化粧品研究者こまっきーの語り部屋

化粧品研究者こまっきーが普段考えていることを書き留める、日記のようなもの。

水分を飛ばさないスキンケア。

僕は化粧品の中でも主にメイクを作る下請けの化粧品会社で働いていました。
下請けの化粧品工場は大体スキンケアとヘアケアの工場とメイクの工場に分かれます。
例えば化粧水100mlを1000本作ろうと思うと、100L製造できる釜が必要になります。
シャンプー500mlを1000本だと、500L製造できる釜が必要になります。
100Lと500Lでは大きさが全然違うので、作る量からスキンケアとヘアケアも分けられるのですが、工場ではサイズ違いの釜を持って、スキンケアからヘアケアまで対応しているところが多いです。

メイクはオイル主体のものと粉が主体のものなどがありますが、スキンケアやヘアケアとは製造量が大きく違います。
口紅は1本3gくらいですので、1000本作っても3kgです。
水で考えると1L=1kgですから、スキンケアの方に単位を合わせると3Lということになります。
同じ1000個の化粧品を作っても、化粧水の100Lとシャンプー500Lと比べて、口紅は3Lしか作りませんので、釜はもっと小さくなります。
プレストファンデーションやアイシャドウのような粉の場合はそもそも釜がまた全然違う形のものを使用するので、粉の化粧品を作るときは専門の機械が必要になります。
さらに、メイクには色やパールなどを配合する点が、スキンケアやヘアケアの工場がメイクの機械を導入しない理由の1つであるので、メイクの工場はメイク専門のような工場になります。
研究をするときは白衣を着て研究をしますが、メイクの研究をしていると、色がついて汚れたり、粉が舞ってパールがついて白衣や髪の毛がキラキラしたりするので、メイクは専門の工場になるのが何となく納得できます。少なくとも1年に1回は白衣を変えないといけません。

そんなメイクの下請け会社で働いていた僕ですが、将来は「自分がいいと思う化粧品を販売したい。」と考えていたので、働くためというよりも修行のつもりで入社しました。メイクの研究をすることになったのは、転職した時にすぐに採用をいただいたからですが、僕にとってはすごく良い環境でした。

仕事面の良い部分は1つ前の記事で話しましたので、今回は化粧品に対する姿勢について話したいと思います。
スキンケアやヘアケアとメイクの工場の違いを話したのが、ここに繋がります。
化粧水は100mlでシャンプーは500mlで、口紅は3gです。
口紅は極端に内容量が少ないです。
商品の原価は原材料、製造コストと資材などなどで、原材料は内容量に比例して高くなります。
例えば1kg1万円の原材料だとすると、化粧水100mlの原材料は1000円で、シャンプー500mlは5000円です。ところが口紅は3gなので30円なのです。
同じ原材料価格でも内容量が違うと、これだけ原価の差が出てきます。
実際にはスキンケアやヘアケアで原材料1kg1万円はないんじゃないかと思いますが、「じゃあなんで口紅があんなに高いんだ。」と言われると、製造の部分でかかる時間と労力が全然違うと、ここでは簡単に言っておきます。
メイクは工場の数もスキンケアやヘアケアと比べて格段に少ないくらい、面倒なことが多いです。

僕は今ファンデーションの他に、スキンケアとヘアケアの商品を販売しています。
商品化するときに原価計算をして、内容量でこんなに金額が変わるのかと、分かってはいたものの改めて驚きました。
口紅は3gと内容量が少ない分、原価をあまり気にせずに作ることができます。
5000円だろうが1万円だろうが、もっと安かろうが、原価数十円の世界ですから、安く作りたいという案件でない限り、価格を気にせずに作ることができます。
正直、メイクを作るときは価格を気にしたことが殆どありません。
価格をあまり気にせずに、色の付き具合や使用感といった部分を意識して研究をしていました。
研究者ですから、まずは価格を気にせず研究をしてみるものだとは思いますが、それでも上司や他部署から価格のことを言われ続けながら研究をしていると、どうしても原材料の価格が頭をよぎるでしょう。
やっぱり口紅3gの感覚とは違うはずです。
僕はメイクの感覚でスキンケアやヘアケアの研究ができているのは良かったと思っています。
気になる成分をまずはちゃんと配合して、使ってみて良いか悪いか判断する。
それを繰り返して、最終的に良い物ができて、初めて原材料の価格を計算しています。
ヘアケアの原材料の計算をしたときは、販売価格をどうするかかなり悩みましたが、メイクの下請け会社で研究をしたことで、メイクの感覚でスキンケアやヘアケアの研究をしていることは商品開発に活きていると考えています。

メイクの独特なポイントはもう一つあります。
それはエキスなどの謳いをあまり気にしなくて良いというポイントです。
スキンケアやヘアケアはケア用品なので、エキスなどの成分は何を配合するかといったことは研究されると思います。実際に僕もスキンケアやヘアケアの研究のときはエキスをいくつも試して、肌や髪にいいと思えるエキスを採用しました。
すると、今流行りのエキスというものに、どうも引っ張られることがあります。営業マンも今流行りのエキスを紹介してきますし、僕と同じように下請け会社であれば、流行のエキスを配合した化粧品開発の案件が増えるでしょうから、流行に大きく左右された研究になってしまうのではないかと思います。
そんなことは思っていなくても、続けていれば自然とその思考になっていることはよくあることです。エキスを気にしなくていい環境だったからこそ、流行関係なく、自分の研究結果の良し悪しからエキスなどのケア成分が選択できていると思っています。

メイクにも流行はありますが、それはエキスなどよりも口紅がリキッドになったりと、アイテムが変わったり使用感が変わることが多いです。
メイクをするの目的は見た目を変えることですから、その流行に乗ることはメイクそのものの研究に繋がります。流行に合わせてマットな口紅を研究したり、柔らかい口紅を研究することは、自分の修行になっていました。研究者ですから、エキスの流行も追いかけていたものの、研究がメイクの本質である仕上がりや付け心地、化粧持ちの部分に注力できていたので、本質を理解しながら研究する癖がついたと思っています。

またスキンケアやヘアケアはケア用品ですから、メイクとは違い、使用感よりもケアの部分が本質の部分だと考えています。
口コミでは使用感の部分が書かれていることが多いので、ケア用品も使用感を重視してしまいそうになりますが、使用感はあくまで+αだと思っています。大切なのはケアの部分で、その上で使用感を良くできるなら良くしますし、良くしたことでケアの部分が損なわれるのであれば、良くしないです。
こまっきーのヘアケアがまさにそうで、こまっきーシャンプーを洗い流した後、髪の毛は少しキシキシしていますが、その方がトリートメントの吸着がいいと考えています。トリートメントもヘアミルクもそうですが、ケアを重視してヘアケアを作ったので、使用感は少し物足りないかもしれません。
それでもケアを重視しているので、髪の毛を乾かした後は、綺麗な髪の毛になるように作りました。使い続けても髪の毛は重たくならず、綺麗な髪の毛が持続していると感じてもらえるはずです。

スキンケアは化粧水とオイルの2STEPにしました。
これもケアを重視したときに、水のケアとオイルのケアは分けてケアした方がいいと考えて、乳液やクリームではなく、オイルにしました。乳液やクリームの方が使用感はいいのですが、ケアのことを考えるとオイルの方が優れていると考えています。
化粧水では素早く浸透するような水を選択し、水系からできるケアを考えて成分を選択しました。素早く浸透することで、肌表面に水分が残らず、水分の蒸発を防ぐことができます。
肌の構造が乱れていると水分が蒸発しやすくなり、乾燥肌になるという画像を見たことがあると思います。オイルは素早く浸透させた水分が蒸発しないように、肌の構造からオイル成分の選択をしました。
スキンケアを作る時に、ニキビなどの出来た肌荒れに対するケアではなく、荒れないようにケアするスキンケアを作ろうと考えたのも、メイクの研究の思考が反映されていると思っています。

あっという間に気温が下がり、空気も乾燥するようになってきました。
肌が乾燥するなら水分を飛ばさない、こまっきーのスキンケアを。
髪の毛に静電気が起こったり、パサつくのであれば、ケア重視のこまっきーのヘアケアをぜひ試してみてください。

化粧品研究者こまっきー

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