サッカー選手のクリスティアーノ・ロナウドさんが新しいビジネスジェット機を購入したというニュースがあり、僕がみたニュースサイトのサブタイトルは「サッカー選手には夢があると子供達には伝えたい。」でした。
同じような話を以前も聞いたことがあります。
お笑い芸人が自身の仕事の面白さについて話していて、最後の方には今の暮らしぶりを話し、「夢あるでしょ?」と話されていました。
「サッカー選手には夢があると子供達には伝えたい。」というサブタイトルを見た時に、お笑い芸人の話を聞いた時と全く同じ気持ちになりました。
お金持ちになることが、夢があるということなのでしょうか?
子供がサッカー選手になりたいと思うのは、活躍すればお金持ちになれて、ジェット機が買えて、夢があるからサッカー選手になろうと思うのでしょうか。
おそらく違うでしょう。
キッカケはさておき、憧れの人がサッカー選手だったり、サッカーが好きだからサッカー選手になりたいと思うのではないでしょうか。
「サッカー選手には夢があると子供達には伝えたい。」は子供と大人の感覚のズレが表れているなと思いました。
お笑い芸人はどうでしょうか。
芸人として成功すれば、お金持ちになれて、大豪邸に住めると思うから芸人を目指すのでしょうか。
これも、おそらく違うでしょう。
最近、千鳥やかまいたち辺りの年齢の売れている芸人は、YouTubeなどで暮らしぶりを話しているので、お金持ちのイメージがあるかもしれません。
しかしそれよりも上の世代、中川家とかメッセンジャー辺りの話を聞いていると、売れるまでは結構貧しい暮らしだったことが分かります。千鳥世代の過去の話はあまり知りませんが、同じような環境だったのかもしれません。
中川家は吉本の給料の低さをネタにして、コントをしていますし、吉本の給料が低いというイメージあるのに、芸人になればお金持ちになれるという発想にはならないでしょう。
芸人になる人の目標が全て同じだとは思いませんが、今売れている芸人はお金持ちになるためではなく、ただお笑いが好きでやり続けているのではないかと感じています。
これはサッカー選手も同じでしょう。
サッカーをしているのが楽しいから続けられるのではないでしょうか。
「ああ、今日も試合か。めんどくさいな。」なんて会社勤めのサラリーマンのような気持ちで試合に臨んだら、いいプレーはできないどころか、最悪の場合は怪我をしてしまいます。
気分が乗らない日があったとしても、学生の頃からサッカーをしていて、プロになっても続けられているのはやっぱりサッカーが好きなんだと思います。
となれば、サッカー選手の夢はサッカーを続けられることで、お笑い芸人は芸人を続けられることではないでしょうか。
仕事の内容も重要で、芸人でも体を張る系の仕事は嫌なのに、売れるためにしなくてはいけない状況が続くのは嫌だと思います。
自分の好きな形で続けられる。それがなによりも夢ではないかと思います。
最近、本田哲也さんの“幸せの条件”という本を読み終えました。
先日に“今年読んで面白かった本15選”という記事を書いて、その記事にはこの本は紹介していませんが、今回の話について考えるのにもってこいの小説だと思います。
“幸せの条件”は就職で志望する会社にことごとく落ちて、とりあえず入社した会社でなんとなく働き、大学の頃からなんとなく付き合っている彼氏がいる主人公の梢恵の物語です。
本田哲也さんはキャラ設定が上手なので、最初の方は読んでいるとイライラしてくるのですが、読み終えると、まさにタイトルである“幸せの条件”が見えてきます。
僕は自己啓発本よりも小説の方が、自分について考える時に有効だと考えています。
自己啓発本は“このときはこうする!”とA=Bみたいな答えが書いてありますが、その通りに実行しても中々上手くいきません。自分の性格や、相手との関係、その場の空気など様々なことが組み合わさって行動による結果は変わってきます。
その行動をしたからといって、必ず成功するわけではないのですが、自己啓発本はA=Bと書いてあります。
しかし、小説は違います。
小説には物語があります。
例えば今回紹介した本“幸せの条件”では、どういう風に主人公の梢恵が変わっていくのか、その時はどういう環境なのか、周りの人はどんな感じなのかということが物語になっています。
物語になっているので、心境と行動に周りの環境などがどう組み合わさって変化していくのかが分かりますので、僕は自己啓発的な部分は小説の方がわかりやすいと考えています。
この本が出版されたのは2012年で、2011年に起こった東日本大震災の後ということもあって、地震のことやエネルギーのこと、農業のことが描かれています。
ストーリーを見ていると、そっちに目がいってしまうかもしれません。
農業の方に目がいくと、読み終えたときにお米が食べたくなるかもしれませんが、僕が印象に残ったのはタイトル通り“幸せの条件”の部分でした。
お金持ちになることが幸せなのか?
都会で生活することが幸せなのか?
自分はどうやったら幸せになれるのか?
幸せの条件って何なのか?
そういった疑問をA=Bではなく、“幸せの条件”という小説では物語で知ることができます。
そりゃあお金があるに越したことはありません。
あったらあっただけ助かります。
しかし、その分時間は犠牲になります。
不労所得なんていっても、そのための勉強の時間を考えれば、結構な時間になります。
なーんにもせず、好きなことだけでお金持ちになっている人なんて、多分いないんじゃないかと思います。
お金持ちになるには、それだけの犠牲が必要で、庶民にはわからない人間関係のややこしい話がありそうです。
「お金はないけど、芸人は楽しいよ!」みたいな発言は死語になったのでしょうか。
僕はそれこそが、幸せの条件なのではないかと思います。
化粧品研究者こまっきー
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