見つける時は全成分を見るでしょう。
化粧品の全成分表記は1%以下は順不同で、それ以上は配合量順で表記されています。
ただそれだけです。
成分が何%入ってるかの表記はありません。
例えば、果汁100%のオレンジジュースと果汁3%のオレンジジュースがあれば、どちらを選ぶでしょうか。
ほとんどの人が100%の方を選ぶと思いますが、どちらかを選べたのは配合量(%)が表記されているからです。
化粧品にはこの表記がありません。
また、最近では表記しているメーカーもありますが、たとえ表記していても、合わない成分は特定できません。化粧品はオレンジ果汁1つだけのオレンジジュースではないからです。
ミックスジュースのように色んな成分が入っています。
例えばミックスジュースに配合量が表記されているとします。
牛乳40%、バナナ10%、りんご10%、オレンジ10%、パイン10%、レモン10%、砂糖10%。
こう表記されているミックスジュースを飲んで、蕁麻疹が起こったとします。
では、どれが原因で蕁麻疹が起こったのでしょうか?
牛乳でしょうか?バナナでしょうか?りんごでしょうか?オレンジでしょうか?パイン?それともレモンか砂糖でしょうか?
ミックスジュースを飲んだだけでは、なぜ蕁麻疹が起こったのか、何が合わなかったのか分からずに、このミックスジュースを飲むのをやめると思います。
では、このミックスジュースの中から、合わないものを探すにはどうすれば良いでしょうか。
ミックジュースのように食べれるものなら、1つずつ食べてみれば良いのです。
牛乳、バナナ、りんご、オレンジ、パイン、レモン、砂糖をそれぞれ食べてみます。
すると、どれかで蕁麻疹が起こるでしょう。
もしかしたら、蕁麻疹が起こるのは複数あるかもしれません。
ちなみに化粧品の場合、これの検証はやっても意味がないことがあります。
防腐剤のパラベンなら、配合量に上限があり1%までと決まっています。
そんなパラベンを100%の状態で塗布して刺激があっても、合わない成分とは言えません。
またパラベンは固形ですので、肌に馴染みません。
オリーブオイルとかホホバオイルなら塗って試してが出来ますが、化粧品の成分は出来ないものがあります。
次に実際のミックスジュースの濃度に調節する必要があります。
レモン100%で食べると蕁麻疹が起こるけれど、薄めたら蕁麻疹が起こらない可能性があります。
化粧品は塗るものですので、レモン果汁100%を肌に塗ると痒くなっても、レモン果汁1%だったら水と同じようなものなので、痒くならないかもしれません。
同じ成分でも濃度で大きく変わってきます。
このミックスジュースは牛乳は40%、その他は10%の濃度なので、それぞれ水で割って飲んでみます。
この時、飲む量も重要です。
ミックスジュースを100ml飲んだのなら、それぞれ水で薄めたものも100ml飲まないといけません。飲む量が変われば、レモン果汁の摂取量が変わります。50ml飲むと、レモン果汁は10%なのでレモン果汁の摂取量は5mlです。実際は100mlの10%でレモン果汁は10ml飲んでいいますので、摂取量が違います。
蕁麻疹が起こるのか?を検証するには、濃度だけではなく摂取量も大切です。
これを化粧品で考えると、「スキンケアが合っていないかも?」と思って、今使っている化粧水のどの成分が合っていないかを調べるには、成分それぞれの配合量がわからないといけません。成分それぞれを配合量に合わせて水で薄めて、化粧水を塗る量と同じ量を肌に塗ってみて、合わない成分を探さないと、合わない成分は見つかりません。
どの成分も水で薄めて肌に塗ってみても、特に刺激を感じなかった場合は、成分の組み合わせによる刺激が原因である可能性があります。
すると組み合わせを検証していかなくてはいけません。
これはミックスジュースで考えただけでも大変な作業であることが想像できると思います。
ミックスジュースに含まれている牛乳やフルーツなら、スーパーで買えるかもしれませんが、化粧品の原料はその辺で買えるものではありません。
また牛乳も、色んなメーカーの牛乳があり、産地や製造方法の違いがあるように、化粧品原料も、メーカーによって精製方法が違うので、同じ表示名でも質が異なります。
特に植物系の成分はメーカーによって違います。
感触や臭い、融点などが違い、酸化しやすいと刺激になり得ます。
刺激を感じた成分の特定ができると、次はどの濃度で刺激が起こるのかを検証します。
パラベン1%だと刺激があるが、0.5%だと刺激がない可能性があるからです。
いくつもの濃度の水で薄めたパラベンを肌に塗布して、刺激がない濃度の確認をします。
0.2%で刺激を感じないのであれば、パラベンは0.2%までなら配合していても使えるということになります。
合わない成分を特定するには、今使っている化粧水をそれぞれの成分で分けて、化粧水の配合されている濃度を水で薄めて試して成分を特定し、その成分の濃度違いを試して濃度の特定までしないといけません。
成分の配合量は各メーカーのノウハウの部分になりますので、基本的には化粧品には配合量の表記はありませんが、たとえ表記されていても、原料メーカーや種類によって様々な成分があることから、合わない成分の特定がいかに難しいかが理解できたのではないかと思います。
化粧品研究者の僕でも無理だと言ったのは、配合量が分かりませんし、仮に分かっても、その化粧水を作っているメーカーがどの原料メーカーの原料を使っているのか分からないので、他社製品を使って刺激を感じた場合、合わない成分の特定は出来ないのです。
これは自社の商品だと検証ができます。
自社の商品なら、どこの原料メーカーの原料をどれくらい配合しているのか分かっています。研究所に原料が置いてあるので、それを使えば特定することが出来るでしょう。
これくらい、合わない成分の特定は難しいので、合わない成分の特定をするのではなく、その化粧品を使って合うか合わないかを考えるべきだと思います。
他にも、季節や自分の体調によって、肌に元々炎症があれば今まで使えていた化粧品が使えなくなることがありますので、自分の体調も合わせて考慮しなければいけません。
それでも何を使っても合わなくて、原因を特定したい場合、何か判断基準がないと化粧品を選べないと思うのであれば、合う合わないを特定しやすい成分があります。
1つ目は香料です。
単純に香料ありの化粧水と、無香料の化粧水をいくつも使ってみます。
いくつも使わないといけないのは、他の成分による刺激の可能性を減らすために、色んなメーカーの香料ありの化粧水と香料なしの化粧水を使ってみます。
香料も成分と配合量によって刺激の有無が変わってきますが、香料ありの化粧水で刺激を感じるものがあり、香料なしの化粧水なら刺激を感じないのであれば、香料が刺激になりやすい可能性があります。
2つ目はエタノールです。
化粧水でエタノールありとエタノールなしを香料と同じようにいくつも試してみます。
エタノールはさっぱりさせる目的で入っていたりするのですが、エタノールありの化粧水で、
塗ってすぐ顔が赤くなったり、ヒリヒリ、チクチクするのであれば、エタノールが合っていない可能性があります。
この場合は全成分をみると思いますが、エタノールはエキス原料にも含まれていることがあります。エキス原料に含まれているエタノールなら、全成分の真ん中から後ろの方に書かれており、それは1%以下ですので、1%以下のエタノールは気にしなくていいと思います。
全成分を見て、水やBG、グリセリンあたりにエタノールが書いてあるものと、書いてないもので試してみてください。
また、エタノールの他に変性アルコールと書いてあるものもあります。
これも、エタノールありに含めて検討してみるといいです。
エタノールありの化粧水の中でも、変性アルコールを含んだものだけに刺激を感じるのであれば、変性アルコールが合っていない可能性があります。
この時、メーカーは様々である方がいいです。
この検討はヘアケアではなく、スキンケアのように肌に塗る化粧品の方がいいです。
スキンケアで検証して、香料で刺激を感じる場合、ヘアケアでも香料による刺激で頭皮が痒くなっている可能性がありますが、ヘアケアは香料なしでは難しいと思います。
出来るだけ香りがキツくないヘアケアの方が、刺激が感じないかもしれません。
これも、あくまで合っていない可能性です。
配合量もどこの会社の成分かも分からないし、刺激を感じる時は自分の体調もあるので、自分に合わない成分の特定は難しいです。
その中でも香料とエタノールが、ありとなしをいくつも試せば、合っている合っていないがわかるかも知れません。
ただし、合っていない場合には刺激になりますから、刺激になっても合っていないことを知りたいと思う場合ということになるでしょう。
自分に合った化粧品を探すのは自分の体調のことも考慮しないといけませんが、判断基準が違うと、迷子になってしまいます。
迷子になりやすそうな判断基準の1つとして、合わない成分の特定が難しいことを知ってもらえたらと思います。
化粧品研究者こまっきー
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