最近物流の人手が足りず、ヤマトが日本郵便に一部のサービスを委託するという話があった。
物流の量は増えているのだから、人手が足りないのは当然で、その分値上げしたら良いじゃないか。という意見もあるが、人手不足は物流だけではない。
独立前は化粧品の下請け会社の研究所に勤めていた。
その後もお付き合いは続いていて、上司たちには辞めたのに応援してもらっている。
勤めていたときを含めると、もう10年のお付き合いになるが、この10年で人手不足は加速している。
勤めていたときは「若いあいつ、辞めるやって。やっぱり上司があんなんやと・・・」と言っていたのが、独立して数年経った、元上司との連絡では、
「中管理職のあいつ、辞めるねん。やっぱり給料上がらへんと、なかなかなあ」となり、
この春は1人だけ辞めるような感じでは無くなった。
推理小説家アガサ・クリスティの“そして誰もいなくなった”のような話である。
この10年で“人手不足”という言葉はずっと人気だが、意味合いはどんどん変化している。
工場というのは、立地が悪い。
立地が悪いからこそ、大きな敷地が使えて工場が建てられるのだが、その反面、求人に苦労する。近辺の中でも大きな駅まで送迎を出したり、車通勤出来る人を増やしたりして対策をする。
少し前までは、人が分散していたが、今はとにかく都心に集まる傾向にあり、工場近辺に働き手が少ない。工場よりも都心に出たほうが給料が良い事が多いため、通勤時間と仕事時間を大量に費やしてでも、都心での仕事を選ぶ傾向があるだろう。
工場の求人は難しいなあ。と思っていたのだが、実は工場だけではないようだ。
大手企業の大きい駅近辺にある営業所でも、技術系の人が足りず、依頼があっても作業が進まないという話を聞いた。
営業マンが足りないというのは前々からある話で、それは考えようで、常に足りないとも言える。
つまり、どこも人手不足ということだ。
どこも人手不足というのはどういうことか?
求めている事、仕事のペースや売上と人数が合っていないと考えられる。
サッカーの公式人数は11人とベンチ15人。
小学校などでベンチ15人どころか、11人も集まらないクラブがある場合はどうするか。
1つは合同チームを作る。
もう1つは11人を8人にする。
小学生の8人サッカーは2011年から導入されており、プレー出来る時間を増やしてもらうためとされている。
しかし、出生数の推移をみる限り、子供不足の背景も大いにあるだろう。
他の業界の取り組みは参考にするべきである。
工場、営業マン、技術職、都心の働き手からそれ以外でも、人手不足は沢山発生している。社会全体が人手不足ということは、今の社会の動きはもう、無理がある。
物流は翌日届くのを辞めて翌々日が最短にする必要があるし、前年120%を目指し続けていた企業も諦める必要があるだろう。仕事のスピーどは、唯一向上するべき部分かもしれない。
確かに、翌日届くのは便利だし、すぐそこにコンビニがあって、足りなくなったらすぐに買いに行けるのはとても便利だ。ご飯を作るのも食べに行くのもめんどくさい場合は持ってきてくれる。自分が大きく動かなくても近くでなんとかなる便利な社会である。
諦められない売上と便利に、都心に人が集まるように仕向けたのかもしれないが、その便利な社会を諦めざるを得ない時が来た。
給料を上げても人は来ない日が来るだろう。
もしかしたら、既にその傾向はあるのかもしれないし、給料を上げた結果、経営が苦しくなった会社もあるだろう。
どこもかしこも人手不足。となれば、
社会全体の忙しない日々のペースを落とすしかない。
不安かもしれないが、忙しなく過ぎていく日々よりも、もう少し時間余裕のある日々の方が、“暮らし”という生きる意味に近いのではないだろうか。
人々が諦めるか、企業が諦めるか。どっちが先に諦めるのでしょう。
化粧品研究者こまっきー
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