これは政治に詳しくない僕が、ニュースを見ていて率直に思うことです。
11月から与党過半数割れの新しい体制が始まりました。
僕は世界に先駆けて、国内多極化政治が始まったと考えています。
選挙の結果もあって、11月以降は国民民主党の動きが立憲民主党や日本維新の会よりも大きく取り上げられるようになりました。
選挙で「給料を上げる。」という発信で票を大幅に獲得した国民民主党がいうように、103万円の壁を壊し、178万円まで引き上げることができるのか?という話は再生数が上がりやすいのでしょう。
11月12月は検索しなくてもyoutubeでは103万円の壁に関する動画がおすすめにあがってくるようになり、その度に「なぜ国民民主党だけが、過半数割れの与党と交渉できる政党になっているか。」と思っていました。
与党が過半数割れしているので、野党のどこかが賛成してくれなければ、何も決まらないのは分かります。しかし、それが別に国民民主党ではなくても、立憲民主党でも日本維新の会でもいいじゃないかと思っていました。
立憲民主党は立場上反対をすると言っていますが、野田さんは以前に「賛成できるところは賛成してきた。」と言っていましたので、常に反対の立場をとる訳ではないでしょう。
日本維新の会はなぜ静かなのかと思っていたら、代表選挙が12月1日にあったので、その前後は静かだったのでしょうか。
国民民主党がどう動くかによって、与党の案が通るかどうかが決まるので、国民民主党は少数でありながらも決定権を持っているかのようなニュースが飛び交っていました。
「なぜ国民民主党ばかり注目されるのか?」そんなことを思っていたら、12月中旬に自民党の123万円まで引き上げる案に、国民民主党が「話にならない。」と言って、1時間協議する予定が10分で終わりました。
178万円を目指すことが自民党、公明党、国民民主党の3党で合意されたのですが、具体的に来年度どうするのかという話になった時に、123万円という金額に対して、国民民主党は「話にならない。」といい、自民党の宮沢税調会長が「交渉は進めていきたい。グリーンはどこですか?」という問いかけに対し、国民民主党の玉木さんは「178万円だ。」とXで呟きました。
そんなこんなしているうちに、日本維新の会が前に出てきました。
僕が以前から思っていた、国民民主党以外の政党が賛成をすれば、自民党がいう123万円で決まることが現実味を帯びてきました。
それに対して国民民主党の玉木さんは「123万円になったのは、維新と手を組んだからだ。」とXで投稿し、日本維新の会の吉村さんは「そんな密約はない。」と返事しています。
国民民主党がいう178万円まで引き上げた場合、税収が7-8兆円減ると試算されています。
一方、日本維新の会の高校無償化が実現した場合、税収は約6000億円減ると試算されています。
103万円の壁に関しては、11月に地方自治体から、「103万円という金額を変更することは賛成だが、178万円まで引き上げると市町村の税収に影響が出て財政破綻になる地域が出てくる。」という声が上がっていました。
そう考えると、日本維新の会が掲げる高校無償化は約6000億円ですので、税収が極端に減る案よりは、あまり減らさずに改善できる策の方が有利になるでしょう。
しかし国民民主党は税収が多すぎるので、多すぎる分を減らしているだけだという考えのようです。
国民民主党との交渉が一旦決裂した時、一つ気になったのは、国民民主党が「与党から新たな提案がなかった。」と発言したことでした。
普通、交渉する側が新たな案を出してきて、相手が渋ったら、渋っていることを解決する策は交渉する側が提示するのではないでしょうか。
なぜ交渉する側である国民民主党が、提案待ちなのかが、僕には不思議でした。
そもそも、103万円の壁については自民党内でずっと議論されていたそうです。
ということは、どんなことに支障が出るかをよくわかっていて、情報が多すぎて議論が進んでいなかった可能性があると考えられます。
自民党だってどうしたら変えられるのかを前向きに議論していたのですから、国民民主党はちゃんと自民党の引っ掛かっている部分を解決できれば、178万円まであげれたのではないかと思います。
6回も議論して、自民党が引っ掛かっている部分を解決できるほどの案がなかったということでしょうか。
そして、日本維新の会が前に出てきて、僕は「そりゃそうなるわな。」と思いました。
選挙は国民が、「この人なら、この政党なら。」と思う人や政党に投票をします。
選ばれた人や政党は、選挙の時に掲げた公約を達成できれば、「皆様のおかげで、これこれが実現することができました!」とアピールすることができます。
いったことを実現している政党には注目が集まるので、次の選挙にも影響してくるでしょう。
ということは、政党は選挙の時に掲げた公約をどうやって実現していくかを考えます。
今までは与党が過半数を超えていたので、交渉が難しかったのですが、今は過半数割れをしているので、交渉しやすくなったわけです。
ですので、与党に「それは賛成するから、この案を受け入れてよ。」という交渉はあると考えるのが妥当でしょう。
そしてそれは、野党同士がライバルとなり、いかに自分の政党の案を通すのかという野党同士の争いでもあります。
僕だったら、先手を切って交渉を押し進めていた政党がつまづいたら、「今がチャンス!」と思って、与党に「その案、うちが賛成するからさ・・・」と交渉するでしょうね。
こんな話をすると、どの政党も国民のことを考えていないと感じるかもしれませんが、今のやりかたではこうなると思います。
国民は政党が掲げる公約に賛成して投票し、その政党はたくさんあるので、その政党の案が通るかは、やはり交渉が必要になってきます。
交渉によって実現することは、遠回しではあありますが、国民の意思を実現しているということになるのではないでしょうか。
そしてこの時は、交渉される側、与党の意見も聞くことで、なぜその案ではダメなのかが理解できるのではないかと思います。
国会は政党が掲げた公約を実現するために交渉する場だと考えると、もし日本維新の会が123万円に同意し、高校無償化の案が通ると、日本維新の会は実現出来たとアピールできます。
しかし国民民主党は実現出来なくて、国民民主党にがっかりする人が増えるでしょう。
うまく発信をすれば、その失敗を与党や日本維新の会のせいにできるかもしれませんが、ただの交渉失敗ではないかと思います。
鈴木宗男さんと佐藤優さんが毎月開催している東京大地塾で、今月佐藤さんは交渉についてこのように話していました。ここでは要約して説明します。
交渉には2通りあって入り口論と出口論があります。
入り口論はゴールを決めて、そのゴールが達成できなければ交渉決裂だと言う。しかしこれは、圧倒的に有利な立場でないと通用しないです。
もう1つの出口論はなんの前提条件もなく交渉を進めていって、折り合いをつけれるなら折り合いをつける。ダメなら今回はご縁がなかったということで交渉は終わります。
この交渉方法でいうと、国民民主党が178万円にこだわるやり方は入り口論になります。
しかし、国民民主党は圧倒的に有利な立場なのでしょうか。議席数はたくさんあるのでしょうか。なにか策があるのでしょうか。
僕はとりあえず123万円で合意すればいいじゃないかと思います。
まずは30年以上変わらなかった103万円の壁を取り壊すことができた。1歩前に進むことが出来たと178万円に向けて動かすことが出来たという成果でも良かったのではないかと思うのです。それだけでも変わったというアピールは国民には伝わるはずです。
そして20万円引き上げた1年を振り返って、議論するべきところは議論して、また20万円あげていく。一歩一歩前に進めていくという策はないのでしょうか。
石破さんも「103万円の壁を検討する。」と言っていたのですから、今のままでは103万円の壁を壊したのは石破さん率いる自民党と解釈されてもおかしくないです。
それなのに、178万円に拘っているから他の政党が前に出てきて、困ったことになるのです。
まるで、ゲームをしている弟の横で見ていたお兄ちゃんが、痺れを切らしてコントローラーを奪ってボスを倒してしまう時みたいです。その場合、悪いのはお兄ちゃんかもしれませんが、それを弟がお母さんに言って泣きついても、ゲームをクリアしたのはお兄ちゃんである事実は何も変わりません。
いくらSNSで国民にうまく話せても、結果がでなきゃ意味がないです。
佐藤さんの話を聞いて、ますます「なぜ国民民主党は178万円の案から断固として動かないのか?」と疑問に思います。
入り口論での交渉ができるほどの力はないはずです。
なんだか「国民民主党は折り合いや駆け引きができない政党なのかな?」と思ってしまいます。
選挙で多くの票を獲得し、見事与党になった政党は、国内だけではなく海外とも交渉をすることになります。
日本人同士なら、同じ文化なので交渉しやすいですが、海外となると相手の文化を考慮して交渉をしないといけないので、国内よりははるかに難しくなるでしょう。
そういう意味では、今回の国民民主党の103万円の壁や日本維新の会の高校無償化、どっちが実現できるかについては、それぞれの政党の交渉力がわかる場面であり、世界政治の予選が国内で繰り広げられていると考えられます。
与党がうまく纏めてしまうのか、国民民主党がゴリ押しで178万円まで引き上げるのか、日本維新の会に良いところを持っていかれるのか。
今までは見れなかった、自民党と公明党の与党と日本維新の会と国民民主党の大きく3党の交渉力を見るという視点でこの話を追いかけていくと面白いのではないかと思っています。
化粧品研究者こまっきー
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