今年一年は勉強の年にしようと、まずは復習から始めることにしました。
僕は大学では細胞生物学を先攻していたので、遺伝子やオートファジーなどの細胞の働きについて学んでいました。
当時は興味のある分野しか真面目に聞いていなかったので、ほんの一部の基礎知識しか覚えていません。もしかしたら、その知識は高校生物の知識かも?と思うレベルでしたので、大学の時に買った本を読むことにしました。
大学は高校とは違い、教科書というのはありませんが、必須の参考書というのがありました。
大学の時に買った細胞生物学の基礎の本はブルーバックス社の“アメリカ版 大学生物の教科書”という本で、全3巻あります。
日本の教科書というのは先生が教える前提で中身が作られていますが、この本は読む前提で作られています。ですので、日本の教科書って後から見返してもノートがないとよく分からないのですが、“アメリカ版 大学生物の教科書”はこの本を読めば理解できるような作りになっています。
マセチューセッツ大学やハーバード大学、スタンフォード大学などのアメリカの名門大学の大学生が使用している本と言うと、なんだか難しそうに感じますが、誰でも楽しく細胞生物学を学ぶことができるように作られています。
絵や写真があるので、生物の知識が殆どなく高校で軽く触れただけの人でも、生物学について学びたい場合は、まずはこの本を僕はオススメします。
ビジネス本コーナーにある生物系の本は、書いた人の主張が書かれています。主張というのは納得してもらうために行いますので、その文章を読むと「なるほど。」と思ってしまいます。
しかし、それはその人の主張ですので、基礎知識があると「それはどうなん?」と疑問に思うことは結構あります。
その主張を理解するためには、まずは“アメリカ版 大学生物の教科書”を読んで基礎知識を取り入れる必要があります。
大学の時は教授が前で説明してくれるので、この本を読んだことは一度もありませんでしたが、読んでみると教授が話すよりも随分わかりやすいです。
大学受験の参考書みたいに箇条書きではなく、文章で書かれているので、ポイントを抑えると言うよりは、この学問をストーリーで覚えていくような感じです。
小説のストーリーを箇条書きしても、なにも面白くありません。あれは読んでストーリーになっているから面白くて、前のページで読んだことが今繋がってると感じるから「ああ、あのときの!」と興奮します。
“アメリカ版 大学生物の教科書”は文章で書かれているので、小説の時のように前の章の話と今の章の話に繋がりを感じて、自分の頭の中で思い描いていくので、一つの小説のように知識を吸収できるなと思いました。
これと同じことは歴史の勉強でも感じました。
世界史は中公文庫のウィリアム・H・マクニールさんが書いた上下2巻からなる“世界史”という本を読みました。
歴史の勉強は、授業中は流れで教わったかもしれませんが、結局は穴埋めテストが多かったので、何年に誰が何をしたということばかり覚えるという暗記の勉強だった気がします。
ウィリアム・H・マクニールさんの“世界史”の本を読むと、紀元前から2000年にかけて、人類がどのように移動し、なぜ争い、どういうふうに発展していったのかが分かります。
この本を読むと、歴史で大切なのは、何年に誰が何をしたかということよりも、歴史の流れや人々の動きの方ではないかと感じます。
歴史は繰り返されると言われるように、同じような出来事は何回も起こります。
その出来事を覚えていても、なんの役にも立ちませんが、なぜその出来事が起こったのかという流れや人々の動向を覚えておくと、今を生きる僕たちにすごく役に立ちます。
世界史を読んだ上で佐藤賢一さんの“開国の使者”を読むと、ペリーがなぜ日本に拘ったのか、“開国の使者”のストーリーを楽しむ以上に理解できます。
そして最近の時事ネタを観ている人は、「アメリカ人って江戸後期の頃からこんな外交してたんだな。」と思うかもしれません。
正直、授業よりも本を読んでいる方が分かりやすくて面白いです。
授業は先生の技量で分かりやすい分かりにくいがありますが、それも結局はテストでいい点数を取るための授業であり、勉強になっているので、効率よくポイントを抑えれるかどうかが、高得点の秘訣になってきます。
しかし今回、本を読んで、ポイントではない部分の方が今の自分に役立つことが書かれていることに気づきました。
高校までの先生は生徒に教えることが仕事ですが、大学の教授は違います。
教授はその道の専門家です。僕が所属していたラボの教授は3つのコラーゲン繊維が3重螺旋構造を作る時に働いているタンパク質を発見した人です。
永田先生は詩人だったこともあって話はかなり面白かったのですが、教授になるような人はこのようにかなり狭い一点を集中して研究しているのですから、幅広く基礎知識を教えるのに適しているとは思いません。
なので大学の授業はわかりにくいのですが、たまにその教授の専門分野になると、急に教授は楽しそうに話します。教授の専門分野なので、余談も多く、深入りすることもありますが、その時は学生の理解も深まります。
僕は大学の授業は教授が教えることが前提ならば、講義は教授がいま実際にやっていることに関連した方がいいのではないかと思います。
理系なら実験などの実習です。
文系のことは分かりませんが、教授の研究の方法を学んだり、時には資料館へ行ったりすることでしょうか。
そして、「その実習までにこの本を読んでおきなさい。」といい、当日は本を理解しているか確認した上で実習に入る。
時には読んだ本に関連したドキュメンタリー映画を観るものいいと思います。
高校が義務教育状態で、今では大学も含まれているでしょう。
大学はそれに加えて、就職予備校なんて言われています。
しかし、高校までと大学は全然違います。
高校の先生と大学の教授は全然違います。
それなのに、高校までと同じような授業の仕組みで、教授に基礎知識の講義をさせるのは、勿体無いです。
大人になって、その道の専門家のセミナーに行って、基礎知識ばかりのセミナーだとつまらないと感じるでしょう。その人特有の話を聞きたいのに、SNSでその人が話していた基礎の話ばかりではガッカリすると思います。
実は僕は今年、世界情勢についてSNSで発信している人のセミナーに行ったのですが、SNSでは「これ以上はここでは話せない。」と言いながら、セミナーでも同じような内容だったことにひどくガッカリしたことがあります。セミナーはただ生で観たい人が集まっているだけで、人気商売になっていました。
いま、大学を無償化にする動きがありますが、その前に大学は就職予備校だとか、高校と同じ教育体制であるところをまずは変えた方がいいのではないかと思います。
基礎知識は大学が提示する参考書を学生が期日までに読んで、実習をメインに講義する。
大学は教授が教えるということをもっと考えた方がいいでしょう。
化粧品研究者こまっきー
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