先日の会社説明会に続き、今回は面接の話です。
今就活をしている大学生に聞くと、どうやらもう面接は始まっているようです。僕は某大手の就活サイトをチェックしていて、そこには6月からだと書いてあったんですが、実態と全然違っていて、いま一次面接をするのは遅いくらいだそうです。とはいえ、面接はこれから何回か続くとも思いますので、面接の話が参考になればと思います。
就活の面接は独特なので、大学によっては面接の練習をしてもらえるところや、自己PR作成のお手伝いがあったりします。友達と練習したりする人もいるでしょう。
独特ゆえに“自己PRや志望動機をちゃんと話せたらオッケー”と勘違いしてしまう人が多いです。
その勘違いはどう影響するのか、今回も就活生の頃と採用する側の両方の視点からお話したいと思います。
僕が就活生の頃、とある企業の面接で「ここで待っていてください。」と、待合室に案内されて、入るとすでに就活生が3人座っていました。なんとなく、これから一緒にグループ面接するメンバーなんだろうなと察しました。
グループ面接の場合は、その中で良かった人が次の選考に進めると言う話を聞いたことがあったので、ある意味敵同士です。他の3人もそう考えていたようで、僕が入ってから、誰も誰とも話そうとしませんでした。ただ、待合室に緊張した空気が漂っているだけでした。
僕は緊張は連鎖するし、話していたほうが気持ちがほぐれるので、一緒に面接をする3人に話しかけました。すると、その内の2人はずっと黙っていることに疲れたのか、一緒に世間話をするようになり、残りの1人は「俺は自己PRの復習をしているから。」と会話することを拒否し、復習し終わったら「よし!これで完璧や!」と自信満々でした。
しかし、彼は2次選考にはいませんでした。
面接本番、自身満々に話す彼と面接官のやり取りはチグハグだったんです。面接官が質問しても、彼は質問とは違う返事をし、面接官が「緊張しているのかな?」ともう一度質問をしても、返事は違うものでした。
横並びに座っている僕はそのチグハグなやりとりを聞いていて、このグループ全体に悪影響が出ないのだろうかと心配していましたが、彼は面接終了後でも「よし、言うことちゃんと言えた!」と自身満々でした。
すでに面接が始まっていると言うことは、グループ面接でこんな経験をした人がいるかもしれません。
次は採用する側の時の話です。
就活して3年後に採用側に立った僕には、就活生の緊張を覚えています。そして自己PRや志望動機がどのようにして作られたかも分かっています。
今はさらに進化していて、ChatGPTに作ってもらっているようで、2年前に当時の就活生と話していると、どうやら面接官もChatGPTで作っているとわかっている風だったと話していました。
僕が就活生だった時にはChatGPTはありませんでしたが、特に自己PRは無理くり作っていましたし、人と違うところを話していても、テンプレートが同じなので、何人もの就活生を面接している面接官にはどれも同じに聞こえていたでしょう。なので、ChatGPT誕生を機に、面接する側は本当に就活のお約束だと割り切ったのかもしれません。
採用する側に立ったことでわかったのは、採用する側の視点は“この子はうちの会社に合うのか”と“実際に来てくれるか”だということでした。面接中に話を聞きながら、気づけば“会社に合うか”“実際に来てくれそうか”を考えていました。
就活生と会社の相性を判断するには、就活生がどんな子なのかがわからないといけません。そのためには、就活生には出来るだけ普段通りに話してくれないと採用する側は“どんな子なのか”が判断出来ません。
なので正直、自己PRや志望動機は殆どの場合どうでもよく、話があまり広がらなさそうだと感じた時には、履歴書をみて趣味について聞いたりして、その人の人柄を必死に探りました。
バイトなどよりも趣味を話題に選んだのは好きなことのほうが楽しく話してくれるからです。
バイトだと「結果、私はこういうことを学びました。」と結局自己PRと同じ話し方になります。就活用の話し方になれば、どんな子なのかの判断が出来なくなります。
その点、趣味に関する質問をすれば、就活生は驚きはしたものの、予め作ってきた自己PRとは全然違う口調で、それなりに饒舌になり、その人らしさが表れていました。
僕が担当したのは1次面接で、1回4人のグループ面接です。週2回で1日4~5回,合計100人以上の就活生の面接をしました。採用する側として、自分の好みや持論は持ち込まず、“会社に合うか”または“この部署に合うか”という判断で面接をしました。
中にはめっちゃ緊張している子もいました。ちなみに僕は緊張しているからといって、不採用にしたことはありませんでした。数年前に就活生だった僕にはまだその緊張を覚えていましたし、緊張のせいで相手のことが分からないというのは面接官側も困りますので、必死に緊張をほぐそうとしました。緊張している中で話が跡切れ跡切れだったとしても、そのせいで不採用にすることはしませんでした。
面接官は僕ともう1人いて、その人とも共通の意見だった点があります。
それは「“質問にちゃんと答えない人”と“就活生の仮面を被っている人”は1次面接で不採用にしよう。」ということでした。
1つ目の“質問にちゃんと答えない人”は“コミュニケーションが取れない人”ということになり、話が出来ない、通じないというのは会社としても困りますから、不採用になります。
緊張しているのは分かります。自己PRを何回も練習してきたのもわかります。しかし、面接とはコミュニケーションの場です。練習してきた言葉だけで判断するなら、わざわざ対面で話す必要なんてないんです。書面で十分です。
面接は実際に会って話をしているのですから、質問にはちゃんと答えれないといけません。
これは内気だとか緊張しいだとか、そういう意味ではありません。声の大きい小さいも関係ありません。内気であろうが、声が小さかろうが、緊張していてもちゃんと答えてくれる人は沢山います。僕も急かしたりせずに、緊張をほぐすように面接していましたので、ちゃんと話を聞ける人は緊張していてもちゃんと質問に答えてくれました。
こちらもなるべく緊張をほぐそうとした上で、質問内容を聞いていなくて、全然違う話を、それも何回もした場合は“コミュニケーションが取れない人”ということにしていました。
2つ目の“就活生の仮面を被っている人”というのはTHE就活生と言わんばかりに、就活生らしさで接している人のことを指します。
就活生側からすれば、そういう人は面接に受かりやすいと考えるかもしれません。
面接中も明らかに自分よりもハキハキ、テキパキ答えているので、優秀に見えて、「ああ、この人は受かるんだろうな。」と思うでしょう。
しかし僕たちは、そういう人を選びませんでした。
面接で普段のような話し方にならないのは分かります。何人か普段と同じ話し方をする人がいましたが、それはそれで相手の立ち位置に合わせて話し方を変えない人ということになりますし、面接なのですから、それなりの口調にはなります。
しかしあからさまに作ったような話し方をする人は“どんな子なのか”が全く分からないので、判断不可能となりました。
面接してみるとわかるのですが、志望動機と自己PRという同じ話を何回も聞いていると飽きてくるかと思いきや、結構“どんな子なのか”がわかるものでした。むしろ、やりとりが同じだからこそ微妙な違いに気づくことができて、“どんな子なのか”が分かるのかもしれないと感じました。
なのでChatGPTで作った志望動機や自己PRでも、気にせずに面接しているのでしょう。
就活生は他と変わり映えのない自己PRや志望動機に、そして面接で前の人が自分と同じような内容を話すことに不安を感じるかもしれませんが、面接官から見ると、違って見えています。
面接はコミュニケーションの場です。
コミュニケーションとは一方通行ではなく、伝え合い、感じあう場所です。
それはつまり、就活生は自分のアピールをするだけの場ではないと言うことです。
面接官が相手の話を聞きながら、“どんな子なのか”を判断するように、就活生は自分の話をしながら、社員をみてこの会社の雰囲気を判断する必要があります。
それはいくつか内定をもらった時、どこに入社するかを決める判断材料となります。
また、グループ面接は1人あたりの時間が限られていますが、長く時間を取ったからといって、その人に興味があるわけではありません。緊張していたら、ほぐすのに時間がかかりますし、話が盛り上がれば時間は長くなります。だからといって採用につながるわけではなく、話が盛り上がっても「この会社には合わない」と判断すれば不採用になります。
僕が就活生の頃には様々な憶測が飛び交い、その1つが面接の時間でした。
「お前、結構色々質問されてたやん。これは受かったやろ。」とか、就活生の間でよく行われる会話ですが、採用する側に立ったとき、興味がある場合と、よくわからないから質問する場合がありました。話が盛り上がっても採用に繋がらないのは、判断基準が“会社に合うか”と“採用したら来てくれるか”だからです。
もちろん、会社によって判断基準は違います。
ちゃんと準備してきた自己PRが言えるかを基準にするところもあるでしょう。それは「ちゃんと準備してきたよね?」と就活に対する最低限の姿勢の確認だと思います。
面接の練習ではTHE就活生の話し方が完璧に見えても、本番では異なります。
それは自分が知らない人と話しているのを想像してみると分かります。
その人を信用するのに、明らかに仮面を被っている場合と、素の部分が見える場合、どちらを信用するでしょうか?
面接はコミュニケーションの場です。
なのになぜか、自己PRと志望動機がちゃんと言えるかどうかが合否の判断基準になっていると勘違いしている人がいます。
これは就活がかなり形式ばったものに見えるからだと思いますが、面接官は会話を通して判断していることを忘れてはいけません。
次で就活の話はラストになりますが、“大学受験と面接の違い”。
なぜこれだけ練習しても、就活の第一志望に受からないのか。という話をGW中にしたいと思います。
化粧品研究者こまっきー
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