山本七平さんと加瀬英明さんの対談本“イスラムの読み方-なぜ、欧米・日本と折り合えないのか-”という本を読み終えました。
この本は1979年の10月に出版された「イスラムの発想-アラブ産油国のホンネがわかる本」をベースにして、最終章に加瀬英明さんの現在のイスラムへの見解が記載されています。
この本は2005年に出版されたこともあって、最終章では9.11のことが触れられています。
ざっと300ページあるこの本ですが、はっきり言って前半はさっぱりでした。
書いてある言葉に難しい表現はひとつもなく、対談なので読みやすいはずなんですが、いまいち理解できない状態が続きます。
書いてある言葉が難しく、読んでいても調べることが多くて全然進まない経験ならあるのですが、読んでも読んでも理解できない体験は初めてかもしれません。
それが折り返しの150ページを過ぎると、少しは理解できるようになります。
それくらい、中東というのはよく分からない世界のようです。
いつもならいくつかピックアップするところなのですが、ピックアップするには中東の世界観を話さないといけなく、それを簡潔に話す技量が僕にはないので、興味ある方は読んでみてください。
この対談は1979年ですので、今とは違うのかもしれません。
しかし、この本によると、中東は憲法などの国法と宗法のバランスをとることが難しいとされるほど、宗教の信仰が強いそうです。
ですので、今のアメリカのように大統領が変わると政策が180度変わるなんてことは起きないそうですので、意外と変わっていないのかもしれません。
とはいえ、ここ数十年で世界は信仰心が失われていると言われています。
初詣に行く人が減った日本も同じですが、特にキリスト教を信仰する人が多いヨーロッパやアメリカの現状の背景には信仰を失ったことが大きいと考えられています。
それゆえに虚無状態となっており、人々の虚無状態が今の社会の空気感を作っているようです。
信仰する文化のある国では特に、宗教は自分の軸になっていたと思いますので、日本以上に自分の軸を失っているのでしょう。
この話はエマニュエル・トッドさんの“西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか”という本に書かれてあるそうですので、次はこの本を読む予定です。
話がそれましたが、山本七平さんと加瀬英明さんの対談本“イスラムの読み方-なぜ、欧米・日本と折り合えないのか-”に書かれてある中東の文化を知ることは、時事問題を理解するのにかなり役立つと思います。
これから、ウクライナ戦争とガザ戦争が終戦していくだろうと言われています。
その時に中東の文化を知っているか知っていないかで、解釈が全然変わってくるだろうなと思います。
本の中には、日本は他文化のことを知ろうとしていないので、テレビでも政治家でも他文化、特に中東のことは全くわかっていないと書かれていました。
日本人は条約を結んだり、握手することがゴールだと思っているので、出会った時がピークでその後はだんだん悪くなってくる。相手を知ろうとしていないんだそうです。
なのでメディアでも握手したり、約束したことばかり報道されているんでしょうか。
どうやらあれは日本的感覚みたいです。
僕たちはテレビでもSNSでも、握手したり約束したみたいなニュースをみると、いい方向に進んだと思う傾向があります。しかし中東や欧米、さらに中国の感覚で言うなら、「いい方向に進む第一歩を踏んだ。」だそうです。
まだ進んではいないのです。
確かに僕たちは握手したニュースをみると、達成感を感じます。
これはメディアもわざとそう仕向けているというよりは、メディアも日本人の感覚で発信しているので、僕たちと同じように達成感を感じているだろうと山本七平さんは指摘しています。
どうやら握手や条約は達成ではないそうです。
本の中では「平和条約は結婚であるが、結婚生活ではない。」と書かれていました。
言われればそうです。その通りです。
しかし僕たちは、もう結婚生活がうまくいったも同然だと思ってしまう傾向があります。
この感覚には注意しないといけません。
握手や条約スタートなので、これからです。喜ぶのはまだ早いのです。
その後どうなるかを見ていなかないといけないのです。
そういえば、国内のニュースでも最初は大きく取り上げていたけれど、その後は全然取り上げないことが結構あります。あれは注目してもらえる内容をピックアップしているのだと思っていましたが、その感覚の中には報道すれば達成という感覚があるのかもしれません。
その後どうなったかを気にしないことで、判断を見誤ってることは多いかもしれません。
外国のことは文化の違いで理解が難しいですが、国内でもその後を気にせずに、一番最初に大きく取り上げられた時だけで判断していることは結構あるんじゃないでしょうか。
例えば選挙とか。
選挙は終わった後、選ばれた人がどういう働きをしているのかをみないと、自分が投票した人は良かったのか悪かったのか判断ができないはずですが、選挙に行けばゴールだと思っているように思います。
なので市長選や市議会選挙があった後でも、市報に書いてある市会議員の働きを見ている人は少ないでしょう。
なので、選挙の時はいかに注目されるかの勝負になってしまっているのではないでしょうか。
市長や市会議員や衆議院議員になって結構色々やっているはずだけど、市民からは評価されないどころか、悪い解釈ばかりされる。となれば、選挙の時だけ頑張る人が増えても仕方ないのではないかと思います。
それは選挙の時だけ頑張っている人もいるでしょうし、日頃頑張っているのに誰も見ていないという人もいるでしょう。
どっちかの判断をするためにも、選挙がゴールと思わずに、まずは市報くらいは読まないといけないなと思います。
ニュースやSNSでは政治家が何か対談をしたりすると、それを批判したり、賞賛したりしています。僕たち一般市民はそれをみて判断していますが、おそらくその批判や賞賛は見なくていいものです。
握手した。という事実だけ知っておいて、「後はどうなるか。」と考えておけばいいのでしょう。
情報が多くて、共働きで、やることが多い今の暮らしで、今以上に政治に関心を持てというのは難しいです。
そうではなくて、今までチェックしていた“なにかの行動に対する評価”に時間を費やすのをやめて、“その後どうなったか”をチェックすることに切り替えれば、また違う視点で政治家をみるようになるかもしれません。
化粧品研究者こまっきー
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