化粧品研究者こまっきーの語り部屋

化粧品研究者こまっきーが普段考えていることを書き留める、日記のようなもの。

消えていく裏話。

裏話といえば昔は週刊誌がするものでした。
表はテレビとか新聞で、その裏話を週刊誌がするという役回りでした。
そこにパソコンが普及してきて、2ちゃんねるという掲示板ができました。
とはいえ、家にパソコンがある家は少なかったです。
僕は父が自営業だったこともあって、家にWindows98がありました。
父は仕事のメール以外で使う用事がなかったのか、父がパソコンを使わない時間が結構あって、僕がパソコンの前にいることが多かったです。

小学校でパソコンを使う授業があったことと、小学6年生になると一部の子は携帯電話を持ちはじめたこともあって、パソコンでYahooのIDを作って、Yahooメールで友達とメールするようになりました。
自転車の距離に友達はいるのに、さっきまで会っていて明日また会うのに、なぜか繋がっている感覚があるのが、当時は面白かったです。

2ちゃんねるは1999年にできたので、僕がパソコンを触り始めた2003年頃には結構広まっていたんじゃないかと思うのですが、身近な大人は2ちゃんねるどころか、パソコンのスイッチの場所も知りませんでした。

パソコンの普及率を調べてみると、ちょうど僕がパソコンを触り始めた頃が急上昇したころのようで、2000年は約30%だったのが、2004年には65.7%まで増えていました。
その後は微増で2010年には83.4%まで増えたものの、2022年は78.9%と減少傾向にあります。

今のスマホの普及率が97%です。
2010年のパソコンの普及率83.4%よりもさらに多いですが、それにしても80%前後まで普及すれば、今のスマホでSNSを見るように2ちゃんねるを見る人が大勢いてもいいと思うのですが、パソコンからは裏話は流行らなかったように思います。

パソコンを娯楽に使う人は普及率ほど多くなかったのでしょう。
2ちゃんねるは有名ではありましたが、大人は名前くらいしか知りませんでした。
ですので、週刊誌以上に裏話をしていた2ちゃんねるは週刊誌以上に嘘っぽく、裏話というよりも妄想話くらい感覚だったように思います。

それがスマホとSNSの普及でガラリと変わりました。
スマホの普及率が伸びていったのは2010年以降ですが、SNSが普及したのは少し遅れてからです。さらに、SNSで今のように「実は・・・」と裏話をするようになったのはここ数年の話です。
スマホが普及し始めた時から人気だったTwitterには裏話はありましたが、当時はむしろそういうのが嫌でTwitterから離れて、新しくできたInstagramを使う人が増えました。
Twitterの匿名性が2ちゃんねると似ていたからでしょうか。

2ちゃんねるとTwitterとは反対に、YouTubeでは裏話が大きく盛り上がりました。
YouTubeも匿名といえば匿名に近いです。ニックネームの人もいますし、芸能人のように本名かどうかわからない人もいます。僕は何かあってもアカウントを消せばすむので、芸能人とは違うと思うのですが、大勢の人が芸能人に近い感覚を感じたので、YouTuberは芸能人と同じ存在になりました。
その頃から、芸能人のYouTube参入も増えました。

すると、芸能人の方たちは、せっかくなのでテレビではやっていないことをやろうと考えたのでしょう。
ある人は自分の趣味のチャンネルを始め、またある人は裏話を語るチャンネルを始めました。
知り合いの芸能人を呼んで、当時の話をして今だから言える話を始めました。
僕も見たことがありますが、今だから言える話だから面白いというよりも、その二人がゆっくり話しているのが新鮮で、確かにテレビとは違う部分が見れた気がしました。

ところがそれも飽きられてくるのか、「実は・・・」話をする人が増えていきました。
テレビと違って、YouTubeは動画を配信すれば収入が入るわけではなく、再生回数を伸ばさなくてはいけません。そこで芸能人のアカウントも、YouTuberがやっているようなサムネやタイトルにする人が出てきました。

当時を振り返る話は色んなアカウントで話されたことで裏話ではなくなっていき、裏話に「実は・・・」をつけて、サムネやタイトルで煽るようになりました。
そして、当時を振り返るネタがなくなると、直近の「実は・・・」話をするようになりました。
M-1の審査員が、自身のアカウントで感想を言う動画を出しているのを見て、かなりビックリしました。
「そんな振り返り、しないほうが良くないか?」と僕は思います。

裏話をすると、聞いた側は裏の内容を全て話してくれたように錯覚します。
特に最近のSNSでは裏話=真実だと何の裏付けもなく決めつけている節があります。
すると、ちょっと言えないことがあって、その部分は伏せていると、なにかのタイミングで伏せた部分が取り上げられれば、伏せて話した芸能人は悪者になります。

例えば自身のアカウントで「この番組はみんな仲がいい。」と言っていたけれど、パワハラ問題が起これば、その人もパワハラ問題を伏せていたとして、叩きに叩かれるでしょう。
これが週刊誌が「仲がいい。」とか言っている分には、第三者なので、「なんや、週刊誌は仲良いいっていうてたけど、やっぱりギクシャクしてたんや。」とか反対に「なんや週刊誌が勝手に仲悪いって言うてただけで、実際は仲良いんや。」と思うくらいで済むのですが、当事者が言うとそうはなりません。観ている側は、なんか裏切られた気分になります。
とは言え、言えることと言えないことはあるものでしょうから、再生数はえらく伸びるかも知れませんが、僕は言わない方がいいじゃないかと思っています。

しかし、裏話は注目を浴びやすいので毎日どこかのアカウントが動画をアップしています。
たまーに気になって見てみると、最近はサムネやタイトルが裏話っぽい雰囲気を醸し出しているだけで、中身は全然裏話じゃない動画が増えていることに気づきました。
まるで、カードが出尽くしたかのようです。
日々動画をアップして再生回数を稼ぐことが収入に繋がりますので、カードが出尽くしても、カードを持っているフリをして動画発信しないといけないのでしょうか。
なんだかシンドそうです。

昔は嘘か本当かわからないけど、本当やったら面白いと思いながら週刊誌が読まれていました。週刊誌はどこが出しているかわかるから安心感があるのか、2ちゃんねるやTwitterは流行りませんでした。
Twitterで裏話が流行ったのはここ数年です。それまではどちらかというと著名人の話は信じれるけれど、誰かわからない人の話はここまで注目されていませんでした。
ところが最近は匿名のアカウントでも、著名人と交流があれば信用されるケースが増えています。それもあって、匿名のアカウントの発信も注目されるようになりました。

すると本当にたくさんの裏話が出てきました。
まるでカードゲームのように山札からカードを引くように、裏話を出してきて、今の情報世界では、表と裏の境目が無くなってきているように感じます。
いったいいつまで裏話で注目を集めれるのでしょうか。
そしてその先はどうなるのでしょうか。
あまりに情報が多すぎると、人はどーでもよくなりがちです。
自分が真実を見つけた!と思ったり、本当のことを話す人を見つけた!と思っていたら、その話は嘘だったりその人は実は・・・みたいな情報を見ていると、もうどーでもよくなりがちです。
そういった虚無状態にならなければいいのですが、裏話ネタが無くなった後がちょっと心配です。

化粧品研究者こまっきー

↓こちらへどうぞ↓

www.komacky.com