数年前から僕が学生の頃に有名だったアニメを観ています。
学生の頃はテレビを見る習慣もなく、中学生にもなれば、アニメを観ている=ヲタクだと思われそうでしたし、親からの視線も気になっていたので、アニメを見ることはありませんでした。小学校の頃に観ていた、名探偵コナン、テニスの王子様、ヒカルの碁が僕が最後にテレビで観たアニメかもしれません。
大学生になると、理系の学部ということもあってか、アニメを知らないと会話についていけないことが多々ありました。アニメの名シーンが会話の中で入ってきて、知っている子はすぐ反応していたのですが、僕は訳がわからなくて、キョトンとしていました。
ああ、知らない子は僕だけでした。
「まずは“エヴァンゲリオン”と“エウレカ”を観て!」と言われて、往復4時間の通学時間を使って、“エヴァンゲリオン”はTVシリーズの全26話と映画2作、エウレカはAOの方は観なくていいと言われたので、2005年から放送された全50話を大急ぎで観ました。
合わせてTVシリーズ76話と映画2作という膨大な量のアニメを見終えた頃には、友達界隈の流行はけいおん!へと移っていました。
「じゃあ次は“けいおん!”を観て!」と言われて、猛ダッシュの後、さらに追い込みをかけられるように、すでに2期目の放送が始まっていた“けいおん!”に追いつくために1期を急いで観始ました。
急にアニメを猛ダッシュで観たこともあって、アニメを観ることに疲れてしまい、“けいおん!”ブームが落ち着いたころからあまり観なくなっていました。
大人になって、有名な洋画や邦画をある程度見終えたころに、アニメのことを思い出して、有名なアニメを観てみようと思って見始めました。
今回はその中でも2010年前後に放送が開始されたアニメで面白かったアニメを紹介したいと思います。
ネタバレにならないように注意しながら、自分が良いなと思ったところを書いていきます。
まず1作目は“夏目友人帳”です。
2008年に1期目が始まり、途中でOVAもいくつかあります。
今季の冬アニメでは7期目が放送されています。2010年前後は学生の心境を描くアニメが多く、その中でもとくに安らぎを感じることができるのが、“夏目友人帳”です。
僕が学生の頃は、主人公の夏目とその友達やあやかしたちのようなコミュニケーションはできませんでした。
周りからの視線が気になって、見栄を張っていた自分でしたが、おそらく自分はこんな風な友達関係を求めていたのではないかと思いますし、みんなそう思いながら、何か大きなものに流されていて、素直になれなかったのだと思います。
集団でいるときには騒いでいたずらをする子でも、僕と二人になるとすごくおとなしくて優しい一面があったりしました。
そんな学生の心境の良い方の一面を観れるのが“夏目友人帳”です。
2作目は“CLANNAD”です。
これは“夏目友人帳”とは反対に、自分の学生の頃の心境に近いです。
学生の頃の大人になるに従って、なんとなく感じる「こうでないといけない。」というプレッシャーに押しつぶされそうになりながら時に抵抗し、時に諦めて受け入れていく自分を思い出させるかのようなアニメです。
“夏目友人帳”と“CLANNAD”は高校生くらいの男子の心の中が描かれています。
この2つのアニメに共通しているのは、どちらも受け入れてくれる大人が近くにいることです。
これがいなくて困っていたのが平成時代の学生の心境です。これを観ると「そうやんな。こういう大人が近くにいてくれたら良いよな。」と自分の学生時代と照らし合わせて、そう感じました。
この心境は今の学生とは違うかもしれませんが、このアニメも平成時代の学生の心境が描かれています。
3作目は“化物語”です。
大学生の頃、カラオケに行けば誰かが化物語のOPの“恋愛サーキュレーション”やEDの“君の知らない物語”を歌っていました。今でも誰か必ず歌っている曲ですが、当時は化物語の曲かどうかも知らずに友達が歌っているのを聴いていました。
化物語は2009年から放送が開始され、アニメは全部で9期分あります。
そのうち、有名な曲の2つは1期目のOPとEDなので、1期だけ観ている人が多いのではないかと思います。しかし、これは全作見た方がいいです。
全作見て、僕はこのアニメは思春期の心の闇が暴走した物語だと感じました。
なんとなく友達にも打ち明けられないことがあって、よく考えれば大したことではないのかもしれないけど、なぜか打ち明けられない。このように、自分の心とは裏腹な行動をとるようになるのが、思春期のころです。それよりも子供の頃は、自分の思い通りにならなかったら、泣いたり拗ねたり出来ていたのですが、なぜかそれが出来なくなって、どう対処したらいいのか分からなくなるのが思春期の頃です。
化物語は、そういう思春期の心の闇が爆発した物語のように感じました。
見る順番は、放送順と時系列順があります。
放送順では時系列がわからずに混乱するので、僕は時系列順で見た方が物語がわかって面白いと思います。
4作目は“ひぐらしのなく頃に”です。
ホラーっぽくて怖そうな印象がありますが、おそらく訴えたい部分は紹介した3つのアニメと同様“子供の心の闇”です。
それをホラーっぽく描いています。
このアニメはあんまり言うと、ネタバレになるので言いにくいです。
“ひぐらしのなく頃に”は2006年から放送が開始されて、全部で6期あります。
昔の田舎の集落の雰囲気にホラー的要素が入った雰囲気が好きな方は観てみてはいかがでしょう。
5作目は“ARIA”です。
“ARIA”は2005年に放送が開始されて、テレビアニメとしては3期、他にOVAや劇場版があります。見る順番は調べてみてもらえたらと思います。
夏目友人帳と同じかそれ以上にのんびりしているこのアニメには、人の優しい一面が全面的に描かれています。今まで紹介したアニメは学生が登場人物で、“ARIA”に出てくる人たちの年齢も同じか少し上くらいですが、働いているあたりが、学生よりも社会のつながりを描いているように思います。
架空の世界の日常を描いたこのアニメを見ていると、ほんとこんな風に厳しく優しい社会は理想だなと思います。そのためには、そこで生活する人たちが変わらないと何も変わらないんじゃないかと思うアニメです。
6作目は“彩雲国物語”です。
彩雲国という架空の国ですが、おそらくは中国をイメージしています。
若き主人公が政治に携わっていく物語ですが、そのときの駆け引きは大人が勉強になる部分が沢山あります。放送されていたのは2006年で、毎週土曜日の朝9時という子供向けの時間帯でしたが、これは大人が観た方が面白いでしょう。
政治のあり方に、会社内でのやり取りや駆け引きの参考にきっとなると思います。
全部で2期あって、最後は中途半端で終わっているのが残念です。
“彩雲国物語”はNHKで放送されていましたが、そういえば“ツバサ・クロニクル”も中途半端で終わっていましたね。“ツバサ・クロニクル”の最後はなかなか考えさせられるものがあり、それがNHKとしてはNGだったのでしょうか?
“彩雲国物語”は原作がラノベで、ラノベにはまだ続きがあるので、漫画を大人買いしようか悩んでいます。
7作目は“響け!ユーフォニアム”です。
これは2015年から放送が開始されているので、他と比べると比較的新しいアニメです。
部活をしていた人なら「うわー、分かるわあ。」となってしまうであろう、上下関係のいざこさ、部員同士の人間関係が事細かく描かれています。こういう心境は他のアニメでは感じる人には感じるくらいで、物語の大筋が主軸ですが、“響け!ユーフォニアム”は部活動をしている高校生の心境が大筋になっていると思います。
観ていると、「なんか小説みたいやな。」と思っていたら、原作は小説でした。
原作を書いている小説家武田綾乃さんは、京都出身で大学は文学部です。
“響け!ユーフォニアム”の舞台は宇治で、出身地が舞台になっています。
僕は新しい小説家の本を探す時、出身の学部を確認するようにしています。
出身学部が小説の内容に影響することが多く、例えば東野圭吾さんは工学部電気工学科出身なので、ガリレオでも物理に関するトリックが多いです。伊坂幸太郎さんは法学部出身なので、法律がテーマになっていることが多いです。伊坂幸太郎はわかりにくいかもしれませんが、“チルドレン”や“サブマリン”を読むと実感できると思います。
そして僕は文学部出身の人は言葉の選び方が上手で表現力が豊かだという印象があります。
“響け!ユーフォニアム”の作者武田綾乃さんも文学部なので、小説を読めばアニメ以上に学生の心境を感じることができるのでしょう。
アニメ化や映画化、ドラマ化される時は、たいてい物語の展開を重視して、心境は省かれるものですが、作者の大切にしている部分をちゃんと表現しているところが、京アニクオリティではないかと思いました。
今年の秋に米澤穂信さんの小市民シリーズが京アニではないところが制作をしてアニメ化されましたが、“氷菓”と同じく京アニがやってくれたら、また全然違っていたんだろうなーと思いました。
最後、7作目は“WORKING!!”です。
2010年に放送開始されたアニメで、全部で4期あります。最後は主人公などが違う?らしいです。
これは今3期目を観終わりました。
観ていると「平成だなー。」と思ってしまいます。
ヤンキーは出てくるし、みんな変な性格しているんですが、許容しているあたりが平成っぽいなと思います。今はルールで縛って「ルールではこうなっているから、こうしないといけない!」みたいな空気になっていて、なんだか息苦しさを感じます。
みんな同じに見えてきます。
そこまでしなくても、ちょっと前まではこんな風に生活できていたんだよと、思い出させてくれるのが“WORKING!!”です。僕が大学生の頃のバイト先も、何年も引きこもっていた子がいたり、少年院から出てきた子がいたりしていましたが、“WORKING!!”に近い空気感で、みんな無理をせず許容していました。
この空気感はまさに平成の空気感だと思いますし、僕はこの方がいいと思います。
今はなにかあればルールで規制する世の中ですが、「本当にこれでいいのか?」と“WORKING!!”を観て考えてみてはいかがでしょうか。
しょうもないように思えるアニメですが、会話のやり取りが面白いです。
以上、最近観て面白かったアニメ8選です。
そこまでアニメに詳しくはありませんが、観ていると2010年ごろのアニメはそれよりも前のアニメと違って、お決まりのパターンみたいな展開が少なくなってきてユーモアがあり、アニメの映像技術も上がってきた頃のように思います。
また、丁度コンプライアンスが本格的に厳しくなる前ということもあって、自由度も高く、会話が面白いです。
制作にゆとりがあるのか、展開よりも心境が描かれていることが多いのが、2010年前後のアニメだなと思います。
最近のアニメは観てもらうことを意識しているのか、物語の展開の面白さが重視されていて、どれも同じに見えてきます。
僕は2010年くらいのアニメの空気感は結構好きであることに気づきました。
今のアニメは1話目からどんなアニメか分かるような、面白そうに感じることができるような仕組みになっていると思いますが、今回紹介したアニメは“響け!ユーフォニアム”以外は、1話だけ見てもよく分からないと思います。
観続けることで、面白さが分かって、ハマっていくアニメです。
あまり観たことがない人も、一度は観たことがある人も、ぜひ今の時代に観てみると、結構いろいろ感じるところがあるんじゃないかと思います。
化粧品研究者こまっきー
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