化粧品研究者こまっきーの語り部屋

化粧品研究者こまっきーが普段考えていることを書き留める、日記のようなもの。

未来は自分で作るべきか、流れに乗るべきか。

「未来は自分で切り開いていくものでしょうか?」
中高生の頃からやりたかった、化粧品を自分で研究して自分で販売するという仕事に就けている僕がいうと、「自分で切り開いているじゃないか。」と思うかもしれません。
しかし僕自身は、“自分で未来を切り開いた時”には“流れてたどり着いた”ような流れも同時に感じており、“自分で未来を切り開く”ことだけに固執してはいけないと思います。

中学生の時に美容室に行くようになって、ヘアワックスで髪の毛をセットすることの面白さを知りました。元々服が好きでしたので、トータルの雰囲気が一気良くなるヘアスタイリングに興味を持ったことは自然な“流れ“のように思います。
当時は校則が厳しく、前髪は眉毛にかかったらダメ、耳に髪の毛がかかったらダメ、襟足がカッターシャツにかかったらダメでした。
学校にヘアワックスをつけて行くこともダメだったのですが、バレないヘアセットを模索したり、当時人気だった妻夫木聡さんや市原隼人さんのような短髪を参考に、校則の範囲内で楽しめるヘアスタイルを考えて楽しんでいました。
美容室に行くようになったのは中学2年生の時の友達の影響ですから、キッカケには“流れ”を感じます。

ヘアスタイルに興味を持てば、美容師に憧れを抱くものでしょう。
僕も美容師への憧れはあったものの、興味の矛先はヘアワックスに向きました。

高校も相変わらず厳しい校則でしたが、中高生の頃に沢山のヘアワックスを試しました。
ギャツビー、ウーノ、アリミノのスパイス、ナカノのスタイリングワックス、デミコスメテイクスのウェーボ、ナンバースリーのデューサーなど、たとえ気に入ったワックスがあってもロフトに行って置いてあるワックスを全部使ってみたいと思っていました。

美容師さんがハード系のヘアワックスと艶出しのムースを合わせてハードなスタイリングだけど、艶も出るという方法を教えてくれて、それにハマっていた時もありました。
美容室にあるワックスは美容室で買っていたように思います。

スキンケアは高校生の頃から使っていました。
当時ニキビが沢山あったので、それをどうにかしたいと、祖母や母が百貨店で化粧品を買いに行く時についていって、僕も欲しいみたいな雰囲気をだしたのだと思います。
化粧品売り場で座って買い物をしている母の隣にニキビの顔の人がいれば、話しかけない店員さんはいないでしょう。
「男子が化粧品なんかいらんやろ。」と思われていたはずですが、すでに母のアイブロウを勝手に使って眉毛を描いていたので、スキンケアへのハードルは低かったのでしょう。
ちふれから始まり、祖母が「敏感肌用の方がいいんちゃうか?」といって祖母と一緒に資生堂の売り場に行って、d programを使いはじめました。
スキンケアを使いはじめた時のことをあまり覚えていませんが、「そんなん使わんでええ。」「ニキビ気になるねん。スキンケア使いたいねん。」みたいなやり取りをした記憶がないので、すごく自然な“流れ”で使いはじめたと思います。

高校2年生の夏休みに入る修了式の日、部活を辞めました。
あまり成績が良くなかった僕は行きたい学部に入るため、勉強に専念するために部活を辞めました。
親は部活を途中で辞めるというのは逃げることであるという思考で、相談しても反対されて「最後までやったらどうや。」の一点張りだと思ったので、相談せずに家に帰ってから報告しました。部活をして19時ごろに帰ってくるはずの僕が昼過ぎに帰ってきたことに驚いた母は部活を辞めた報告を聞いてとにかく怒り、父が帰ってくると父も一緒になって怒り、「相談しなくてよかった。」と心底思いました。

高校2年生になって、春から担任の先生と相談を重ねたこと、相談相手を間違えずに自分の考えていることに集中出来たからこそ部活を辞める決心がついたのだと思っています。
親に相談すれば、親の意見が重視されます。それで失敗しても、心のどこかで親のせいにすることができ、自己責任から逃れることが出来ます。
あの時、僕はそれだけはしたくないと思いました。
初めて親に相談をせず、自分の意思を貫いたときでした。
初めて“自分で未来を切り開いた時”でした。
この出来事以降、自分で自分の意思を優先することができるようになりました。
初めて“自分で未来を切り開いた時”でしたが、明らかに“流れ”はスムーズに、部活を辞める方向に向かっていました。

部活を辞めることに顧問の先生が反対すると、ますます「辞めて勉強頑張るぞ!」という気持ちが強くなりました。
1年生の時は担任の先生には相談できませんでした。2年生の時、あの先生が担任だったからこそ、相談できたのだと思います。良くも悪くもあまり干渉しない先生でした。
その先生は初めての担任で2年生の時から2年連続で同じクラスを担当していたにも関わらず、卒業式の日に涙を一滴も流さない先生でした。
僕にとっては珍しかった、自分の考えを子供に押し付けない先生であり大人でした。
部活を辞めて勉強に専念しようかと考え始めた時、僕の周りにはスムーズに“流れ”が進むように手助けしてくれる人がいました。

大学生になると、ヘアカラーやパーマをするようになって、ヘアケアにも興味を持ちはじめました。美容室でやってもらうようなヘアスタイルを自分でもできるようになるためにヘアアイロンも買いました。
どのアイテムを買う時も失敗するのは嫌でしたが、それ以上に「使ってみたい。」という気持ちが強くありました。

中高生の時に髪の毛を切ってくれる美容師さんへの憧れが強くあれば、美容専門学校の方へ進んでいたでしょう。専門学校へ進むことを親に反対されたこともありましたが、そこで僕は興味があるのはヘアワックスであることに気づいてヘアワックスを作りたいと考えました。
もし中学生の時に“流れ”を無視して“自分で未来を切り開いて”いたら、美容師になっていたと思います。
“自分の将来を見つけて”、反対されて“流されて”、また“見つけたもの”が今の職業です。

今自分が仕事にしている、“自分で研究をして自分で販売すること”は中高生や大学生の頃から頭の片隅にはあったものの、「プロ野球選手になるぞ!」と意気込むほどではありませんでした。
その間に服はもちろん、カメラやバンドなど他にも興味があるものがありました。バイトの給料の優先順位第1位が化粧品だったわけでもなく、どれが1位なわけでもなく、バランスをとることを考えていました。
なので興味の順位で言うと、服もバンドも化粧品もどれも同じくらいでした。

それでも何故か“化粧品を自分で研究して、販売したい”という気持ちはどこかにありました。
服は小学生から興味があって、小学校高学年の頃から自分で服を選んでいたものの、自分で服を作ってみたいと思ったことは一度もありませんでした。
不思議なものです。
服にはそういった“流れ”は全くありませんでした。

バンドは高校生のころから「大学に入ったらバンドをやろう!」と思っていました。
小学生の頃に声楽を少しだけやっていたのですが、中学校が体育会系の学校だったこともあって、その雰囲気に流されて吹奏楽部よりも身体を動かす方がかっこいいと思ってラグビーを始めました。その“流れ”に流されたことの反省もあって、大学に入ったらバンドをやろうと思っていました。
大学生になって大学の軽音楽部に入っても、好みの合う人がいなかったり、ネットのバンド募集掲示板で探してバンドを組んでも、あまり長続きしませんでした。
バンドを組んでもライブするまでに自然消滅することが何回もありました。

友達はバンドを組み、オリジナル曲を作って活動していました。
「僕もやりたい。」と思って掲示板の募集記事を見て連絡を取り、実際に会ったりしたこともあります。セッションライブというものに参加して、メンバー集めをしようとしたこともあります。
それでもコピーバンド止まりでオリジナルをするようなバンドを組むことが出来ませんでした。
バンドを組むために応募やセッションライブへの参加などのメンバー集めをしていたということは、“自分で切り開く”とも言えますが、バンドには“流れ”がありませんでした。
社会人になって、もう一度バンドがしたいと思って動いたものの、やはり上手くことが進まなかったので、諦めることにしました。

“自分で未来を切り開く”ことに固執しすぎると、“流れ”が見えなくなります。
もちろん、いつも“流れ”がいいわけではありません。
びっくりするくらい“流れ”が悪くなる時もあります。
化粧品の研究所から独立して、自社ブランドの販売とOEMをしながら、なかなか上手くいかない日々が続いていましたが、やっとOEMで大きな仕事が決まった年が2020年でした。
中高生の頃に頭の片隅にあったやりたい事のために、部活を辞めて“自分で未来を切り開き”、新卒は営業で就職して、転職し直したということはあっても、そのおかげで転職先の研究所では営業や企画と幅広く仕事をすることが出来ました。
独立するまでは本当にスムーズな“流れ”がありました。

独立してからは様々な“悪い流れ”が重なりました。2020年は社会全体的に“悪い流れ”でしたが、僕にとってはやっと“良い流れ”がくると思った矢先でした。
それでも“悪い流れ”に流されないように、いつも助けてくれる人がいます。

“自分で未来を切り開く”、何かやりたいことが見つかることは良いことです。
ですがタイトルにもあるように「自分で作るべきか」というふうに“べき”が出てくると、どっちかであると考えてしまいます。
自分意思を常に優先するか、しないか、みたいなどっちか論になってしまいます。

そんなことはありません。
自分の意思に流れが合わさって、進んでいくものですし、流れが悪くなる時もあります。
周りのフォローもあって、思わぬことになる時もあります。
大事なことは、自分の意思に固執しすぎず、流れを感じて、今自分にできることをする。
“自分で未来を切り開いたか”どうかは、ただの結果です。
自分で作ったかどうかはこのように振り返れば気づくことができますが、リアルタイムでは意識する必要はないでしょう。

化粧品研究者こまっきー

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