1992年で早生まれの僕が二十歳になった2012年にはすでに政治家批判が始まっていました。
ちょうど民主党政権のときです。
それ以降、自民党に戻ってアベノミクスが始まったとき、最初はアベノミクスで日本は立ち直ると前向きな話が多かったです。アベノミクスが始まった頃に「それは良くない。」と批判したジャーナリストは当時を振り返り、反対意見は封じ込められていたと話していました。
とにかく民主党政権時代が悪くて、アベノミクスこそが正しい政治なんだと、「いつ第2の矢、第3の矢を放つのか?」ということをテレビではしきりに報道されていました。
しかし2014年から下請け会社で働いていた僕には、全く成功していないことを実感していました。2014年に下請けの化粧品会社に転職した頃は、新商品の開発は活発で、開発から商品化する確率も高く、1回の発注数量も多かったです。メイクアップ製品を作る工場で働いていましたので、口紅やアイシャドウなどを作っていました。
新しく口紅を作るお客さんでも、5色商品化したり、多い時で10色商品化するときもありました。商品開発に勢いがあったのです。
それが、2年経つと様子が変わってきました。
まず口紅を5色も作ろうと考える人はかなり減りました。
たまにそういう依頼もありますが、見積もりを出すと、合計金額を見て断念するお客さんばかりになりました。
口紅の依頼は5色から3色になり、新しく来る依頼は今流行っているものをいち早く売りたいと考える人が多くなりました。
全体的に1回の発注数量も、リピート注文も少なくなっていきました。
下請けをしていると、リピートが来る商品や依頼内容から、商売の状態を感じることができます。僕には、アベノミクスは一定の流れに乗った人だけが儲けることができるように見えていました。
当時はあんなに盛り上がっていたアベノミクスも、今ではアベノミクスのせいで経済がめちゃくちゃになったという声が聞こえてくるようになりました。
しかし、あの頃は民主党政権が全然ダメで、やっぱり自民党の方が良くて、安倍さんが良いんだっていう空気になっていたんです。
あの頃を振り返って、今に生かすことはたくさんあると思いますが、僕は2つ挙げたいと思います。
1つは、今の政権が悪く見えているとき、勢いづいている政党を選んで良いのかということです。
民主党が与党になったときは、誰もが自民党はダメだと、そう思って民主党に投票したと思います。その時も自分がそう考えたというよりは、世の中がそういう空気感になっていたからだと思います。
民主党がダメでやっぱり自民党だと思って自民党に投票したときも、自分が情報収集をして考えて判断したというよりも、世の中がそういう空気感になっていたからだと思います。
つまり僕たちは世の中の空気感に流されやすいのです。
世の中の空気感に流されやすいことを自覚した上で、ニュースを見たりSNSを見て、どうするか判断しないといけません。
民主党政権時にテレビなどのメディアが鳩山さんを叩きまくったように、アベノミクスをメディア総出で盛り上げたように、流行り物には統一感があるものです。
それはSNSでも同じです。
メディアはちゃんと読売とか朝日と名乗っていますが、SNSのアカウントは誰かもわからない人の発信内容が多く出回る場所です。
情報の偏りがあってはいけないので、イーロンはXは情報統制しないと言っていますが、それはつまり、こっちで流行りを作ることができるということです。
大量のアカウントを作って、同じことを投稿して、リツイートすれば、Xのアルゴリズムではそれが注目されていると判断して、注目のトピックやおすすめの投稿にあがってくるようになります。
マスメディアはそのメディアの発信したい内容を発信するきらいがあるので、情報に偏りがあるのを理解しながら見ることができますが、SNSで注目されている内容は、誰が発信元なのか、偏っているのかどうかから、自分で考えないといけないのです。
SNSで同じ内容をいっぱい投稿するのは、マスメディアが街頭インタビューの内容を厳選しているのと同じです。あれは同じ人が何回も写っているなんて意見もありますが、SNSもマスメディアもやり方は変わりません。
役者をたくさん集めて、「大勢の人が集まっています!」と人気ぶりをアピールする方法はマスメディアだけではなくSNSでも出来ます。
SNSはマスメディアが制御できない分、誰かがマスメディアのように統一感を出そうと思えば、出すことができるんです。
マスメディアの場合はマスメディアだと分かりますが、SNSは誰から発信なのかわからないということに注意しないといけません。
誰から発信かわからないのですが、個人の発信の集合で注目されているように思うと、これが民衆の意見なんだと錯覚してしまいます。
民衆の意見のようにみえるので、賛同してしまいがちですが、マスメディアにしろSNSにしろ、大きな流れには乗るべきかどうか、よくよく考えないといけません。
大きな流れは、自分で調べてみて、たくさんの意見を聞いてみたほうがいいでしょう。
もう1つは、大きな流れに乗った後のことです。
大きな流れに乗ったものの、それが大批判されて「それはダメだ!」となるケースはよくあります。民主党政権誕生からの大批判もそうですし、先月の兵庫県知事選挙もそうです。
あのまま民主党政権が続いて、アベノミクスよりも良かったのかどうかは判断できないことですが、大きな流れに乗って、それが大批判されて、真反対の大きな流れに乗った結果が今の現状です。
ですので、世の中の大きな流れが二転三転するときは、一旦立ち止まって考えないといけないでしょう。
わからなければ、判断せずに、SNSで煽るような投稿をせずに、ちょっと距離を置いてじっと見ているといいと思います。
情報収集することも大事ですが、ちょっと距離を置くことで気づけることもあります。
特にSNSは物理的な距離は遠いのに、心理的な距離が近いので、ついついその勢いに乗ってしまいます。
民主党政権の後は自民党がいました。
今、他の政党が伸びてきていますが、そういえばその前に日本維新の会が伸びてきていたはずです。
日本維新の会が大阪で勢力を拡大していったときは、維新のことを良く感じていましたが、今はかなりイメージが悪いです。
この流れで行くと、出てくる政党が次々に悪いイメージに切り替わっていき、最後は「どの政党もダメやん。」となる可能性があります。
大きな流れに乗った後、必ず大きな流れは悪いイメージに変わり、そして代わりになるものが出てきています。
橋本さんが大阪市長だったのは2011年から2015年です。そこから10年で維新のイメージは悪くなっていきました。
維新のイメージが悪くなってきた頃に国民民主党が出てきました。
なぜ色んな政党が頑張っているとか、そういう良い雰囲気には絶対にならないのでしょうか。
ヒーローもののアニメを見ているように、必ず悪者がいて、ヒーロー的な人がいます。
しかしアニメと違って、ヒーローは後に悪者になり、また新たなヒーローが出てきているのが、現実で起こっていることです。
これではいつかはヒーロー役が尽きてしまうでしょう。
そのときの国民の感情を想像すると、投げやりになってしまうのではないかと、かなり怖いです。
ヒーローが悪者になった時は、本当に悪者になったのかを考えないといけません。
昔は政治家はもっといいイメージがあったようです。
それがバブル崩壊後なのか、リーマンショック以降なのか、民主党政権以降なのかわかりませんが、僕が二十歳になった頃には政治家には悪いイメージがあり、新しく出てくる人がヒーロー扱いされていました。
よく考えれば、新しく出てきた人がいい人とは限りません。
新しく出てきた人が、経験値がないので良いことだけ言っている可能性もあります。
長く活動しているからこそ、色んなことが分かっているので、すぐに判断できないということも考えられます。
考えれば考えるほど、どうしたらいいのか分からなくなりますが、まずは今の政権が悪く見えれば見えるほど「本当に悪いのか?」と流れと反対のことを考えて、持ち上げられている人を「彼は本当に良い人なのか?」と流れと反対のことを考えて、すぐには決断せずに、ちょっと距離を置いて見ていると、何か答えが見えてくるかもしれません。
化粧品研究者こまっきー
↓こちらへどうぞ↓