「テレビや新聞は信用ならない。」とSNSで発信し続ける人が増えてきて、僕も数年はその流れに乗っていました。
SNSで話されていることの方が「なるほど。」と思ったからです。
しかし最近は、SNSもテレビや新聞と変わらないか、もしくはSNSの方が怖いと感じています。
自分が何かで失敗をすれば、次に同じようなことが起こった時は「次は失敗しないようにしよう。」と慎重になります。
ところが、情報の場合はそうはなりません。
ある情報が流されて、それが間違っていたと分かり、修正された情報が流れると「なんや、あれは間違ってたんか。」と納得してしまうのです。
自分の失敗の場合は、修正するのも自分なので慎重になれて、情報の場合は間違っていると発信するのは、最初に流した情報ところと違うところから発信されるので、納得してしまうのかもしれません。
それでも一昔前までは、テレビや新聞で流れていた情報が「実は・・・」と週刊誌で違う情報が発信されても、殆どの人が「ホンマかあ?」と思っていました。
それはテレビや新聞は間違っていないと考えていたというよりも、週刊誌はホンマか嘘か分からないと考えていたからだと思います。
そう思うのも、テレビや新聞の情報が軸となっているからかも知れませんが、週刊誌でテレビや新聞とは違う情報が載っていても、「ホンマか嘘か分からへんけど、ホンマやったら面白い。」くらいの感覚で芸能スクープを楽しみに見ていた人もいるのではないでしょうか。
それがSNSが普及してからは変わったと感じています。
それは週刊誌に対する視点もそうです。
ホンマか嘘か分からない週刊誌ではなく、ホンマのことをズバッと書いてくるのが週刊誌であると考えられて、週刊誌の情報を元にSNSで「テレビは本当をことを話さない!」と発信する人が増えました。
僕はそもそも、情報は見る人や会社の考えで発信する内容は変わると思っています。
伝言ゲームをすれば、最初の人と最後の人で内容が違うことがよくあります。
それは聞いて伝えるだけでも自分の先入観が入ってしまい、伝える時には情報が変化してしまうからです。
喧嘩した時、お互いが「あいつから先に殴ってきた!」と先生に話すように、出来事は同じでも話す内容が異なります。
自分自身の日々の生活でも、このようなことが起こるのですから、実体験ではない、伝言ゲームのような情報は先入観が何重にもかかっていると考えています。
それはテレビも新聞も週刊誌もSNSも同じです。
そのように考えれば、僕はSNSの方が怖いと思います。
テレビや新聞は、会社ですから情報発信に軸があります。
会社は株主のものなので、株主が納得する情報を発信することが軸になっており、それは株主が変わらない限り変わりません。
週刊誌もそうでしょう。
週刊誌も会社ですので、週刊誌の軸というのがあると思います。
軸があるという意味では、情報の内容は量より質となっています。
ところがSNSは違います。
各アカウントごとに軸はあるアカウントもありますが、話題になるトピックやその内容はその時々で変わります。
Xならツイート数が多い内容が話題になります。
ということは、1つの情報に対して沢山のアカウントが同じ情報を発信すると、そのトピックが話題になり、同じような内容の投稿ばかりを見るようになります。
これはテレビや新聞とは違い、質よりも量で情報の内容が変化します。
SNSには拡散する機能があります。
あるアカウントは自分が思っていることを発信しているだけですが、そのアカウントの発信内容を広めて、大衆の思考をそっちに持っていきたいと思えば、大量のアカウントがリツイートしたり、返信すればいいのです。
すると、その人の発言がトレンドやおすすめユーザーに上がってくるようになります。
これは、発信する人が自ら行なっている場合と、誰かが行なっている場合と、その両方があると思います。
誰かが行なっている場合、発信している本人にはその動きが見えないので、「自分の考えていることが世間に伝わり、共感してくれる人が増えてきた。」とますます発信に励むようになります。
これはSNSの怖いところです。
発信している以上は、自分の考えていることを伝えたいという気持ちがあると思いますが、その情報が広まるか広まらないかを自分の知らないところで行われ、気付けば有名人になっていると、よほど自分に軸がない限り、その波に飲まれてしまいます。
自分の考えを発信するためにSNSを始めたはずが、気がつけばみんなが納得してくれることを発信するようになり、フォロワーが増えていくことやどれくらい拡散されるかといった結果ばかりを気にするようになってしまいます。
拡散されるには現状を批判し、激しい言葉で言った方が拡散されやすいので、口調も変化していきます。
テレビや新聞には読んでいる人をフォローし合うようなシステムがありません。
拡散する機能もありません。
個々で観たり読んだりして、リアルで会話するときに情報が発信されるだけです。
ただ一回の放送で全国に広がるので、情報を広める力は強いですが、フォローしあうことがないため、テレビや新聞が炎上することはありません。
炎上するのはSNSからです。
テレビの情報であっても新聞の情報であっても、その情報を使ってSNSで炎上をしています。
週刊誌で話題になっても「これホンマかあ?」と思っていた情報でも、SNSだと違います。
SNSでテレビや新聞の情報に不信感を持っている人向けに発信されているアカウントが、週刊誌の情報を引用リツイートで発信すれば、それは間違いない情報だと考えてしまう人が多いです。
テレビや新聞は、テレビや新聞と人とが繋がっていますが、SNSは人と人とを繋げているので、感情が伝染しやすいのか、SNSでは炎上が起こります。
炎上が起こるということは、SNSは同じような感情を持つ人たちを集めやすいということです。
集まれば集まるほど、炎は燃え盛ります。
同時に、ひとりひとりは他のことも考えていたはずですが、集まってしまうことで、目の前の炎の部分しか見えなくなってしまいます。
このように考えると、SNSはテレビや新聞以上に、集団化しやすいと思います。
コントロールはテレビでも新聞でもできますが、SNSは集団化しやすいことが特徴です。
これは今年に入って本格化してきたと感じています。
東京都知事選では地方の市長を経験した石丸伸二さんが165万票を集めました。第2位でした。市長を1期まるまる終えてもいないのに、途中でやめちゃった人を普通なら選ばないんじゃないかと思うのですが、SNSではその人がかなり取り上げられていました。
先月の衆議院選挙は国民民主党が大きく議席を増やしました。
選挙の1週間前からYouTubeでは国民民主党に関する動画がおすすめ欄に沢山表示されるようになりました。国民民主党のことを一度も検索したことも、動画を見たこともないのに、国民民主党関連の動画がおすすめ欄に沢山表示されていて、不思議に思ってました。
今月の兵庫県都知事選は、SNSだけではなくテレビでも斉藤元彦さんが演説する時は凄い人が集まって、斉藤コールが起こっていることが取り上げられています。
動画を一度見てもらえればと思いますが、あんなこと考えられるでしょうか?
これは変です。明らかに変です。
僕たちは家族同士であっても夫婦であっても、お互いどの政党に投票するかを話さないほど、自分の考えを公にしなかったのに、海外のデモみたいな行動を取るようになってきています。
もしくはそのようなシーンを見るようになっています。
これはTwitter界隈で起こっていた運動がリアルに現れてきたと感じています。
石丸伸二さんが、国民民主党が、斉藤元彦さんが良い悪いという話ではなく、SNSの得意とする集団化がSNS内だけだったのが、現実にまで影響してきました。
SNSの得意とする集団化を使えば、こんなにも票が集まるという結果が出ました。
まさにSNSを制するものは、世論を制するです。
今回の兵庫県知事のことでいうなら、最初の情報が間違っていて、実はこうでしたという話が出て、斉藤さんへの指示が集まっています。
僕は「斉藤さんの話はどっちがホンマなんやろう。判断できひんな。」と思います。
ちょっと距離を置いて考えたくなります。
ところが、Xで斉藤さんを批判していたアカウントが今は積極的に応援しています。
つい1ヶ月前まであんなに批判していたのに、何故そんなに正反対の意見に変われるのか?と疑問に思います。
正反対の意見に変われるほど、間違いない情報が発信されているわけではありませんし、まだ調査中のはずです。つまり、SNSの情報でこれだけ左右されていることになります。
こんなにも簡単に人の感情や行動をコントロールできてしまうSNSを怖いと思います。
そして簡単に集団化できて、現実に反映されているところを見ていると、今後はもっとこの方法を活用していくでしょう。
よく考えれば自分たちが嫌だと思う選択であっても、SNSの炎上や集団に入ってしまえば、そんなことを忘れて、迷わず一直線に突き進んでしまいそうです。
というか、今年の選挙を見ていると、もう迷わず一直線に突き進んでしまっている人が増えているのではないでしょうか。
SNSはもっと距離を置いてみないと、危ないと思います。
気軽に使えたSNSが怖い場所に変わりました。
化粧品研究者こまっきー
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