化粧品研究者こまっきーの語り部屋

化粧品研究者こまっきーが普段考えていることを書き留める、日記のようなもの。

“やりがい”を求めて苦しんでいく。

“やりがい”
この言葉があちこちで言われるようになったのは、いつからなのでしょうか。
少なくとも、僕が就活をしていた2013年にはもうすでに“やりがい”は連呼されていました。
会社説明会に行っても、“やりがい”を感じれる職場であることをアピールしたり、営業マンが前で話して「〜こういう時にやりがいを感じます。」と話していました。

あちこちで言われていましたので、果たして“やりがい”効果がどこまであったのかは分かりません。あまりあちこちで使いすぎると、その価値は下がっていきます。
少なくとも僕はどこに行っても“やりがい”の話が必ずあったので、“やりがい”=その会社の仕事の紹介くらいにしか考えていませんでした。

就活生の自己PRと会社説明会のどちらが先だったのかは分かりませんが、就活生も“やりがい”という言葉を使っていました。自己PRは「自分はこういうとき“やりがい”を感じます。」と話して、自分が感じる“やりがい”と会社側が話していた“やりがい”が同じであることをアピールします。

しかしまあ、“やりがい”を感じると言葉にする部分は大体同じです。
本人は違うところで“やりがい”というものを感じていたとしても、就活の時は自己PRすることが目的です。
その目的に自分の“やりがい”を感じる部分ではアピールが弱いと感じると、一般的な“やりがい”ポイントにすり替えるでしょうから、自己PRというのは同じような内容になっていきます。
就活というのは転職の時には無い独特な空気が漂っていています。
アピールしないといけないのに、みんなと一緒じゃないといけないという空気です。
アピールして面接が上手くいかないと「みんなと一緒の方が良かったのかも。」とみんなが話している内容に合わせようとします。
転職をしてみると分かりますが、就活の時の面接の一体感はかなり独特の空気感です。

社会人になる前、就活の時に採用されるためだけに使用した“やりがい”という言葉は、そのためだけに使用したはずが、あまりに沢山、口にしていると、自分にその気はなくとも記憶に残ります。
大学4年を過ごしたら、就職しないといけないので就活をした。
とりあえず普通に働けたらいい。
と考えている人なら、転職は考えないはずです。
わざわざ今の会社に辞めることを告げて、事務処理をいくつもやって、辞めた後は役所に届けを出しに行って、転職先を探すというのは面倒だからです。
今の仕事をやりながら、転職先を探すという方法もありますが、これは結構大変です。
事務職の場合は、募集している会社は空きが出たから募集しているのですぐに来て欲しいと考えています。
なので今の仕事をしながら転職活動をしている人は、いつ辞めていつ会社に入って来れるか分からないので、今の仕事をしながら事務職として採用されるのは難しいそうです。
普通に働ければいいと考えていた人からすれば、転職というのは無い方が楽なはずなんですが、社会人になってから、転職を意識してしまうことが度々出てきます。

それは“やりがい”という言葉を耳にしたときです。
就活の時に周りに合わせて使っていた“やりがい”という言葉は、使いすぎて記憶の片隅に残っています。何回も言っていると、自分にはその気は無かったのに本当に仕事に“やりがい”を求めてしまうこともあります。
就活が終わってから就職するまでは半年くらいあるので、その間に忘れてしまって、社会人になればバタバタ慌ただしくて思い出すこともなかった“やりがい”が、ふと電車の広告やYouTubeの広告で“やりがい”という言葉を耳にすると、就活していた時のことが蘇ります。
この時に過去が美化されて、「自分は就活をしていたとき、“やりがい”を求めていたはずなのに。」と思えば、転職をしようと考えます。
そして転職をしても、また“やりがい”という言葉を聞くと現状に不満を感じて転職を考え始めます。

就活の時に採用されるためだけに使っていたはずの“やりがい”という言葉は、いつの間にか自分が仕事に求める重要事項になってしまうことがあります。
一種の暗示にかかったような感覚で、“やりがい”という言葉を聞くと現状に不満を感じてしまうのはなぜでしょうか。

僕は“やりがい”を与えられるものだと勘違いしているのではないかと思っています。
就活で会社説明会にいけば、「この会社は“やりがい”のある仕事ができる会社です!」と言います。営業マンが「こういう時に“やりがい”を感じます。」と話す内容は自分もそこで働けば、“やりがい”を感じれるように錯覚します。
つまり、最初に聞いた“やりがい”が与えられるものばかりなので、勘違いしてしまっているのではないかと思うのです。

“やりがい”は何かをした時の満足感ですから、与えられて感じれるものではありません。
そして満足感を感じるかどうかは自分次第です。
愚痴愚痴言ってたら、満足感を感じることもないでしょう。
自分次第でどうとでもなるのが“やりがい”ですので、転職は関係ないのです。

そもそも、なんのために仕事をしているのでしょうか。
これは人それぞれですが、生活のために働いているのではあれば、仕事に“やりがい”は要らないでしょう。“やりがい”を感じれるのは仕事だけはありませんので、趣味や家庭、私生活の部分で“やりがい”を感じていればいいはずです。
仕事=“やりがい”と繋げてしまうから、求めてしまい、自分の本心とは違う行動を取るようになってしまいます。

私生活まで広げて生活全体でみれば、“やりがい”といえば当てはめにくいかもしれませんが、満足感を感じることは沢山あると思います。
「自分は頑張っている!」なんて自分に言い聞かせなくても、何かしていればそれなりに満足感はあると思います。
楽しいとは、満足や喜びを表現しているので、楽しいと感じていれば、満足感があるということになり、“やりがい”を感じていることになります。

ということは、“やりがい”なんてそこまで気にしなくていいことなのに、求めなくてそこにあるはずなのに、求めるから探してしまい、“やりがい”の無さに苦しんでいるように思います。
どうも“やりがい”という言葉にはそういう催眠効果があるようですので、“やりがい”という言葉は就活の時に使った後は、意図的に距離を置いた方がいいのかもしれません。

化粧品研究者こまっきー

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