“こだわり”と“コンセプト”が同じようなタイミングで使われているせいか、ごっちゃになっている気がします。
“こだわり”はいわば自分の“好き”や“これだけは外せない”という気持ちからくるものです。
「遊びに行く時はこのカバンは絶対に持っていきたい。」というのがこだわりです。
それに対して“コンセプト”は基本設定みたいなものです。
「今日はナチュラルな雰囲気の服装にしよう。」と決めることです。
昨日、僕は「“好き”を守る。」というブログを書きましたが、“好き”はもちろん“コンセプト”ではなく、“こだわり”です。
しかし、SNSで商品の紹介やおすすめの飲食店などを見ていると、“こだわり”が“コンセプト”になっている気がします。
とんこつラーメンのお店の場合、とんこつラーメンは“コンセプト”です。
そしてどこ産の豚骨を使うかは、“こだわり”と思うかもしれませんが、“コンセプト”とも考えられます。
「店主が厳選した○○豚の豚骨使用。」と書いてあると、そういう設定でラーメン屋を経営している可能性もあるからです。
もちろん、“こだわって”選んでいる可能性もあるわけですが、どっちかは判断できないです。
なので僕はそういう文言関係なく、興味があれば行ってみて、食べてみて美味しいと思うかどうか判断して、あまり他のことは気にしないようにしています。
そもそも“コンセプト”は必要なのでしょうか。
「30代の人におすすめ!」というのも“コンセプト”の1つですが、30代といったって、色んな30代がいます。その人に合うかどうかは30代だからではなく、その人が気にいるかどうかです。
しかしこの世代設定は色んな場所に使われていて、「30代の人におすすめ!」と書いてあると、30代の人は「自分に合うかも。」と思う傾向があるので、“コンセプト”にはそれなりの効果が得られるのでしょう。
僕は化粧品こまっきーというブランドを立ち上げて、商品を販売していますが、最初は「“コンセプト”を作った方がいいのか。」と随分悩みました。
僕はただ自分が「こんなスキンケアはどうだろうか?」「こんなヘアケアやファンデーションは作れないだろうか?」と考えて、研究を繰り返して、良いものができたと思ったら商品化しているだけですので、研究をスタートした時点から“コンセプト”という言葉は頭にありませんでした。なので、「“コンセプト”を作った方がいいのか。」と思った時にはすでに遅かったです。
僕は研究者なので、世間の先入観に惑わされてはいけないと思っています。
天然系だからどうだとか、合成だからどうだということではなく、そのアイテムに必要な成分かどうかで判断するべきだと考えているので、改めて考えても“コンセプト”は作れないです。
なので、スキンケアでは天然系の成分をメインに使用する傾向がありますが、ファンデーションやヘアケアではシリコーンなどの成分も使います。
“コンセプト”を決めると、ヘアケアにシリコーンが必要かどうかも研究せずに「天然系と決めたから、ヘアケアもシリコーンなしで作る。」という思考から研究がスタートしてしまいます。
研究しているからか、“コンセプト”は商品開発の妨げになるような気がします。
良いか悪いかは作って使ってみないと分からないので、「そこから決めればいいじゃないか。それもスキンケアもヘアケアもファンデーションもどれも同じ設定にしなくてもいいじゃないか。」と思うのです。
それはそれぞれのアイテムで、判断基準が違うからです。
スキンケアは化粧品の中では一番整えるに特化していると思います。
ヘアケアはスキンケアと同じくケア用品ですが、髪の毛の手触りという感触は整えることと同じくらい重要です。整える成分をちゃんと配合していても感触を良くする成分を入れなければ、結構髪の毛はバシバシになりますので、すると、ヘアケアとしての評価は悪くなります。パサつかないように重たい感触にして、髪の毛がぺったんこになると評価は悪いですし、反対に広がりすぎるのも評価が悪いです。髪の毛は仕上がりの部分も結構大事になってきます。
ファンデーションはもっと別物で、ケアではなくメイクなのでメイクの用途としての評価になります。
これらを同じ“コンセプト”でまとめてしまうのは難しいと、僕は研究をしていて思います。
化粧品こまっきーのHPに書いてある“必要なものだけを、シンプルに、濃厚に。”というのは“こだわり”の部分です。自分が同じようなものだと思うものを何個も作ってアイテムを増やすのではなく、自分が思う必要なものだけにアイテム数をまとめて、そこに必要な成分を配合したいと思ったからです。自分がそういう化粧品を使いたいと思ったことを言葉にすると“必要なものだけを、シンプルに、濃厚に。”ということなのかなと思っています。
これは“コンセプト”ではないので、良いものができて、ブランドを立ち上げて商品が出来てから考えたので、何回か表現は変わっています。
この“こだわり”は研究をしていくうちに「まとめれるアイテムはまとめた方がいいんじゃないか。」と考えるようになって、アイテムそのものの存在を研究し始めました。配合する成分だけではなくアイテム数や剤型も研究し、スキンケアは化粧水と美容オイルの2種類、ヘアケアは洗い流さないトリートメントも必要だと考えているので3種類、ベースメイクは1種類になりました。
さらに、スキンケアのページには“肌荒れしにくいキレイな肌づくり”、ヘアケアには“さら、ふわ。しっとり、柔らかく。”、ファンデーションには“簡単に、キレイで、崩れにくく”というこだわった部分を短くまとめて書いてありますが、これも言葉選びに随分悩みました。
“コンセプト”という設定なく、何年も「こうしてはどうだろうか?」と研究結果に基づいて試行錯誤を繰り返してきた結果が商品になっているので、“必要なものだけを、シンプルに、濃厚に。”という考えがベースにあるものの、わかりやすい言葉がなかなか見つかりませんでした。
HPには長々と説明が書いていますが、これも出来るだけぎゅっとまとめたつもりなので、一言でまとめるのはもっと難しいです。
とはいえ、自分が商品を買う立場だったら、最初から長い文章を読むことはしないだろうなと思います。短いフレーズに興味を惹かれて、長い文章を読むと思ったので、短いフレーズの“こだわり”を作りました。
これらも何回か言葉を変えています。
自分が商品を販売する側になって気づいたのは、商品を作ったり、お店を開いたりする人に“こだわり”はあって当たり前だということです。
むしろ“強いこだわり”がなくては、そういう行動は取らないだろうと思います。
そして商品を作るとか、お店を開くような人ではなくても、人には“こだわり”が必ずあります。
「目玉焼きには絶対醤油だ。」とか「いいや、ソースだ。」というのも“こだわり”の1つです。
しかしなぜかこういう話をすると、勝手に“こだわり”の甲乙をつけてしまって、「そんな小さな“こだわり”なんか無いに等しい。」と考えてしまいます。
僕はこの感覚が“好き”という気持ちを遠ざけているように思います。
昨日のブログの「“好き”を守る。」に関連してくると思うのです。
そして“こだわり”に甲乙をつけてしまう思考に、“こだわり”と“コンセプト”がごっちゃになっているのではないかと思います。
“コンセプト”はスタート地点で決めています。
“こだわり”は僕のように研究結果から生まれたように、結果です。
結果なので、「“こだわり”について話せ。」と言われたって、頭の中を整理するのにかなりの時間がかかります。
そりゃ、最初に決めたことの方が上手く話せます。
“こだわり”と“コンセプト”がごっちゃになったときに、“コンセプト”を話している人を見て、自分の“こだわり”が小さく見えるのかもしれません。
“こだわり”とは自分の“好き”という気持ちから始まり、その結果生まれたものなので、“こだわり”を大切にすることは、“好き”を守ることにも繋がります。
守るという表現を使わずに、「当たり前に。」としたのは、“コンセプト”に圧倒されて自分の“こだわり”を無いものにしてしまっている気がしているからです。
“こだわり”は当たり前のように誰もが持っているものです。
そう思えれば、“好き”を守ることにも繋がるのでは無いかと思い、昨日のブログと同じような話を“こだわり”という視点から書いてみました。
化粧品研究者こまっきー
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