僕がまだ化粧品の研究所に勤めていた頃、知人から「なあなあ、最近こんなん流行ってるけど、これってどおなん?」や「このスキンケア買おうと思ってるねんけど良いんかな?」とかそういう相談がありました。
化粧品の研究をしていれば分かるだろうと思ったのでしょう。
気になるスキンケアの画像が送られてきたり、気を利かせて全成分がわかる写真を送ってきてくれる子もいました。
しかし、研究者でも自分が携わっていない化粧品の良し悪しは分かりません。
全成分は1%以下は順不同、それ以上は多い順に書かれています。
しかしどこから1%以下なのかはわかりませんし、1つ1つの成分の配合量が書いてあるわけでもありません。配合量によってその成分の効果を実感できたり、刺激になることがあります。特に防腐剤は少しの差で刺激につながることがあるので、僕も刺激になるならないの境目を自分で検討したことがあります。
また他の成分と合わさって刺激につながっていることもあるので、全成分から判断するのは不可能だと考えています。
ですので、僕は一般の人が成分の勉強をしても意味がないと思っています。
「こういう調味料を使って、それぞれ大さじ1ずつ入れて、麻婆豆腐を作っていきます。」という動画を見ても、使用する調味料がプロ用でスーパーでは買えないなら、麻婆豆腐の作り方を勉強しても仕方ないのと同じです。
中華料理屋に行って麻婆豆腐を食べて、このお店の麻婆豆腐が美味しいかどうかを判断する。
使ってる調味料や食材の名前は同じようなはずなのに、お店によって調味料のメーカーや配合量の違いで味が変わってきますが、お店で麻婆豆腐を食べれば、その麻婆豆腐が美味しいかどうかという判断をすると思います。
これと同じように、そのブランドの化粧品を使ってみて判断するしかないのです。
判断基準に関しては、体調によっても変わってきますので、化粧品においては化粧品だけではなく自身の体調や日常も合わせて考えることが大切です。
全成分で確認出来ることはアレルギーを持っている人が、アレルギー物質に相当する成分が入っていないかを確認するくらいだと思います。
その人が甲殻類を食べると蕁麻疹になるなら、少量でも食品に入っていると蕁麻疹が起こるように、配合量や他の成分との組み合わせに関係なく、アレルギー物質であれば、書いてあるだけで判断できます。
少し前に同じような話をして、その時はスキンケアなら、香料やエタノールなら合っている合っていないの判断が出来るかもしれないという話を最後にしました。
後で思い出したのですが、美白系やビタミンC誘導体が入っている場合はpHが中性から外れていることが多いので、塗るとピリピリした刺激を感じることがあります。
メイクなら、実際に行って触ってみるとアドバイス出来ることはあるかもしれません。
唇が荒れやすい人が口紅を探していて、気になる商品を教えてもらった時「パール入ってるから荒れるかもしれへんで。」と言えば、キラキラ感を求めていないのであれば、キラキラしていない口紅で同じような色味の口紅を探すようになるでしょう。
パールもチクチクしやすいパールとそうでないパールがあるのですが、それはおそらく研究していないと判断が難しいと思います。
注意点は実際に買いに行くと、目の前の商品への興味で忘れてしまいがちなので、一緒に行けば注意点を忘れずに選ぶことができるでしょう。
注意点は以前の記事に書いてありますので、良かったら参考にしていただき、肌が弱い人は買うときに注意点を意識して選んでみるものいいかもしれません。
自分が化粧品のブランドを立ち上げて、化粧品の発売した時も友達から「それ良いの?」と聞かれたことがあります。
「そりゃ、自分で研究して良いと思ったから商品にしたんや。」と言いたいところをぐっと抑えて、「サンプルあるけど、使ってみる?」と返事するようにしていました。
結構「それ良いの?」と聞かれることがあったのですが、おそらく「それ良いの?」は挨拶のような、枕詞のように使っていると考えています。
友達に営業をかけるなんてもってのほかだと思っているので、僕はブランドを立ち上げることとブランド用にインスタのアカウントを立ち上げることを個人のアカウントで投稿しただけで、友達に「良かったらフォローして!」や「拡散してほしい!」と直接連絡するような、積極的に働きかけることはしませんでした。
以前に、そういう営業を知り合いから受けたことがあり、「これは嫌やな。」と感じたことがあったので、これだけはしてはいけないと感じています。
なので、気になって声をかけてくれたのは嬉しいなと思います。
僕からは特になにも推すことはない中で、実際に購入してくれると「気に入ってくれたんかな。」と嬉しくなります。
友達が声をかけてきてくれたんやから、丁寧に対応するべきか悩みましたが、どうしても営業トークにしかならない話を友達にすることに抵抗がありました。
応援の気持ちもあって声をかけてきてくれたであろう人に、営業トークするのはなんか違うと思います。
サンプル渡して、使ってみて良いと思ってくれたら買ってくれるだろうし、そうじゃなかったらそうじゃないで良いと思っています。
イベントに出たりすることもあるのですが、そんな時、ブースに来られたお客さんからも「これ良いの?」と聞かれることがあります。
自分が営業トークされるのがよっぽど嫌だからか、一般の人にでも営業トークはしないように気をつけています。相手の悩みや相談に答えることや、その悩みに僕の化粧品が当てはまるかどうかの話はしても、「それやったら、これがオススメですよ!」なんてセリフは1回も言ったことがありません。
僕は良いと思っているから商品にしたので、お客さんはお客さんで良いかどうか判断してもらえたらと思っています。お客さんがするべき判断に「良い違いない!」と思わせるようなことを吹き込みたくないのです。
これはたまに話している、“自分の基準で判断する”ということを大切にしているからかもしれません。
自分は自分の基準で判断するべきだと言いながら、商品を売るときは相手の判断をコントロールするようなことをするのは間違っています。
ですので、お客さん自身で、買うか買わないか、使ってみて良いか悪いかの判断が出来るような情報を伝えるようにしています。
化粧品の研究職に就いた頃も、自社ブランドを立ち上げた後に友達からもお客さんからも、「このスキンケア良いの?」と聞かれることがありますが、いつのときでも、返事にはいつも悩みます。
かといって曖昧な返事をして「こいつ実は全然知らないんじゃあ・・・」と思われても困ります。
興味があるからこそ声をかけてきてくれているので、上手く説明して、僕が考えるスキンケアやヘアケア、ベースメイクを理解してもらって、気に入ってもらえたらと思います。
化粧品研究者こまっきー
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