化粧品研究者こまっきーの語り部屋

化粧品研究者こまっきーが普段考えていることを書き留める、日記のようなもの。

僕が研究する時に気をつけていることは、きっと日常生活の役に立つ。

化粧品の研究をしながら、化粧品こまっきーという自社ブランドを販売しています。
研究するときに気をつけていることがいくつかあるのですが、それは日常生活にも反映されていることに気づきました。

気をつけていること1つ目は“先入観や期待を持たない。”ということです。
化粧品の研究は基礎から応用まで様々ありますが、例えば興味が湧いた原料があり、それを使ってみようと研究を進める時、「これを使えば良くなる。」という先入観や期待は出来るだけ持たずに研究するようにしています。
勿論、興味を持った時点で「良くなる。」と思ったから使ってみようとなったわけですが、いざ研究をするときは一旦その期待を無くして出てきた結果から考察する必要があります。

「化粧品はプラシーボ効果。」というのはよく言われることですが、それは化粧品に限ったことではないでしょう。殆どの人はハイブランドの革がどれだけ良いかという質の判断が出来ずにそのブランドのイメージでバッグを買っていることや「made in chinaはダメだ。」など、化粧品以外にもプラシーボ効果が関係する時は沢山あります。

化粧品の研究のときもそうで、良さそうな原料を見つけると「これは良くなるぞ!」と思ってしまいます。その状態で研究をしてしまうと、まさにプラシーボ効果で、本当は対して変化が無いにも関わらず良いと思ったり、データはそんなに変化がないのに、変化が出るようなデータの取り方をしようとしてしまいます。

また、その作ったサンプルを誰かに使ってもらうときも同じく、なんでもないように伝える必要があります。「めっちゃ良さそうな化粧水作ってみてん。使ってみて。」と言うと、「良いかもしれない。」と思いながら使ってしまいます。すると良いことが前提なので、大抵は「良かった。」という回答になってしまいます。
「ちょっと気になった原料があったから作ってみてん。良いかどうか調べたいから、使ってみてくれへん?」くらいのプラシーボ効果が出ないような言い方にする必要があります。
自分にも使って貰う人にも、興味が湧いたその気持ちを抑えなければいけないのは酷ですが、一旦心を無にすることで、正確なデータが取りやすくなります。

2つ目は“比較を間違えない”ということです。
比較をするときは、必ず1つずつです。既存の化粧水から、1つの成分を抜く。1つの成分を入れ替える。など、良い悪いの比較をするときは1つずつが鉄則です。これを「これとこれのコラボでいい感じなるやろ。」と2つ以上を動かすと、良かったときにどっちの効果なのか、どっちもの効果なのかがわからなくなります。刺激などがあって悪かったときは結局どっちが悪かったのかを調べるために、1つずつ成分を入れ替えなければなりません。ただただ無駄な時間です。
なので、1つずつ動かして、化粧品は配合量によっても効果が変わりますので、1つの原料の配合量違いのサンプルを作り、データを取っていきます。
2つ以上動かすのは1つずつの研究をやり尽くしてからです。

これは面倒くさそうに思いますが、実はこれは日常生活で皆さんもやっています。
例えばスーパーの広告でキャベツが100円やと、「今日はキャベツ安いな。」とスーパーに行きます。スーパーに行って、見た目で判断をした後に、実際に持って重さを確認して、買うか買わないかを決めます。一連の動作になっているので3つの要素が混ざっていると思いがちですが、最初が金額、次に見た目、最後に重さと1つずつ判断して、「これはお得か?」を決めているのです。

3つ目は“流行りに乗らない”ということです。
流行りは言葉通り、流れて行くものですので、プロデュースするときの兼ね合いで調べるときもありますが、流行っているから良いという判断をしては自分の研究の軸がブレブレになってしまいます。僕の研究のベースは“必要なものだけを。シンプルに濃厚に。”ですので、流行りに関係なく、自分の研究のベースに合っているかどうかで判断します。
流行りに乗らないとは、自分の軸を持つということにもなります。

4つ目は“幅広く見る”ということです。
研究をしていると、1点ばかりを見てしまいがちになります。美白に興味が湧けば、美白関係の原料を仕入れて、その中で良い原料を探す。というふうに、美白といえば美白成分と1点集中は良くないです。実際に美白の定義は“色素沈着が少ない、明るく白い肌”ですが、肌がふっくらしてキメが改善されればキメの溝が浅くなるので光の反射は浅くなり、明るく見えます。明るく見えると、肌は白く見えます。肌が整っていれば、ターンオーバーがスムーズになり色素沈着は起こりにくくなりますし、そもそも体調が悪ければ顔色が悪くなるように、美白=美白成分とは言えず、保湿による肌の改善だけでもその人自身が肌が明るくなったと思えば、それは美白と同じ結果となります。
このときはこれ。と決めつけずに色んな可能性を模索するためにも、研究テーマの1点を見たり、視野を広げてみたりと、幅広く見るようにしています。

最後は“肌に関係する幅広い知識を習得する”です。
4つ目の続きのようになりますが、肌だけをみていても肌はキレイになりません。体調を崩せば肌は荒れますし、長年の食事が影響することもあります。または日常の忙しさや、物事の考え方で悩んでしまって肌が荒れることもあるでしょう。
肌が荒れるというのは、日常生活の結果論のようなものですので、肌の知識だけではなく、それ以外の部分も勉強するようにしています。
このブログも“日々の生活が美容に繋がる。”という考えで、化粧品以外の部分のアプローチになっています。

以上5点。
多分他にも気をつけていることはあると思いますが、パッと思いついた5つを挙げてみました。
これらは2つ目の“比較を間違えない”と同じように、研究にだけにしか使えないわけではなく、日常生活にも使えます。研究の時のこの考えが、日常生活の良し悪しの判断に使えるのではないかと思って紹介してみましたので、興味があれば日常で試してみてください。

化粧品研究者こまっきー

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