化粧品研究者こまっきーの語り部屋

化粧品研究者こまっきーが普段考えていることを書き留める、日記のようなもの。

今年読んで面白かった本15選。-うち勉強の本7冊-

今年は勉強の年を決めて、今まで以上に色んなジャンルの本を読みました。
小説と勉強の本合わせて50冊くらい読みましたが、その中で特に面白かった15冊の本を紹介したいと思います。
本の内容の紹介というよりも感想がメインになっています。

まずは、勉強の本からです。
1冊目は山本七平さんの“常識の非常識”です。
山本七平さんの名前は以前から耳にはしていたのですが、今年初めて本を買ってみました。
その初めての本が“常識の非常識”です。
1986年に単行本が、1994年に文庫本が出版されています。
1986年の頃に山本七平さんが感じていたことが書いてあります。
学歴社会のこと、国民が選挙で投票する際に外交の評価はしないこと、工場の機械化に高齢化問題など、今でも注目されていることが取り上げられています。
僕は1992年生まれですので、生まれる前の本を読むと、この頃からずっと問題視されていて、その通りに問題になっているなと感じます。
今問題視されていることを、最近出版された本ではなく40年くらい前の本を読むと、問題を解決するということがどれだけ難しいかが理解できます。
“常識の非常識”に書いてあることと今を比べると、変わってはいるんですが、解決はしていません。

2冊目は同じく山本七平さんの“日本人とアメリカ人”です。
“常識の非常識”が面白かったので、他も読んでみたくて、この本を買いました。
日本人という人種は日本人自身からも特別であると言われています。
何が特別なのか。何が外国人と違うのか。
この本では日本人とアメリカ人との感覚の違いを実際に体験した話や聞いた話を取り上げています。読んでみると、理解できないアメリカ人の感覚があり、「なんてめちゃくちゃな。」と思う部分もあります。反対にアメリカ人がこの本を読めば、日本人の言動は理解できないのでしょう。そのギャップがすごく面白いです。
各国の文化の本を読もうと思うと、堅苦しくて読む気がしませんが、実体験の話であれば楽しく読むことができます。
むしろ、こっちの方がわかりやすいです。
“日本人とアメリカ人”を読むと、アメリカ人の発言や行動についてちょっと理解ができますので、政治関係の情報に対して、今までとは違う視点でみることができます。
今は山本七平さんの“日本人とユダヤ人”という本を読んでいます。
これも日本人とユダヤ人との感覚の違いが書かれており、この感覚の違い知っているのとそうでないのとでは、ニュースの読み解き方が全然違うんだろうなと思います。
時事問題に興味がある方におすすめです。

3冊目は佐藤優さんの“初めての宗教論”です。
右卷と左卷の2部作になっています。
僕は今まで宗教を意識することがなく、なんとなく洗脳のような、悪いイメージがありました。「あの人は宗教にハマったから・・・」という言葉があるように、宗教は関わってはいけないものだと思っていたのです。
世界情勢などのニュースを読んでいると、なんとなく「宗教の考え方が間違っているのかも。」と思うようになって、手に取ったのが佐藤優さんの“初めての宗教論”です。
宗教のことを全く知らない僕には、ちんぷんかんぷんでかなり難しい本でしたが、自分の宗教に対する考え方は宗教を悪と考える人の勝手なイメージで、本来の宗教の目的はそうではないことが分かりました。
またどこかで読み直せば、1回目よりも理解できるかもしれないと思っています。
今の世界情勢を読み解くには宗教の考え方が重要だと思います。山本七平さんの本は国の文化を取り上げられていますが、その時には当然のように宗教の話があります。
まずはこの本を読んで、宗教についてざっくり理解をしてから、政治のニュースをみると、また違った解釈ができるでしょう。

4冊目は同じく佐藤優さんの“いま生きる資本論”です。
面白いとその著者の本を買ってしまうもので、度々耳にする資本論について知りたいと思って、この本を買いました。これも資本論という言葉しか知らない僕にはなかなか難しい話でしたが、なぜ内部留保が増えて、給料は増えないのかという部分がこの本には書いてあります。
これも殆ど理解できていないので、またどこかで読み直したい本です。
生活をどう送るか?ということが考えさせられる本です。
そういえば、今読んでいる山本七平さんの“日本人とユダヤ人”には、日本人は人間性を重視すると書いてありました。人間性を重視する感覚が、資本論を読んでいると理解できない感覚ではないかと今ふと思いました。

5冊目は田中英道さんの“日本国史”です。
この本は上下の2部作となっています。
日本の歴史を勉強し直したいと思った時に、「どうせなら学校で習ったことのない視点の本を読んでみよう。」とこの本を買いました。
田中英道さんの本職は美術史研究です。
美術史の視点から日本の歴史を読み解いており、学校では波乱だったと言われる戦国時代は波乱ではなかった、悪いイメージのあるこの時期は実は良い時代だったということが書いてあります。
歴史はどう考えるかで、こうも読み解き方が変わるのかということが分かる1冊でした。
この本を読んだ後に、学校で学んだ通りの歴史を読み直すと、自分はどう思うのかが気になるので、次は学校で学んだ日本史を読みたいと思っています。
また今の日本の現状をこの本の考え方で考えてみるもの面白いと思います。

6冊目は苫米地英人さんの“魔女の鉄槌”です。
15-17世紀に起こった魔女狩りは現代でも起こっていると、現代での事例を挙げています。
この本は2011年に出版された本ですので、ここで取り上げられている時事ネタはすでに過去の出来事です。
ここではSNSについても取り上げられていますが、2011年当時と今ではSNSの立ち位置はかなり変わっていますので、今もここで書いてある通りであると考えてはいけないと思います。
それはSNS以外の事柄にしてもそうです。
この本では15-17世紀に起こった魔女狩りが、2011年にはこのように行われていると現代版の魔女狩りを取り上げています。
今は2011年とは大きく変わっていますので、この本を参考に「2024年の魔女狩りはなんだろう。」と考えながらニュースをみると面白いと思います。

7冊目はアインシュタインとフロイトの文通が本になった“人はなぜ戦争をするのか”です。
1932年に国際連盟が企画した文通で、1932年といえば第一次世界大戦と第二次世界大戦の間であり、ドイツでは翌年の1933年にヒトラーが首相となる頃です。
アインシュタインとフロイトの名前が挙がると、難しいことが書いてありそうに思いますが、文通ですので読みやすいです。120ページしかないのですぐに読めます。
しかしこの120ページの中には、今読んでも納得できる指摘があり、90年以上たった今でも、変わらないことがあることに気付かされます。
綺麗事を言うのは簡単で、聞いている側も気持ちがいいものですが、そうはならないのが現実です。そこで“人はなぜ戦争をするのか”について2人の考えが述べられています。
非常に面白く、勉強になる本です。

以上、今年読んだ勉強の本の中で面白かった本7冊です。
数年前から世界情勢のニュースを見始めたこともあって、気づけば文化や宗教に関する本ばかり読んでいました。
これらの本を読んでいると、日本人の感覚で海外の出来事を解釈してはいけないことに気づきます。ニュースやSNSではよくアメリカなど外国とのやり取りについての批判がありますが、結果的には外交はその批判通りになっていないことは多々あり、その批判は日本人の感覚であって、アメリカ人の感覚ではないことが分かります。
またSNSの普及によって、日本人の感覚が薄まり、アメリカ人的思考やユダヤ人的思考が混ざってきているとも感じます。
果たしてそれがいいのか、悪いのか、日本の社会を見出している原因はそこにあるのではないかと感じることもありました。
難しい本もありますが、難しいと思うときはサラッと読んで、ざっくり理解して、またどこかで読み直せばいいと思っています。

おすすめしたのは古い本が多いですが、今の本はSNSかと思うくらいに煽りが含まれている本が多いです。
2020年代に出版された本もいくつか読んだのですが、その人がSNSで発信していること内容が変わらなかったことや、感情を煽るような書き方が嫌だったので取り上げませんでした。

本を読むと分かりますが、古いから参考にならないということはありません。
むしろ古い方が、書き方に売れたいという欲が少ないように感じて、読んでいて勉強になることが多かったです。
気づけばベストセラーになっていたのであって、ベストセラーやアマゾン1位は狙うものではないはずです。それを意識してしまうと、中身に影響されると思います。
最近はなんでもエンタメ化して、面白おかしくして人気になって売れたもの勝ちという傾向があります。
それは本の世界にもありますが、僕は買った本がその手の本だとガッカリします。
買う前に判断できるように、自分の知識を深めなくてはと思います。

もし世界情勢や政治に興味がある方で、おすすめ7冊の中で読んだことがない本があれば、手に取ってみてはいかがでしょうか。

次回は小説を紹介します。
※写真には人に貸しているので、アインシュタインとフロイトの“人はなぜ戦争をするのか”がありませんが、本当に薄い本です。

今週のお題「読んでよかった・書いてよかった2024」

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