化粧品研究者こまっきーの語り部屋

化粧品研究者こまっきーが普段考えていることを書き留める、日記のようなもの。

また1つ、自由が減った。

ストロングゼロというチューハイが新規販売終了というニュースが話題になりました。
既存の商品は販売し続けるみたいですが、新商品を出さない方針なので、今後は縮小していくことでしょう。

理由の1つは“健康志向のトレンドを考慮した”でした。
ストロング系のチューハイはアルコール度数8%以上で、“すぐに酔える”が売りだそうです。
ビールほどアルコール度数が低くなく、バーなどで飲むお酒ほど高くない8%という数値。ウォッカやリキュール、ワインなどはビールやチューハイのようにガブガブ飲む印象はありません。焼酎もロックで飲んでも少なめ、日本酒もお猪口でちびちび飲むなど、ビールやチューハイよりは飲む量が少ないのでしょう。
それなりに飲みたいけど、飲んだ感覚として“酔い”も欲しいという意味では、ストロング系チューハイの魅力はありそうです。

まあその分アルコール度数が高いわけですが、となれば、ストロング系も“すぐ酔える”が売りなわけですから、個人個人で量を考えればいいだけの話で、“健康志向”というのは建前のような気がします。
ニュースのコメントにあった“ポートフォリオの調節”が本音なのかなと思います。

もう1つの理由は2021年3月に厚生労働省から発表された“第2期アルコール健康障害対策基本計画”でした。
この計画では、正しい飲み方の周知やアルコール度数ではなく、1缶にどれだけのアルコールが入っているかを明記するという指摘がありました。
なので、今のお酒の缶の栄養成分表示の下あたりを見てみると、純アルコール量が明記されているそうです。
厚生労働省は生活習慣病のリスクが高まる1日のアルコール摂取量の目安を男性は40g女性は20g以上と示しているので、そのグラム単位が簡単に把握できるようにするためだったのでしょう。
すると1缶350mlのストロング系チューハイの純アルコール量は8%でも28.0gなので、女性は1缶でも目安を超えてしまい、男性は2本目が飲めないとなり、ストロング系のイメージが悪くなるのが新商品販売終了の決定打となったそうです。

これはタバコと同じ流れのように感じます。
箱にタバコを吸うとどれくらいリスクがあるのかを文字やイラストで伝えて、吸う人に罪悪感を与える方法に似ています。“吸うから病気になるんですよ。”と言わんばかりにタバコは悪者になりました。
喫煙スペースという名目で喫煙者は囲われて、端に寄せられて、駅の外にある喫煙スペースは屋根もないし、嫌な意味で見世物にされているような雰囲気があります。
そしてとうとう新幹線は喫煙ルームを廃止してしまいました。
これと同じようなことが、お酒でも起こるのでしょうか?
流れでいうと、起こりそうです。
タバコの流れで行けば、飲食店でのお酒の量は1人何杯までと決められて、お酒を飲んでいる人が冷たい目で見られる日が来るということです。

そもそも健康管理というのは自己責任であって、国がここまで規制するものではないでしょう。国からの発信として、お酒の摂取量の目安や注意喚起というのは分かりますが、タバコにしろお酒にしろ、摂取すると病気なるよと脅すのはいかがなものかと思います。

書き方で気づいた方もいるかもしれませんが、僕はタバコは吸わないし、お酒も飲みません。それでもタバコもお酒も試したことはありますので、あれでストレスを発散させるのはなんとなく分かります。

何かしらでストレスを発散しないと精神的に参ってしまいます。
タバコを会社内でもガンガン吸って、深夜まで仕事をしていた時よりも精神的に参ってしまう人が多い今の社会を見る限り、パワハラやセクハラなどの規制と同時に、ストレス発散するものが減ったと言えるのではないでしょうか。

減った理由のひとつに、1つ1つが薄まっていることがあります。
タバコのときもそうでしたが、最初はニコチンやタールの量が問題だということで、ニコチンやタールが少ないタバコが増えていき、ニコチンやタール量の多いタバコは良くないとされました。
お酒を飲まない人はタバコをカルピスに例えると分かりやすいです。カルピス飲まない人はコーヒーでも紅茶でも良いです。カルピスまたはコーヒーを作るときは、カルピス原液やコーヒーの豆と水(お湯)の量のバランスがあります。その美味しいバランスが健康に悪いからと、半分に薄められたらどうでしょう?
タバコの種類ではタール量でいうと1/10まで薄くなっていますから、美味しいカルピスを1/10まで薄めて飲むということになります。

薄いカルピスやコーヒーを2〜10杯飲むのと、美味しいバランスのカルピスやコーヒーを1杯飲むのとどっちがいいでしょうか?
薄くなったカルピスやコーヒーをいくら飲んでも満足しないのではないでしょうか?
またタバコはニコチン量での値段差はありませんから、薄いカルピスも美味しいカルピスも同じ値段を払っています。
ストロング系チューハイで満足していた人が、販売終了理由ニュースのトップに書いてある“健康志向”を気にして「アルコールが身体に悪いからストロング系が無くなった」ことが頭によぎり、我慢してアルコール度数の少ないお酒を飲んでも、おそらく今までのようにはストレスは発散されないでしょう。
美味しいと思える濃度でコーヒーを飲むのと1/10まで薄めたコーヒーを飲むのとでは満足感がまるで違うように。

「他のストレス発散方法をすればいいじゃないか。」という人がいますが、人にはそれぞれ好みがあります。好きだから、ストレス発散できるのであって、好きじゃないもので一般に健康に良いと言われるストレス発散方法をやっても、それはストレスを貯めるだけです。
当たり前の事ですが、人それぞれの感覚の違いがこういうときには疎かにされてしまいがちです。

深夜残業が殆ど無くなり、パワハラやセクハラなど様々な人とのトラブルが改善されていきました。それで社会が良くなっているなら、こんなにも精神的に参ってしまう人は増えないはずです。しかし増えているということは、それと同時にストレス発散手段も減っていき、発散出来ていないからではないでしょうか。
大人が発散出来ていないと、子供は大人を見て育ちますので、子供もストレスを発散出来ずに精神的に参ってしまいます。

ストロング系チューハイにニーズが無いなら、辞めてしまうのも納得ですが、一定のニーズはあるそうです。

アレはダメ、これはダメ、健康に悪いで、とうとうお酒にまで手が伸びてきました。
お酒まで規制と脅しが始まったら、健康を意識して失っているストレス発散のことが問題になってくるのかもしれませんね。

化粧品研究者こまっきー

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