化粧品研究者こまっきーの語り部屋

化粧品研究者こまっきーが普段考えていることを書き留める、日記のようなもの。

ヤクザ映画と現在社会の類似点。

SNSの普及によって、いろんな人から情報を得られるようになりました。
SNSではマスメディアから個人まで幅広いアカウントが情報発信をしています。また個人でも顔を出していて、ちゃんとどこの誰がか分かる人もいれば匿名の人もいて、SNSという場所はまるでテレビや新聞のマスメディアと、昔あった匿名の掲示板2ちゃんねるの融合みたいなものだと感じています。

僕は気になるアカウントがあれフォローして、だいたい1年は見続けるようにしてから、判断するようにしています。そのうち1年以上見ている動画の1つに鈴木宗男さんと佐藤優さんが毎月1回開催されている“東京大地塾”の動画があります。これはお二人のアカウントではなく、“東京大地塾”を観に行っている人が、お二人の許可を得て撮影し、YouTubeにアップしてくれています。
鈴木宗男さんはXのアカウントはありますが毎日ブログの更新のお知らせを投稿しているだけですし、佐藤優さんはどこのSNSにもアカウントがありません。佐藤優さんはいくつもの新聞や雑誌に寄稿されていますが、それらを買わないと読むことができません。
そんな中、“東京大地塾”は無料で佐藤優さんの話を聞きにいくことができます。
しかし無料でも、住まいが会場から近くて、その時間に参加できる人でないと観にいくことはできません。
なので関西住まいの僕にはどうしようも出来なかったのですが、SNSの普及によって、動画をアップしてくれる人がいれば、住まいが会場から近くなくても、その時間に参加できなくても、話を聞けるというのはSNSのいい部分だなと思います。

先月の“東京大地塾”で、佐藤優さんは「ヤクザ映画を観れば、国際情勢が分かるかもしれない。」と2つの映画を挙げました。
1つは“仁義なき戦い 代理戦争”で、もうひとつは“博打打ち 総長賭博”でした。“仁義なき戦い 代理戦争”はシリーズの3作目で、“博打打ち 総長賭博”はシリーズ4作目の映画です。
シリーズものではあったのですが、今まで見たことないヤクザ映画を、国際社会の勉強のために1作目から観る自信がなかったので、とりあえず“仁義なき戦い 代理戦争”を観てみることにしました。

この映画は102分ありますが、40分を過ぎたあたりで、観るのをやめて、ちゃんと1作目から観ようと思いました。映画の始まりでは、前回までのあらすじがざっくり話されているのですが、3作目から観ても人間関係が分からずに、観ていても何が何やらさっぱりでした。ヤクザ映画ですので、その人はどこの組のどういう立場の人で、それぞれの組はどういう関係なのかを分かっていないといけないのですが、観ていると誰がどの組でどの組が敵対しているのか混乱してきて、現在の国際情勢とどこが似ているのかを意識する余裕もありませんでした。
1作目、2作目、3作目と主な登場人物以外は変わるのですが、この世界の人間関係に慣れるためにも、1作目から観た方がいいと思います。

佐藤優さんが指摘した、“仁義なき戦い 代理戦争”と現在の国際情勢の代理戦争との類似点は映画を観て感じていただくとして、僕はそれ以外にも類似点があるなと感じました。
それは若者の動向です。
映画では、組の若いもんばかり犠牲になっています。
敵対する組と騒動が起こって、組長は怒るんですが、いつも自分は手を出さないのです。若いもんが名乗りを上げるまで待っていたり、時には「お前もこれで男になれや。」といって説得しています。
組のために人を殺めてしまった若いもんは刑務所行きとなり、数年後退所したときに組長が迎えにきてくれるのですが、シリーズを重ねていくうちに、組長はこうやって若いもんをコントロールしていることが、主人公である広能も、観ている僕も気づくようになります。
人を殺めてしまうと刑務所行きになるので、偉くなり、地域で勢力を広げるには、いかに自分で手を下さないかが重要なポイントであるようです。

若いもんが人を殺める時は、組長から言われる時と、そうではない時があります。
そうではない時は中々やっちまおうとしない組長をみているうちに感情が昂ってきて「俺たちでやってやろう!」と意気込む時です。1つの組の若いもんがそれをしてしまうと、他の組の若いもんも「俺たちもやるぞ!」となって、収集がつかなくなっていきます。
収集がつかなくなると、それぞれの組長の首が危なくなる訳ですが、時にはそうなるように仄めかすこともあります。

仁義なき戦いは全部で5作あります。
5作続けてみていると、ほとんどの場合で若いもんが利用されています。
それも命令されてというよりも、若いもんが自発的に行っています。
その時には必ずと言っていいほど感情が昂っています。

若者の感情を高ぶらせて、何かしようとすることは現在でもあります。
昨年の選挙では、まさに若者の動向が選挙結果に影響しました。
その際に利用されたSNSはまさに感情を高ぶらせるのにもってこいの場所です。自分たちの発信に都合の良い画像や動画を添付して「これでいいんですか!」と言葉をつけたし、何万リツィートされている投稿をみると、自然と感情が昂ってきます。若者が選挙に行かないのは投票しても変わらないと思っているからですので、「こんなにたくさんの人が注目しているなら、変わるかもしれない。」と感情を高ぶらせることでしょう。
そして街頭演説に行ってみれば、同志たちの集まりですので、好きなアーティストのライブを観ているのと同じような感情の昂りを感じるでしょう。
実際に街頭演説に行かなくても、SNSでそのような動画を観れば、集まっている人の多さに希望を見出します。
そこで、何人集まっていて、自分の選挙区の人口は何人なのかとか、他の地域からもきていることを想定して、何人中の何人という風に考えれればいいのですが、人というのは自分の都合のいいように考えたいものです。特に感情が昂っていると、良い風に解釈したいという気持ちが強いので、何人中という部分が抜けて、見た目で多いか少ないかを判断してしまいます。

ちなみに僕はその情報が間違っているとか、そういう話をしているわけではありません。
人それぞれ、政党それぞれで考え方が違うので、出してくる情報は違うものです。
何が正しくて何が間違ってるのかなんて分かるものではありませんし、考え方や生活環境によって正解は変わってくると思います。
なので僕は、発信者がどういう考えの人で、その考えの人が出してくる情報であると分かった上で情報を見て、考えるべきだと思います。
発信を見ながら、決して感情は昂らせるべきではないでしょうし、僕は感情を高ぶらせてくるような投稿や発信は、感情を利用しようとしていると判断して、見ないようにしています。

若者が政治に興味をもつことはいいことですが、今のやり方は興味を利用しています。これは説得して、理解して納得してもらって投票してもらうのではなく、ただ感情を上手く利用しているだけのように思います。とくにSNSは切り取り動画のように、都合の良い情報だけを見せることがやりやすい場所なので、感情を利用しやすいのだなと思います。
“仁義なき戦い”を観ていただければ、今のSNSの動向が特に似ていることが感じてもらえると思います。

今の現在社会に似た状況を、ヤクザ映画という全然違う社会の描写から感じることは結構面白いと思いますので、ご興味あればぜひ1作目から観てみてください。

化粧品研究者こまっきー

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