化粧品研究者こまっきーの語り部屋

化粧品研究者こまっきーが普段考えていることを書き留める、日記のようなもの。

ビジネス化を進めて消えていく文化。

終わったら話そうと思っていたバレンタインデーのことを、すっかり忘れていて、気がつけば2月も終盤になりました。

僕は年明けに“行き過ぎた便利が文化を壊す”というタイトルのブログを書きました。
正月といえば初詣で、初詣といえばお賽銭を入れる手前まで続く屋台です。
子供の頃は屋台でお面を買って、お面をつけながらわたがしを買ったり、フランクフルトにベビーカステラなどを買って食べ歩きをするのを楽しみにしていました。食べ終わって手が空いたら、金魚すくいかスーパーボールすくいをして、なぜか無性にやりたくなるくじ引きをして、と、そこまでは出来ていませんでしたが、いつか満足できるくらいにお祭りを楽しんでみたいと思ったものです。
祭りの屋台というのは大人も、子供の頃と同じような感覚に戻れることが出来る空間ですので、あの場所に行くと大人も楽しい場所でした。

屋台は元々値段設定は高いもので、それは分かっていたのですが、屋台にしか置いていないフランクフルトがコンビニに並ぶようになり、そのコンビニが歩いて数分のところにいくつも出来ると、屋台のフランクフルトに躊躇するようになりました。
物価高による屋台の価格上昇によって、屋台を楽しめないのだとニュースでは話されていましたが、僕はそれ以上に普段からフランクフルトを買えるから、そして屋台よりも1/4の値段で買えることを知っているからこそ、屋台を楽しめなくなったのではないかと考えています。
また、SNSでは屋台の原価を発信している人もいて、そういう部分が見えたことも屋台が楽しめなくなった原因でしょう。

つまり屋台のスタイルは変わっていないけど、コンビニやSNSでの原価暴露によってビジネススタイルが顕になったことで、この文化が壊れつつあります。
行きつけの整骨院の院長は、子供の頃から屋台の雰囲気が好きなので、子供と初詣やお祭りに行った時には、屋台をめいっぱい楽しむようにしていたのですが、今年は高過ぎて躊躇してしまったと話していました。
なんとなく屋台は高いものだと考えているのと、具体的な数字を知るのとではこれだけ心境や行動に差がでるのです。

屋台と同じような状況になりつつあるイベントとしてバレンタインがあります。
バレンタインは屋台以上に、ビジネス目的で導入されたものですが、僕が子供の頃は“好きな人に告白する”というイベントの日でした。

しかし、今の学生はそんなことはしないそうです。
女子同士で交換する、すでに付き合っている彼氏にあげる程度で、あのドキドキするイベントでは無くなっているそうです。
バレンタインといえば、男の子からすれば、「今日もらえるかな?呼び出されたりするのかな?」と可能性はほとんどないのは分かっているのに、なぜか1日中ドキドキしてしまう日でした。一年間に色んなイベントがありますが、バレンタインほど学生向けのイベントは無かったと思います。

それが今や、大人が楽しむためのイベントになっています。
昔は会社の人向けに義理チョコを買わないといけない。買って渡さないといけないという、バレンタインは大人にとっては面倒なイベントで、だからこそ「チョコレート業界が儲けるために・・・」なんて言われていました。
今はそんなことはありません。会社の人にチョコを渡さないといけない風習は無くなりました。「誰かが渡すと渡さないといけない雰囲気になるから。」とどこかで、みんなで一斉に辞めようと決めました。

するとやっぱりバレンタインはチョコレート業界が儲けるためのイベントだったのか、今度は“自分へのご褒美”という名目で、バレンタインを再び盛り上げようとして、成功しました。
思えば“自分へのご褒美”って平成後期のビジネス戦略の代表ですよね。
あんなに嫌がっていた大人達が、バレンタインが“自分へのご褒美”となると、各百貨店などのバレンタイン会場を巡るようになりました。
そして、その会場にパティシエが来るとなればパティシエと一緒に写真をとるために行列が出来て、目的がチョコレートだけでは無くなりました。後でSNSでアップする用なんでしょうか。

ニュースでは“バレンタインガチ勢”が特集されるようになりました。
なんとガチ勢は7、8万円分買うそうです。
チョコって美味しい板チョコだと1000円くらい、よくある箱に入っているものは2000-3000円くらいで高くても1箱5000円くらいだと思います。
平均して3000円とすると、7、8万円買った人は家に約25個のチョコの箱があるということになります。
想像するだけで凄いですね。
ニュースで報道されると、それが今の当たり前だと勘違いする人も出てきて、「バレンタインの催し行ったら、みんな7、8万円使うらしい。」と言うから調べてみると、ガチ勢だけですので、7、8万円出すのは本当に一部だけで、平均は昔と変わらず3000円前後だそうです。

昔は会社の人に配らないといけないというお中元感覚で買って3000円分だったのが、今や“自分へのご褒美”感覚で3000円なのですから、いかにバレンタインの催しが盛り上がっているかが分かります。

大人は大人の楽しみ方をして、子供は子供の楽しみ方をすればいいと思うのですが、そうはいかないようです。
大人が面倒臭がっていて、学生がドキドキしていたバレンタインは、いつの間にか大人が楽しむようになり、学生はお中元っぽくなってきました。
やっぱり社会全体のイベントなので、何かしら学生にも影響するのでしょうか。

僕が学生の頃は、友達にあげるとか、クラスの男子にあげるというのは、お中元要素と、ついでと言うか、フェイク用だったりしたもので、やっぱりバレンタインといえば女子が男子に告白する日でした。
「わざわざそんなイベントなくてもいいじゃないか。アホらしい。」と学生の頃に思ったこともありますが、大学生になると、あれがいかに中学と高校の6年間にしかない独特のイベントだったのかが分かって、そんなイベント他には無いなあと感じました。
体育祭とか文化祭のように、学校だけのイベントではなく社会全体のイベントなのに、学生向けというのはバレンタインくらいでした。

ビジネス化を進めていけば、こういうイベントは無くなっていくんでしょうか。
屋台しかり、バレンタインしかり、こうして文化は消えていくのかと、文化の変化を目の当たりにしています。
これは、守りたいと思う文化の守り方の参考になるかもしれません。

化粧品研究者こまっきー

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