化粧品研究者こまっきーの語り部屋

化粧品研究者こまっきーが普段考えていることを書き留める、日記のようなもの。

始まる人口減少の準備。

今までの技術の発達は「こんなものがあったら良いな。」と思う気持ちから生まれてくるものが多かったと思います。それが時に兵器であったとしても、「こんなものがあったら良いな。」、つまり「こんな便利なものがあったら良いな。」と思う気持ちから生まれてきたのだと思います。

ところが少し前にも話題にしたセルフオーダーは違います。
あれは別に便利なものでもなんでもありません。ほとんどの人は店員さんに直接注文した方が楽です。常連さんなら「いつもの。」で済むようなことでも、セルフオーダーになると、メニューの中から選択して、注文しなくてはいけません。学生の時にアルバイトをしていた王将では、何も言わなくてもその人が入ってきたら餃子2人前を焼き始め、瓶ビールとキムチを出すと決まっている人がいました。そんな人でもセルフオーダーになると、毎回餃子2人前と瓶ビールとキムチを選択して注文しなくてはいけません。
「前に食べたやつ。なんて言うんやっけ。」と味とか具材とかは覚えてるんですが、名前が出てこない時、店員さんがいれば「あの、卵がメインの炒め物ってなんでしたっけ?」と聞くことができます。すると店員さんは「ああ、肉と卵の炒り付けですか?たけのことかキクラゲとか入っているやつ。」とざっくりその炒め物の説明をして「ああ、それそれ。それお願いします。」という会話ができますが、タッチパネルではそんな会話はできません。
今後AIが搭載されるかもしれませんが、AIは人の言葉のニュアンスはプログラムされている範囲でしか対応できませんので、限界があります。

こう考えるとセルフオーダーは「こんなものがあったら良いな。」から出来たものと見せかけて、「これじゃない方が良い。」アイテムです。セルフオーダーは不便です。
しかし、これから先はセルフオーダーにしないとそこに人手を割くことは難しくなるのでしょう。

最近、ドラッグストアは日用品や医薬品だけではなく、食料品を取り扱うところが増えました。食料品といってもカップラーメンとかお菓子ではなく、野菜や果物、生肉などの生鮮食品です。「誰がドラッグストアで買うねん。スーパーの方が安いし。」と思っているんですが、ここ2、3年で近くにドラッグストアが4件できたのですが、どこも大きいお店で、うち2件は生鮮食品の取り扱いがあります。
元々取り扱っていたドラッグストアが1件あったので、合わせて3件、徒歩圏内に生鮮食品を取り扱うドラッグストアがあり、徒歩圏内に大きいドラッグストアが5件あります。
特に最近できるドラッグストアは、どこかのビルにちょこんと入るようなことはせずに、パチンコ店などが潰れて空いた敷地に、新たに建物から作っているところが多いです。
どこも業務用スーパーと同じくらいの大きさです。
みなさんのお住まいの地域ではどうなんでしょうか。

「こんなに大きいドラッグストアが、近くに何件もいるんやろうか。ほんで生鮮食品は誰が買うねん。」と思っているのですが、セルフオーダーと同じように考えると、これも将来の人手不足に向けた準備なのでしょうか。これからは今まで別々になっていたものを大きく1つにまとめていかないといけないのでしょうか。

町工場の建物を見るとよく分かりますが、町工場にはその時その時で増築していたような建物が結構あります。僕が働いていた化粧品の下請け会社の工場も同じような感じでした。「もっと考えて建てたら良いのに。」と思っていたんですが、今考えてみると、増築がベストな選択だったのではないかと思います。
町工場のような下請けは、なぜ受注が増えているのかがわかるので、一時的なものだと考えます。移転は結構費用がかかりますし、そこまでする必要があるとも思えないので、思い切って新しい場所に大きな工場を立てるなんてことはせずに、とりあえず今の波に乗れるようにしようと、つぎはぎのような増築をしているところが多いです。

他にも、地域にたくさんあった個人商店は、人口増加に伴い、需要よりも供給が間に合っていなかった為に増えたお店ではないでしょうか。大手が商品を作り、日本郵便などが商品を輸送するところまではなんとかできても、メーカーがたくさんの地域にお店を構えることはできずに、「だれか商店やりませんか。」と声掛けして行った結果、たくさんの店舗兼住宅の個人商店があったのではないかと思います。

この流れは、人口が増えていった時代の動きです。人口が増えていき、化粧をする人が増えていき、働く女性が増えると、化粧品の需要は増えていきます。日本国内だけではなく、中国など海外への輸出が活発になると、深夜まで工場を稼働させていた時もありました。
化粧品だけの話ではなく、他の業界でも、人口が増えて需要が増えていく中で、個人商店はかなり必要とされていたと思います。人口も増えていたので、気になるのは人手不足ではなくインフラ不足であり、急いで行えるインフラ整備が個人商店だったのでしょう。
しかし今後は世界的に人口は減っていきます。日本はすでに2005年からずっと減り続けています。となると、今までのやり方では人手不足になり、インフラが維持できなくなります。

考えてみると、少子化による人口減少はこれが初めてなのではないでしょうか。
今までは病による人口減少だったと思います。なので、病さえ克服できれば、また人口は増えていくと考えることができましたが、今の人口減少の主な原因は少子化です。日本は2005年から減少傾向であったので、何かしら試行錯誤をしてきたと思います。実際に2023年くらいまでは“少子化対策”という言葉をよく耳にしました。しかし今は“人口減少によるインフラ整備”という言葉の方がよく耳にするはずです。
おそらく少子化対策は難しく、人口減少は止められないのでしょう。
昨年からは「人口が減少していく中で、どうやってインフラを維持していくか。」という話をする政治家が増えているような気がします。
それくらい、少子化よりも、目の前の人口減少の方が危機迫った問題なのかもしれません。

セルフオーダーに、色々取り扱う大きなお店を構えるドラッグストアはこれから増えていくでしょう。求められる技術の発達も自転車や車のような「あった良いな。」「あったら便利だな。」ではなく、人口減少の中でインフラを維持するために求められる「こういうのが必要だ。」と求められる技術の形が変わるのではないかと思います。セルフオーダーのようにそれがたとえ使う側にとっては不便でも、それがないと社会が回らないアイテムは増えていくでしょう。
どうやらこれから社会は、人口減少の準備を始め、僕たちが知っている社会とはベクトルの違う社会になっていきそうです。

化粧品研究者こまっきー

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